2007年 01月 31日
LBOは投資家の敵か味方か |
最近CNBCか何かで投資家にとってのLBOの善し悪しについての議論を耳にしたので、それについて少々考えて見たのですが、結論から言うと、この話は「投資家」が誰かによって変わってくる気がします。
まずファンドへの出資者という意味の投資家から見れば、これは今のところは「味方」と言って間違いないかと思います。毎年高いリターンを生み出す原因となっているLBOへの投資拡大が止まるところを知らない事実が、この議論を裏付けていると言えそうです。
では株式投資家から見たらどうかと言うと、バリュエーションのサポートを提供し(株価の安値を支え)、レバレッジドファイナンスの市場環境次第ではそれこそかなりのプレミアムで企業を買収してくれるLBOファンドは、決してネガティブな存在とは言えない気がします。
もちろん、どんどん企業が買われていってしまうことは、運用先が減るという意味ではネガティブと言えなくもありません。それでもそれが市場の原理に則った投資活動である以上、そのことを批判する声はあまり聞かれない気がします。
レバレッジドファイナンスの投資家にとっても、多くの投資機会を創出しているLBOは、これも今のところは「味方」と言える存在かもしれません。リスクの高い投資商品が次々と生まれることに懸念する声もありますが、デフォルト率も低位で推移しているようで、その心配は具現化していないようです。(そのうちするでしょうが。。。)
ただ、デットの投資家全般にとって本当に「味方」と言えるかと言うと、これは少々違うかもしれません。と言うのは、これは意外とスポットが当たることがないですが、被買収企業の既存のデット投資家は、追加のレバレッジにより大きな影響を受けることになるからです。
LBOでは、既存のボンドよりも支払い順序の高い(よりシニアな)バンクデットやシニアデットが大量に利用されることが通常なため、既存のボンドホルダーは必然的に、キャピタルストラクチャーのよりジュニアな部分に押しやられてしまいます。
その結果より高いデフォルトリスクに晒されることになり、ボンド価格は下落の憂き目にあうわけで、そう考えるとLBOは「敵」と呼ぶべき存在なのかもしれません。
もちろん、キャピタルストラクチャーの一番下にはLBOファンドのエクイティがあるわけで、新規デットをアレンジしている張本人であるLBOファンドがデフォルトリスクがあるようなレバレッジを取り込むわけがない、と考えることも出来ます。それでも相対的にクレジットリスクが上昇することは間違いなく、既存ボンドホルダーは被害を受けることになる、と言える気がします。
そんな話を去年の年末に、Boston Grobe(だったと思いますが)が、「Left holding the bond」という面白いタイトルの記事を書いていたと記憶しています。(出典をなくしてしまったので、間違っていたらすいません。)
その記事の中で例挙されていたHCAのバイアウトでは、案件発表後に既存のボンド価格は15%も下落したそうです。ボンドのクーポンが何%だったか知りませんが、恐らく二年分くらいのリターンが一瞬で吹き飛んだのではないかと思います。
こんな現状、まさにこの記事にあったボンド投資家の言葉、「エクイティ投資家に良いニュースはボンド投資家には悪いニュースだ」がよく表している気がします。そしてデット投資家の世界では、「LBOされそうな企業一覧:これらの企業のボンドを買うな(またはショートしろ)」といった類のレポートが出回っているようです。
しかしこうして考えてみると、今更の議論ですが、今まではLBOブーム前にデットを発行していた企業を主にバイアウトをして、シニアデットを簡単に積み上げていたのが、今後はそれも徐々に難しくなるのかもしれません。
デットの投資家でないのでその辺りの現状は分かりませんが、より多くの投資家が、LBOされたら大きくやられる可能性のあるデットへの投資には躊躇するようになり、その結果、より厳しい発行条件が広がっても不思議ではない気がします。
ちなみに、既存のボンドホルダーも黙ってやられているわけではなく、発行体がバイアウトされてクレジットが悪化するリスクをヘッジするために、CDS(クレジットデフォルトスワップ)を頻繁に利用していると聞きます。
CDSの価格はクレジットリスク拡大に伴って上昇するため、上記の記事にもあったと記憶していますが、簡単に言うと企業破綻に対する保険のようなものと言えるかもしれません。ウォールストリートでは「ニーズあるところに商品あり」が常で、今更という感じですが、改めて何ともクリエイティブな商品だと思います。
まずファンドへの出資者という意味の投資家から見れば、これは今のところは「味方」と言って間違いないかと思います。毎年高いリターンを生み出す原因となっているLBOへの投資拡大が止まるところを知らない事実が、この議論を裏付けていると言えそうです。
では株式投資家から見たらどうかと言うと、バリュエーションのサポートを提供し(株価の安値を支え)、レバレッジドファイナンスの市場環境次第ではそれこそかなりのプレミアムで企業を買収してくれるLBOファンドは、決してネガティブな存在とは言えない気がします。
もちろん、どんどん企業が買われていってしまうことは、運用先が減るという意味ではネガティブと言えなくもありません。それでもそれが市場の原理に則った投資活動である以上、そのことを批判する声はあまり聞かれない気がします。
レバレッジドファイナンスの投資家にとっても、多くの投資機会を創出しているLBOは、これも今のところは「味方」と言える存在かもしれません。リスクの高い投資商品が次々と生まれることに懸念する声もありますが、デフォルト率も低位で推移しているようで、その心配は具現化していないようです。(そのうちするでしょうが。。。)
ただ、デットの投資家全般にとって本当に「味方」と言えるかと言うと、これは少々違うかもしれません。と言うのは、これは意外とスポットが当たることがないですが、被買収企業の既存のデット投資家は、追加のレバレッジにより大きな影響を受けることになるからです。LBOでは、既存のボンドよりも支払い順序の高い(よりシニアな)バンクデットやシニアデットが大量に利用されることが通常なため、既存のボンドホルダーは必然的に、キャピタルストラクチャーのよりジュニアな部分に押しやられてしまいます。
その結果より高いデフォルトリスクに晒されることになり、ボンド価格は下落の憂き目にあうわけで、そう考えるとLBOは「敵」と呼ぶべき存在なのかもしれません。
もちろん、キャピタルストラクチャーの一番下にはLBOファンドのエクイティがあるわけで、新規デットをアレンジしている張本人であるLBOファンドがデフォルトリスクがあるようなレバレッジを取り込むわけがない、と考えることも出来ます。それでも相対的にクレジットリスクが上昇することは間違いなく、既存ボンドホルダーは被害を受けることになる、と言える気がします。
そんな話を去年の年末に、Boston Grobe(だったと思いますが)が、「Left holding the bond」という面白いタイトルの記事を書いていたと記憶しています。(出典をなくしてしまったので、間違っていたらすいません。)
その記事の中で例挙されていたHCAのバイアウトでは、案件発表後に既存のボンド価格は15%も下落したそうです。ボンドのクーポンが何%だったか知りませんが、恐らく二年分くらいのリターンが一瞬で吹き飛んだのではないかと思います。
こんな現状、まさにこの記事にあったボンド投資家の言葉、「エクイティ投資家に良いニュースはボンド投資家には悪いニュースだ」がよく表している気がします。そしてデット投資家の世界では、「LBOされそうな企業一覧:これらの企業のボンドを買うな(またはショートしろ)」といった類のレポートが出回っているようです。
しかしこうして考えてみると、今更の議論ですが、今まではLBOブーム前にデットを発行していた企業を主にバイアウトをして、シニアデットを簡単に積み上げていたのが、今後はそれも徐々に難しくなるのかもしれません。
デットの投資家でないのでその辺りの現状は分かりませんが、より多くの投資家が、LBOされたら大きくやられる可能性のあるデットへの投資には躊躇するようになり、その結果、より厳しい発行条件が広がっても不思議ではない気がします。
ちなみに、既存のボンドホルダーも黙ってやられているわけではなく、発行体がバイアウトされてクレジットが悪化するリスクをヘッジするために、CDS(クレジットデフォルトスワップ)を頻繁に利用していると聞きます。
CDSの価格はクレジットリスク拡大に伴って上昇するため、上記の記事にもあったと記憶していますが、簡単に言うと企業破綻に対する保険のようなものと言えるかもしれません。ウォールストリートでは「ニーズあるところに商品あり」が常で、今更という感じですが、改めて何ともクリエイティブな商品だと思います。
by harry_g
| 2007-01-31 15:28
| LBO・プライベートエクイティ


