2006年 06月 14日
PE・HFへのキャリア |
前回のブログで、将来的にヘッジファンドやPEに就職したい場合、バンカーになるのが良いのかトレーダーになるのが良いのかと言う質問を頂きました。
一言で言うと、これはどんな仕事をしたいかによって異なると思います。以下は私の個人的経験や知人から聞いた話に基づいており、内容がアメリカでの事情に偏りがちですが、何らかの参考になればと思います。(思い込みで書いているのは今回に限ったことではないので、間違いがあったら鋭く指摘して頂ければ幸いです。)
まずPEに関しては、バンカーか弁護士になるのが良いと思います。専門分野としては、Leveraged FinanceかM&Aが望ましいです。と言うのは、プライベートエクイティの人たちはいわゆる「専門家集団」であり、資金調達やM&Aの法務や会計など細かな知識が非常に重要となるからです。
もちろん案件発掘(ソーシング)には業界知識が重要ですが、それは投資銀行のカバレッジバンカーや業界から雇った人から得ることが出来ますし、コンサルタントを雇うことも出来ます。それよりも、案件の内容で最も有利な条件を引き出す能力の方が重視される気がします。
ただこれはアメリカでの話で、日本ではコンサルタントの出身者が多いと聞きます。その理由は、アメリカでPEと言うとLBOのようなフィナンシャルエンジニアリングのような案件を一般に指すのに対して、日本ではPE投資やハイイールド市場(と言うか社債全般)が未発達であることから、リストラ案件のような経営のノウハウを必要とする案件が多いためだと思います。
ただ、アメリカでもPEと言っても色々あり、事業投資系のファンドには、コンサルタントや商社出身の方などもいるようです。また日本でも今後LBOが本格的に発達して来るようでしたら、投資銀行でLevFinやM&Aの専門知識をつけておくことは極めて有用と思われます。実際欧州はまさにその道を辿っており、元々はコンサル出身者で占められていたPE業界に、最近どんどん投資銀行出身者が入っているそうです。
またアメリカのPE業界は、一部例外もありますが、一般的に学歴を非常に重視します。企業売買を生業とするセンシティブな商売なので当然とも言えますが、シニアな人の多くが高校から東海岸のボーディングスクールなどに行き、結果的に政財界にコネを有しているようで、結果的に外国人が活躍するには高い壁がある気がします。
これは投資銀行にもある程度共通して言えることですが、アメリカでIBやPEのようなリレーションシップビジネスをやりたければ、外国人が取るべき道は特定のプロダクトの圧倒的な専門家になるということだと思います。実際そのような道で活躍する人はいますし、そうでなければ一定期間を欧米で働いた後に母国に帰って仕事をするのがベストと言えそうです。
ヘッジファンドの場合には回答は複雑です。というのも以前に書いた通り、ヘッジファンドには運用スタイルによって「多くの種類」があるからです。絶対リターンを上げることを究極目標にすると言う点で、カルチャーは全般的にウォールの「マーケットサイド」に近いですが、出身者が必ずしもトレーダー出身とは限りません。
私の理解する限りでは、まずグローバルマクロやマネージドフューチャーズなどの債券・為替系ファンドは、債券部のトレーダーやデリバティブ、リサーチの出身者が多いようです。転換社債ファンドの場合には、バンカー出身者、リサーチ出身者、トレーダー出身者など色々いるようですが、やはりマーケットサイドのバックグラウンドの人が多い気がします。友人の一人は、M&Aブティック→債券リサーチ→転換社債ファンドというキャリアを積んでいます。
株式ファンドの場合、株式ロングショートは投資スタイルが企業のファンダメンタルズ分析によることが基本なため、バンカー、セルサイド/バイサイドアナリスト、プライベートエクイティ、株式セールスの順に出身先が多いように思います。ただ、必要とされるスキルが似ているとは言え、リターンを追及するという仕事の性格はセルサイドとは大きく異なります。よってセルサイド出身者、特にバンキング出身者は、面接の際にヘッジファンド業務への「適正」を徹底的に問われます。また最近ではMBA新卒を採るケースも増えているようですが、そういう人たちは以前にファイナンスの経験がある人がほとんどです。
リスクアービトラージのファンドは、アメリカではトレーダー出身者が多いようです。リスクアービトラージはM&Aを収益機会にするファンドなので、何となくバンカー出身者が多そうな気がしますが、仕事内容がM&Aの憶測やニュースに基づく株式の短期トレーディングであることが多く、結果的に瞬時に反応出来るトレーダーの方が向いているようです。実際友人で、バンキングからアーブデスクに移った所、思っていたのと全然違ったため、現在ロングショートのファンドを受けている人もいます。
ちなみにアジア(日本・香港)では、バンカー出身者がリスクアーブのファンドに入るケースが多いようです。その理由は、実際にそのようなファンドで働いている友人の話によると、アジアではM&Aが少ないため、リスクアーブのファンドも結局ロングショートのストラテジーを採っているからのようです。
アクティビストのようなファンドには、バンカーや弁護士出身者が多いようですが、これはPEに近い業態であることから頷けます。
他にも昔のブログ「キャリアの選択」「ファンドの仕事の共通点」「バンカーのエグジット」「IBのスキルの汎用性」なども、何らかの参考になるかもしれませんのでご参考まで。
一言で言うと、これはどんな仕事をしたいかによって異なると思います。以下は私の個人的経験や知人から聞いた話に基づいており、内容がアメリカでの事情に偏りがちですが、何らかの参考になればと思います。(思い込みで書いているのは今回に限ったことではないので、間違いがあったら鋭く指摘して頂ければ幸いです。)
まずPEに関しては、バンカーか弁護士になるのが良いと思います。専門分野としては、Leveraged FinanceかM&Aが望ましいです。と言うのは、プライベートエクイティの人たちはいわゆる「専門家集団」であり、資金調達やM&Aの法務や会計など細かな知識が非常に重要となるからです。
もちろん案件発掘(ソーシング)には業界知識が重要ですが、それは投資銀行のカバレッジバンカーや業界から雇った人から得ることが出来ますし、コンサルタントを雇うことも出来ます。それよりも、案件の内容で最も有利な条件を引き出す能力の方が重視される気がします。
ただこれはアメリカでの話で、日本ではコンサルタントの出身者が多いと聞きます。その理由は、アメリカでPEと言うとLBOのようなフィナンシャルエンジニアリングのような案件を一般に指すのに対して、日本ではPE投資やハイイールド市場(と言うか社債全般)が未発達であることから、リストラ案件のような経営のノウハウを必要とする案件が多いためだと思います。
ただ、アメリカでもPEと言っても色々あり、事業投資系のファンドには、コンサルタントや商社出身の方などもいるようです。また日本でも今後LBOが本格的に発達して来るようでしたら、投資銀行でLevFinやM&Aの専門知識をつけておくことは極めて有用と思われます。実際欧州はまさにその道を辿っており、元々はコンサル出身者で占められていたPE業界に、最近どんどん投資銀行出身者が入っているそうです。
またアメリカのPE業界は、一部例外もありますが、一般的に学歴を非常に重視します。企業売買を生業とするセンシティブな商売なので当然とも言えますが、シニアな人の多くが高校から東海岸のボーディングスクールなどに行き、結果的に政財界にコネを有しているようで、結果的に外国人が活躍するには高い壁がある気がします。
これは投資銀行にもある程度共通して言えることですが、アメリカでIBやPEのようなリレーションシップビジネスをやりたければ、外国人が取るべき道は特定のプロダクトの圧倒的な専門家になるということだと思います。実際そのような道で活躍する人はいますし、そうでなければ一定期間を欧米で働いた後に母国に帰って仕事をするのがベストと言えそうです。
ヘッジファンドの場合には回答は複雑です。というのも以前に書いた通り、ヘッジファンドには運用スタイルによって「多くの種類」があるからです。絶対リターンを上げることを究極目標にすると言う点で、カルチャーは全般的にウォールの「マーケットサイド」に近いですが、出身者が必ずしもトレーダー出身とは限りません。
私の理解する限りでは、まずグローバルマクロやマネージドフューチャーズなどの債券・為替系ファンドは、債券部のトレーダーやデリバティブ、リサーチの出身者が多いようです。転換社債ファンドの場合には、バンカー出身者、リサーチ出身者、トレーダー出身者など色々いるようですが、やはりマーケットサイドのバックグラウンドの人が多い気がします。友人の一人は、M&Aブティック→債券リサーチ→転換社債ファンドというキャリアを積んでいます。
株式ファンドの場合、株式ロングショートは投資スタイルが企業のファンダメンタルズ分析によることが基本なため、バンカー、セルサイド/バイサイドアナリスト、プライベートエクイティ、株式セールスの順に出身先が多いように思います。ただ、必要とされるスキルが似ているとは言え、リターンを追及するという仕事の性格はセルサイドとは大きく異なります。よってセルサイド出身者、特にバンキング出身者は、面接の際にヘッジファンド業務への「適正」を徹底的に問われます。また最近ではMBA新卒を採るケースも増えているようですが、そういう人たちは以前にファイナンスの経験がある人がほとんどです。
リスクアービトラージのファンドは、アメリカではトレーダー出身者が多いようです。リスクアービトラージはM&Aを収益機会にするファンドなので、何となくバンカー出身者が多そうな気がしますが、仕事内容がM&Aの憶測やニュースに基づく株式の短期トレーディングであることが多く、結果的に瞬時に反応出来るトレーダーの方が向いているようです。実際友人で、バンキングからアーブデスクに移った所、思っていたのと全然違ったため、現在ロングショートのファンドを受けている人もいます。
ちなみにアジア(日本・香港)では、バンカー出身者がリスクアーブのファンドに入るケースが多いようです。その理由は、実際にそのようなファンドで働いている友人の話によると、アジアではM&Aが少ないため、リスクアーブのファンドも結局ロングショートのストラテジーを採っているからのようです。
アクティビストのようなファンドには、バンカーや弁護士出身者が多いようですが、これはPEに近い業態であることから頷けます。
他にも昔のブログ「キャリアの選択」「ファンドの仕事の共通点」「バンカーのエグジット」「IBのスキルの汎用性」なども、何らかの参考になるかもしれませんのでご参考まで。
by harry_g
| 2006-06-14 07:44
| キャリア・仕事