2007年 05月 14日
投資ファンド専用の株式市場? |
最近FortressやBlackstoneと言った大手オルタナティブ投資ファンドの株式上場のニュースが続いていますが、そんな中でGoldman Sachsが、今月にもユニークな市場の立ち上げを計画しているそうです。
5月10日のWSJや5月11日のLA Timesの記事によると、この市場はGS Tradable Unregistered Equity OTC Market(略してGSTrUE)という名前だそうで、何と発音するのか分かりませんが、オルタナティブファンドなど未上場企業の株式を売買対象とし、市場参加者をプロの投資家に限った市場だそうです。
詳しいことは分かりませんが、この市場によって投資ファンドはIPOをすることなく株式の売却が行えるようになるそうで、また市場参加者も、QIBと呼ばれる適格機関投資家や富裕層といった、いわゆる現在までのオルタナティブファンドの投資家に限られるようです。
何故このような話題がLA Timesに載っていたのかと言うと、この市場に参加する第一号として名乗りを上げたのが、ロサンゼルスを本拠に置く大手のオルタナティブファンド、Oaktree Capital Managementだと報じられているからです。
同社は不良債権などのディストレスト投資で知られる1995年設立のファンドで、運用資産は$40bn(約4.8兆円)に上ると言われる大手です。私の知る限りでは、同社はディストレスト投資以外にも、LBO、上場株のヘッジファンド、メザニンファンド、エナジーファンドなど、様々な投資チームを抱えているようで、東京や香港を含む世界中に投資拠点を有しています。
WSJにもありましたが、最近のファンドのIPOブームにも見られるように、投資ファンド業界では、自らの持分を売却してある程度の利益を確定したいというニーズが高まっているといわれます。ただプライベートエクイティファンドやヘッジファンドの中には、上場することで自らの最大の資産とも言える投資ノウハウが広く一般に知られてしまうことを恐れるところが多く存在するのも事実です。
またこれらのファンドのマネージャーの中には、上場企業であることの様々な制約、例えばファイリングの義務や外部からの経営監視を嫌い、自由に投資活動が出来るプライベートファンドの形態を強く好む人も多くいると思われるため、IPOをしてしまうと、そのような人たちが退社してしまう恐れもあります。
このような現状を踏まえた上で、市場参加者を状況がよく分かった投資家に限定し、また上場に関する公のディスクロージャー規制などを排した上でファンド側に利便性を提供しようというのが、Goldmanのユニークな狙いなのかもしれません。
Oaktreeは、その85%が9人のパートナーと70人の従業員によって所有されているそうで、それ以外は同社に昔から投資を行っている一部の投資家が所有しているそうです。
新株発行なのか売出しもあるのかなど、オファリング形態の詳細は不明ですが、WSJによると同社は$700mm(約840億円)規模のオファリングを計画しているそうです。
Goldmanは最終的にこの市場をNYSEのようなものにすることを目指しているようですが、その為には一般の株式市場と同様のバリュエーションが実現できるかや、売買の流動性を保てるか、そして何より十分な数の企業をこの市場にひきつけることが出来るかなど、様々なハードルがある気がします。
とは言え最近のファンドのニーズと投資家のニーズを捉えた非常に興味深い取り組みであり、Oaktreeに続く参加者がどの程度現れるかなど、今後の展開に注目したいと思います。
5月10日のWSJや5月11日のLA Timesの記事によると、この市場はGS Tradable Unregistered Equity OTC Market(略してGSTrUE)という名前だそうで、何と発音するのか分かりませんが、オルタナティブファンドなど未上場企業の株式を売買対象とし、市場参加者をプロの投資家に限った市場だそうです。
詳しいことは分かりませんが、この市場によって投資ファンドはIPOをすることなく株式の売却が行えるようになるそうで、また市場参加者も、QIBと呼ばれる適格機関投資家や富裕層といった、いわゆる現在までのオルタナティブファンドの投資家に限られるようです。
何故このような話題がLA Timesに載っていたのかと言うと、この市場に参加する第一号として名乗りを上げたのが、ロサンゼルスを本拠に置く大手のオルタナティブファンド、Oaktree Capital Managementだと報じられているからです。
同社は不良債権などのディストレスト投資で知られる1995年設立のファンドで、運用資産は$40bn(約4.8兆円)に上ると言われる大手です。私の知る限りでは、同社はディストレスト投資以外にも、LBO、上場株のヘッジファンド、メザニンファンド、エナジーファンドなど、様々な投資チームを抱えているようで、東京や香港を含む世界中に投資拠点を有しています。
WSJにもありましたが、最近のファンドのIPOブームにも見られるように、投資ファンド業界では、自らの持分を売却してある程度の利益を確定したいというニーズが高まっているといわれます。ただプライベートエクイティファンドやヘッジファンドの中には、上場することで自らの最大の資産とも言える投資ノウハウが広く一般に知られてしまうことを恐れるところが多く存在するのも事実です。
またこれらのファンドのマネージャーの中には、上場企業であることの様々な制約、例えばファイリングの義務や外部からの経営監視を嫌い、自由に投資活動が出来るプライベートファンドの形態を強く好む人も多くいると思われるため、IPOをしてしまうと、そのような人たちが退社してしまう恐れもあります。
このような現状を踏まえた上で、市場参加者を状況がよく分かった投資家に限定し、また上場に関する公のディスクロージャー規制などを排した上でファンド側に利便性を提供しようというのが、Goldmanのユニークな狙いなのかもしれません。
Oaktreeは、その85%が9人のパートナーと70人の従業員によって所有されているそうで、それ以外は同社に昔から投資を行っている一部の投資家が所有しているそうです。
新株発行なのか売出しもあるのかなど、オファリング形態の詳細は不明ですが、WSJによると同社は$700mm(約840億円)規模のオファリングを計画しているそうです。
Goldmanは最終的にこの市場をNYSEのようなものにすることを目指しているようですが、その為には一般の株式市場と同様のバリュエーションが実現できるかや、売買の流動性を保てるか、そして何より十分な数の企業をこの市場にひきつけることが出来るかなど、様々なハードルがある気がします。
とは言え最近のファンドのニーズと投資家のニーズを捉えた非常に興味深い取り組みであり、Oaktreeに続く参加者がどの程度現れるかなど、今後の展開に注目したいと思います。
by harry_g
| 2007-05-14 13:46
| LBO・プライベートエクイティ