2006年 09月 28日
テックLBOが盛んなわけ |
前回Business Weekの「The LBO Gang Storms The Valley」と言う記事を参照して、なぜテック企業のLBOが注目を浴びているかと言う話について書きました。テック業界はもはやLBOターゲットとして例外ではなく、むしろ積極的な分野に入っているという話で、数年前に投資銀行のテックグループと言えばまずデット絡みの案件がなかったことを思い出すと、何とも不思議な感じです。それだけLBO市場が急速に成長している証なのかもしれません。
ともかく今回は前回の続きとして、なぜテック企業の経営陣もPEファンドもLBOに積極的なのかについて、ちょっと書いてみます。
まずBusiness Weekに挙げられていた理由は、以下の5点だったと思います。
① サイズ的にLBOが可能な企業が増えているから
活発なプライベートエクイティへの資金流入と、デット系のヘッジファンドなどによるハイイールド債等への強い需要などにより、最近アメリカのLBOのディールサイズは拡大の一途を辿っています。私が投資銀行にいた頃も、1,000億円以下の案件は「小型案件」と見なされ、大型案件は$5bn以上、巨大案件として$10bnと言う案件もあったのを覚えています。
そのトレンドは更に加速し、最近では$50bn(約5.5兆円)と言った、かつては考えられなかった規模の案件も確実に視野に入って来ていると言われます。そうなると、テック業界ではSun MicrosystemsやAMDと言った大企業ですら、バイアウトの対象になりえることになります。
② ウォールストリートに嫌われているから
テックバブルが崩壊して以来、テック企業はトップラインの高い成長を維持することが困難になっており、株価評価も以前と比べると相当厳しいものになって来ています。それに対して、LBOファンドから見ると、多額の現金を産むテック業界は非常に魅力的であり、かつての投資銀行に変わってラブコールを送っているというわけです。
③ ウォールストリートが嫌いだから
企業が四半期ごとの業績を意識しながら必死に経営しても、株式の投資家であるファンドマネージャーやデイトレーダー達は、業績が気に入らないとすぐに株を手放してしまいます。それに対して、投資期間が数年単位であるPEファンドなら、長期的視点からの経営を可能にしてくれることが期待できるというロジックが成り立ちます。
④ 監視されるのはコリゴリだから
エンロン・ワールドコムの不正の後、サーベンス・オクスレー法の導入などもあり、経営陣に対する株主や一般からの目は大変厳しいものになっています。バイアウトされてしまえば、そのような追求を表面上は回避することができ、余計な心配や手間が省けることになります。
⑤ 個人的に「大金持ち」になれるから
LBOファンドに「買収される」と言うことは、そこで市場株価に対してコントロールプレミアム(Business Weekは通常20%と買いていますが、これは完全にケースバイケース)分だけ、まず株価が高く評価されることになります。また、経営陣にとっては、ファンドとの共同出資や巨額のオプションが認められるなど、上場企業では出来ないような美味しいディールを享受することが出来ます。
…以上、ここで挙げられている事の他にも、KKRやBlackstoneと言った会社はウォールストリートや実業界からトップ中のトップの人材を集めた超エリート集団であり、そのような企業が買収の判断を下したと言う事実自体が、同じ船に乗ることになるマネジメントに大変な安心感を与えると言うこともあるかもしれません。
ともかく、上記のような話はプライベートエクイティファンドが企業に対してMBOをピッチする際のプレゼンテーションにも出てきそうな話です。ただちょっと考えてみると、現実はそんなに甘いものではない気がします。
この話の「おち」として、「Private vs. Public」の話をしたかったのですが、また長くなってしまったので、明日また投稿します。
by harry_g
| 2006-09-28 02:45
| LBO・プライベートエクイティ


