2006年 11月 23日
「PEファンドは世界を制する」 |
しばらく前にもある友人がLBO業界の重鎮のスピーチを聞いたと言う話を書きましたが、別の友人が、また別の某大手LBOファンドの設立者がNYのレバレッジドファイナンス投資家向けカンファレンスで語る所を聞いたと話してくれました。なかなか興味深い内容だったので、その内容をご紹介します。
内容を端的に言うと、「プライベートエクイティは世界を制する」です。
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「2007年の半ばまでにLBOの総額は$50bn(約5.8兆円)に迫り、PEファンドは$100bn(約12兆円)以上を運用するに至る」
具体的なデータは分かりませんが、最近では1兆円を超えるLBOも当たり前に見られるようになってきているので、このような数字は十分達成可能な気がします。他の人で10兆円規模のLBOも可能だという話すら聞いたことがありますが、さすがにその規模は未だに見られません。
ただ最近史上最大のLBOかと騒がれた病院チェーンHCAのMBOに用いられるバンクローンの額($5.7bn)は、最近のFreescaleの$6bn、KKRを一躍有名にした89年のRJR案件の$8.5bnのHYと並んで史上最大規模であるそうで、この調子だとクレジットバブルの懸念も「どこ吹く風」と案件拡大は続くのかもしれません。
「LBOできないセクターはもはや存在しない」
これは以前にテックLBOのところで触れた通りのようです。レバレッジの力があれば買えないセクターは無いと言うことなのかもしれませんが、少々Bullish過ぎるLBOファンドの姿勢に懸念を示す向きが増えてきているのも確かです。最近では一般のビジネス誌などでも、LBOの結果破産に追い込まれた企業の話などを見かけるようになっています。
「今後数年で大手LBOファンドは追加で$50bn近くを調達し、機関投資家からPEへのアロケーションは増加傾向を続ける」
これは他からも確認できるようなコメントを聞いています。機関投資家は、お互いのアセットアロケーションをチェックし合っているようで、PEへのアロケーションが高かった所が高いリターンを上げている結果、その他の投資家もPEへの資金流入を加速させている、と言うことなのかもしれません。
「その結果PEファンドは徐々に別のアセットクラス(不動産、ヘッジファンドなど?)に進出する」
実際にこのような動きを大規模にやっているのが、最大手LBOファンドのBlackstone(不動産ファンド、ヘッジファンドなども運用)かもしれません。これら別のエリアでLBOのノウハウが直接生かせるかは分かりませんが、LBOで築いた実績をもってウォールストリートから一流の人材を惹きつけ続ければ、十分に可能なのかもしれません。
「個人投資家もPEに投資するようになる」
と言うことは、多くのファンドがIPOを検討している、と言うことなのかもしれません。実際にこのスピーカーは、今後多くのLBOファンドが上場企業化することを予想しており、LBO(公開企業買収)の加速とあいまって、「最終的に上場しているのはPEファンドのみとなるだろう」とまで言い放っていたそうです。
「PEファンドのIRRは徐々に低下するが、一般株式のリターン(インデックス)よりは高いものとなる」
このコメントの根拠はよく分かりませんが、PEもある意味ではパブリックマーケットの歪みを利用したアービトラージであることから、その歪みが解消されるまでは、相対的に高いリターンを上げ続けるのは可能なのかもしれません。
ただ当然規模が大きくなるにつれてリスクが高まるのも確かであり、失敗案件は大きく響いてくるでしょうし、エグジット戦略の多くがIPOとM&A、つまり好調な株式市場に依存していることも懸念材料と言える気がします。
「大手LBOファンドは『一流ブランド』となり、21世紀の資本主義の『顔』となる」
なかなか笑えるコメントですが、一流ブランドと言うのは少なくとも金融業界内では既にそうなっており、ウォールストリートのトップの人材をPEファンドやヘッジファンドが引きつけているのは、いつも書いている通りです。一般への知名度はまだ低いですが、今後上場していくのであれば、それも変わってくるかもしれません。
そして21世紀の資本主義の「顔」という存在にまで、いわば今までの投資銀行のような存在にまで成長して行くかはわかりませんが、投資銀行も50年前には小ぶりのブティックであり、つい最近まで未上場企業であったことを考えると、あながち無い話ではないのかもしれません。
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・・・以上、これはレバレッジドファイナンスの投資家向けのスピーチであり、強気の姿勢を示すのが極めて重要な場でしょうから、その辺は割り引いて考えた方がいいとは思いますが、それにしても興味深い内容です。(ちなみにレバレッジドファイナンスの関係者は業界内でもアグレッシブなタイプの人たちが多く、投資銀行内のグループのカルチャーも、何となくそれを反映したものになっている気がします。)
そしてこのスピーカーのような強気な態度がPE業界にある反面、別の最大手ファンドの創立者は、他のカンファレンスで現状のLBOファンドの状況はテックバブル期のベンチャーキャピタルに似ており、起こり得るクレジットバブルの破綻は、経済全体に深刻な打撃を与えるだろうと発言していた事実もあります。
また先日書いたようなMBOにかかわる法的問題や、クラブディールの法的問題なども指摘され始めており、今後もLBOがどの程度発展し続けるかはウォールストリートの最もホットなトピックの一つと言えそうです。

内容を端的に言うと、「プライベートエクイティは世界を制する」です。
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「2007年の半ばまでにLBOの総額は$50bn(約5.8兆円)に迫り、PEファンドは$100bn(約12兆円)以上を運用するに至る」
具体的なデータは分かりませんが、最近では1兆円を超えるLBOも当たり前に見られるようになってきているので、このような数字は十分達成可能な気がします。他の人で10兆円規模のLBOも可能だという話すら聞いたことがありますが、さすがにその規模は未だに見られません。
ただ最近史上最大のLBOかと騒がれた病院チェーンHCAのMBOに用いられるバンクローンの額($5.7bn)は、最近のFreescaleの$6bn、KKRを一躍有名にした89年のRJR案件の$8.5bnのHYと並んで史上最大規模であるそうで、この調子だとクレジットバブルの懸念も「どこ吹く風」と案件拡大は続くのかもしれません。
「LBOできないセクターはもはや存在しない」
これは以前にテックLBOのところで触れた通りのようです。レバレッジの力があれば買えないセクターは無いと言うことなのかもしれませんが、少々Bullish過ぎるLBOファンドの姿勢に懸念を示す向きが増えてきているのも確かです。最近では一般のビジネス誌などでも、LBOの結果破産に追い込まれた企業の話などを見かけるようになっています。
「今後数年で大手LBOファンドは追加で$50bn近くを調達し、機関投資家からPEへのアロケーションは増加傾向を続ける」
これは他からも確認できるようなコメントを聞いています。機関投資家は、お互いのアセットアロケーションをチェックし合っているようで、PEへのアロケーションが高かった所が高いリターンを上げている結果、その他の投資家もPEへの資金流入を加速させている、と言うことなのかもしれません。
「その結果PEファンドは徐々に別のアセットクラス(不動産、ヘッジファンドなど?)に進出する」
実際にこのような動きを大規模にやっているのが、最大手LBOファンドのBlackstone(不動産ファンド、ヘッジファンドなども運用)かもしれません。これら別のエリアでLBOのノウハウが直接生かせるかは分かりませんが、LBOで築いた実績をもってウォールストリートから一流の人材を惹きつけ続ければ、十分に可能なのかもしれません。
「個人投資家もPEに投資するようになる」
と言うことは、多くのファンドがIPOを検討している、と言うことなのかもしれません。実際にこのスピーカーは、今後多くのLBOファンドが上場企業化することを予想しており、LBO(公開企業買収)の加速とあいまって、「最終的に上場しているのはPEファンドのみとなるだろう」とまで言い放っていたそうです。
「PEファンドのIRRは徐々に低下するが、一般株式のリターン(インデックス)よりは高いものとなる」
このコメントの根拠はよく分かりませんが、PEもある意味ではパブリックマーケットの歪みを利用したアービトラージであることから、その歪みが解消されるまでは、相対的に高いリターンを上げ続けるのは可能なのかもしれません。
ただ当然規模が大きくなるにつれてリスクが高まるのも確かであり、失敗案件は大きく響いてくるでしょうし、エグジット戦略の多くがIPOとM&A、つまり好調な株式市場に依存していることも懸念材料と言える気がします。
「大手LBOファンドは『一流ブランド』となり、21世紀の資本主義の『顔』となる」
なかなか笑えるコメントですが、一流ブランドと言うのは少なくとも金融業界内では既にそうなっており、ウォールストリートのトップの人材をPEファンドやヘッジファンドが引きつけているのは、いつも書いている通りです。一般への知名度はまだ低いですが、今後上場していくのであれば、それも変わってくるかもしれません。
そして21世紀の資本主義の「顔」という存在にまで、いわば今までの投資銀行のような存在にまで成長して行くかはわかりませんが、投資銀行も50年前には小ぶりのブティックであり、つい最近まで未上場企業であったことを考えると、あながち無い話ではないのかもしれません。
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・・・以上、これはレバレッジドファイナンスの投資家向けのスピーチであり、強気の姿勢を示すのが極めて重要な場でしょうから、その辺は割り引いて考えた方がいいとは思いますが、それにしても興味深い内容です。(ちなみにレバレッジドファイナンスの関係者は業界内でもアグレッシブなタイプの人たちが多く、投資銀行内のグループのカルチャーも、何となくそれを反映したものになっている気がします。)
そしてこのスピーカーのような強気な態度がPE業界にある反面、別の最大手ファンドの創立者は、他のカンファレンスで現状のLBOファンドの状況はテックバブル期のベンチャーキャピタルに似ており、起こり得るクレジットバブルの破綻は、経済全体に深刻な打撃を与えるだろうと発言していた事実もあります。
また先日書いたようなMBOにかかわる法的問題や、クラブディールの法的問題なども指摘され始めており、今後もLBOがどの程度発展し続けるかはウォールストリートの最もホットなトピックの一つと言えそうです。
by harry_g
| 2006-11-23 11:15
| LBO・プライベートエクイティ


