2006年 09月 29日
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このようなタイトルにすると、アメリカ人から中等教育の話かと突っ込まれそうですが、LBOに関連した「未上場化」に関する話です。前回のブログで、Business Weekの9月11日号を参照して、テック企業とバイアウトファンドが最近テック業界のLBOに積極的な訳を書きました。そこで挙げられていた理由はこんな感じだったと思います。
① サイズ的にLBOが可能な企業が増えているから
② ウォールストリートに嫌われているから
③ ウォールストリートが嫌いだから
④ 監視されるのはコリゴリだから
⑤ 大金持ちになれるから
そしてそのエントリーの最後に、現実はそんなに甘くないのでは、と書きましたが、それは上記のうち、特に③と④についての話です。

まず、③のウォールストリートと距離を置きたい、四半期ベースの経営管理から開放されたいという点ですが、バイアウトによる未上場化を賞賛するマネジメントが必ず主張することは、ウォールストリートは過度に四半期業績を重視しており、その結果、長期的な視点で経営をすることを困難にしている、と言うことです。この話は、過去にコンサル大手のマッキンゼーによるレポートを参照したブログ「"Short-term"ism」にも書きましたが、個人的には必ずしも賛同できない面があります。
また、今回参照しているBusiness Weekの記事にもあった通り、LBOでハイイールド債を発行すれば、結局は四半期ごとの経営が避けられないことになります。またLBOのストラクチャーのうちのシニア部分(レバレッジドローン)に関しては、銀行によっては四半期どころか毎月の業績報告を求めるところもあり、資金使途についても厳しい制約が課されることが常です。実際、こうしたバンクデットの面倒さを嫌って、若干金利が上がってもローンを全てハイイールド債に置き替えたい、と言う企業の案件を過去にやったことがあります。
上記の④についても、公開企業でなくなったらコーポレートガバナンスが緩む、というのもどうかと思います。LBOされても株主が一般投資家からバイアウトファンドに置き換わるだけであり、前にも書いた通りの金融・経営業界のエリート集団であるLBOファンドが、マネジメントに対して一般株主よりも「甘い」経営を許すと考えるのは、少々楽天的かもしれません。
例えばとある案件で、LBOされた会社で長年CEOを勤めていた業界の重鎮が突如失職したり、CFOがデットの投資家から評判が悪いからとクビになったケースなどを目にしたこともあります。この会社の場合には、新たにCEOの職に就いたのはLBOファンドが別業界から連れて来た人で、元バンカーであるこのCFOは、この後に職探しに大変苦労していた様子でした。
もちろんLBOファンドは、買収前にマネジメントとビジネスプランを話し合い、その合意内容はある程度長期なものなのかもしれません。でもそれは、多くの一般投資家が究極的に企業に期待することと同様であるはずで、四半期毎の業績管理という話を強調し過ぎるのもどうかと思います。
何にしてもLBOである以上はデットの投資家が存在し、バイアウトファンドとしても確実なデットの返済(実は最も最近は、リストラによるマルチプルの拡大によりフォーカスする傾向が強まっているようです)を進めていくことが自らのリターン最大化の近道とも言えるため、結局マネジメントは、株主による厳しい監視下に置かれることになる気がします。
このように考えると、一般の株主や規制当局からの目から逃れたいという理由で自社をプライベタイズさせるのは、やはり何か違う気がします。それでも「PEファンドの方が事業を長期に見てくれる」、と言ったような発言を憚らない経営者が多いのには、正直驚きです。(現場を知っている方がいたら、是非コメントを頂ければと思います。)
色々考えてみると、⑤に挙げられていた、LBOで会社を売却するとマネジメントが「個人的に」大金持ちになれると言う点が、最近テック業界のLBOを後押しする一番大きい理由なのではという気がしてきます。しかし、結局マネジメントが自らの懐を潤すためにLBOを推進していると言うことになると、数回前に書いた「MBOの違法性」のような議論が一般株主の間から出てくるのも、ごく自然な流れなのかもしれません。(このエントリーには、弁護士である友人達からトラックバックを頂き、より詳しい解説をして頂きました。ありがとうございました。)
何にしろバイアウトの動向は株式市場のバリュエーションにも大きな影響を与えますし、色々な意味で一般の株主や投資家にも大きく関わってくる話なので、今後の展開から目が話せないところです。
尚、未上場化に関わるネタはBusiness Weekのお気に入りのようで、同誌の別の記事を参照したエントリー(「"Going Private?"」)を過去に書いたことがあるので、ご参考まで。
① サイズ的にLBOが可能な企業が増えているから
② ウォールストリートに嫌われているから
③ ウォールストリートが嫌いだから
④ 監視されるのはコリゴリだから
⑤ 大金持ちになれるから
そしてそのエントリーの最後に、現実はそんなに甘くないのでは、と書きましたが、それは上記のうち、特に③と④についての話です。

また、今回参照しているBusiness Weekの記事にもあった通り、LBOでハイイールド債を発行すれば、結局は四半期ごとの経営が避けられないことになります。またLBOのストラクチャーのうちのシニア部分(レバレッジドローン)に関しては、銀行によっては四半期どころか毎月の業績報告を求めるところもあり、資金使途についても厳しい制約が課されることが常です。実際、こうしたバンクデットの面倒さを嫌って、若干金利が上がってもローンを全てハイイールド債に置き替えたい、と言う企業の案件を過去にやったことがあります。
上記の④についても、公開企業でなくなったらコーポレートガバナンスが緩む、というのもどうかと思います。LBOされても株主が一般投資家からバイアウトファンドに置き換わるだけであり、前にも書いた通りの金融・経営業界のエリート集団であるLBOファンドが、マネジメントに対して一般株主よりも「甘い」経営を許すと考えるのは、少々楽天的かもしれません。
例えばとある案件で、LBOされた会社で長年CEOを勤めていた業界の重鎮が突如失職したり、CFOがデットの投資家から評判が悪いからとクビになったケースなどを目にしたこともあります。この会社の場合には、新たにCEOの職に就いたのはLBOファンドが別業界から連れて来た人で、元バンカーであるこのCFOは、この後に職探しに大変苦労していた様子でした。
もちろんLBOファンドは、買収前にマネジメントとビジネスプランを話し合い、その合意内容はある程度長期なものなのかもしれません。でもそれは、多くの一般投資家が究極的に企業に期待することと同様であるはずで、四半期毎の業績管理という話を強調し過ぎるのもどうかと思います。
何にしてもLBOである以上はデットの投資家が存在し、バイアウトファンドとしても確実なデットの返済(実は最も最近は、リストラによるマルチプルの拡大によりフォーカスする傾向が強まっているようです)を進めていくことが自らのリターン最大化の近道とも言えるため、結局マネジメントは、株主による厳しい監視下に置かれることになる気がします。
このように考えると、一般の株主や規制当局からの目から逃れたいという理由で自社をプライベタイズさせるのは、やはり何か違う気がします。それでも「PEファンドの方が事業を長期に見てくれる」、と言ったような発言を憚らない経営者が多いのには、正直驚きです。(現場を知っている方がいたら、是非コメントを頂ければと思います。)
色々考えてみると、⑤に挙げられていた、LBOで会社を売却するとマネジメントが「個人的に」大金持ちになれると言う点が、最近テック業界のLBOを後押しする一番大きい理由なのではという気がしてきます。しかし、結局マネジメントが自らの懐を潤すためにLBOを推進していると言うことになると、数回前に書いた「MBOの違法性」のような議論が一般株主の間から出てくるのも、ごく自然な流れなのかもしれません。(このエントリーには、弁護士である友人達からトラックバックを頂き、より詳しい解説をして頂きました。ありがとうございました。)
何にしろバイアウトの動向は株式市場のバリュエーションにも大きな影響を与えますし、色々な意味で一般の株主や投資家にも大きく関わってくる話なので、今後の展開から目が話せないところです。
尚、未上場化に関わるネタはBusiness Weekのお気に入りのようで、同誌の別の記事を参照したエントリー(「"Going Private?"」)を過去に書いたことがあるので、ご参考まで。
by harry_g
| 2006-09-29 03:52
| LBO・プライベートエクイティ


