2006年 05月 05日
日本のPE市場の最近? |
仕事柄いつもアメリカの話ばかり書いていますが、このブログを読んでいると、KKRのようなアメリカの大手LBOファンドが実にすごい存在に思えてきます。その印象はアメリカでは間違いなくその通りで、そんなレピュテーションを生み出す理由は、大手PEファンドやヘッジファンドのクリエイティブな案件実績、傑出したリターン、人材獲得方法など様々です。
ただこういった欧米の大手LBOファンドも、同じレピュテーションが世界中で通用するか、特に日本でもアメリカのように市場発展の主導権を握れるかどうかは別問題かもしれません。これは大手の投資銀行が日本に進出した当初も同じことが言えたと理解しており、いわゆる外資系証券がアドバイザリーや資金調達で日本の証券会社と戦えるようになって来たのは90年代末からだと理解しています。
そんなことと関連して、この場を利用して皆さんのご意見を伺いたいのですが、日本のプライベートエクイティ市場は最近どんな感じでしょうか?
最近はアメリカの大手バイアウトファンドであるKKRやBain Capitalが日本に進出するなど、話題は尽きないように思います。この背景には、もちろんこうしたファンドに巨額の資金が流入していると言うこともありますが、日本の景気回復と相まって投資案件が増える見込みがあるということなのではと思います。もしそうだとすると、実際の最近の案件などで、ストラテジックと比較したバリュエーションや、典型的なキャピタルストラクチャーはどういったものなのでしょうか?
ちなみに広義の「プライベートエクイティ投資」とは、いつも書いているLBO(バイアウト)に加えて、上場企業を買収して事業面でてこ入れをするような事業系の投資、リストラ案件、更には未上場企業に投資するベンチャーキャピタルも含まれます。今までの日本の大きなプライベートエクイティ投資は、ほとんどがリストラ案件や不動産案件だったと理解しています。これらは経済再生にもつながる非常に面白い案件だと思いますが、日本経済が回復してきている現在、アメリカのようにLBOや事業系の投資も増えて来ているのでしょうか。
一応私の理解を書いておくと、まずLBOに関しては、日本では発達するとしてもアメリカとは違う形になるのではと思っています。というのは、「アメリカでLBOが活発な理由」でも書きましたが、LBO(バイアウト)はファイナンシャルエンジニアリングの感が強い、かなり「特殊」な案件だからです。LBOファンドも英語では「Financial Sponsor」と呼ばれ、まさに買収における「資金調達のスポンサー」と言う感じであり、一般的に想像されるような、経営に手を入れてどうのこうのと言う感じと若干異なります。
またアメリカ型LBOでは、ハイイールド市場を利用した有利な資金調達が鍵になります。よってNYの投資銀行には、Leveraged Finance、HY Capital Marketsなどの部署が充実し、そこがファイナンシャルスポンサーの買収ファイナンスをバックアップしています。日本では社債市場そのもの(特にセカンダリー)が極めて小さいため、かつてはデットキャピタルマーケッツ系の部署はエクイティと比べてあまり活発ではなかったと記憶しています。
もちろん、最近のPEファンドの躍進を受けて、投資銀行内にアメリカと同様のLevFin・HY部門充実の動きが出てきていると言うことはあるのかもしれません。また、LBOのファイナンスを社債(ハイイールド債)に頼らなくても、銀行の巨大なバランスシートを利用して、全て「バンクデット」でファイナンスすることも十分にありえるのではと思います。
その辺の最近の状況についても、そういったいわゆるバイアウト案件に対する日本の銀行側の考えや、そういった案件では誰が主なアレンジャーになっているのか、典型的なキャピタルストラクチャー(レバレッジ)はどうなのかなど、ご存知の方がいらっしゃいましたら是非コメントを頂ければと思います。
LBOから離れて、事業系の投資、例えば投資してその会社の経営に手を入れて、価値(マルチプル)の増大を図るといった案件についてはどうでしょうか?
昨日某ヨーロッパの大手LBOファンドの友人と話していたのですが、ヨーロッパでは、プライベートエクイティファンドのメンバーの多くがコンサルタント出身者だそうです。その理由には、当初はアメリカのようなマニアックなLBOは少なく、事業系の投資が中心だったからだと聞いています。
日本でもPEファンドにはコンサルタント出身者が多いと聞きますので、同じような傾向が見られるのかもしれません。そういういわゆる「経営のプロ」たちが、企業を買収してその内部から会社を改革して再上場させるような動きが本格的に広がってきているとすれば、日本市場にとっては非常にポジティブなのではと思います。
以上、質問のなかに専門的なものも含んでしまいましたが、一般的な話でも結構ですので、日本のプライベートエクイティの展望等についてコメント頂ければ幸いです。
ただこういった欧米の大手LBOファンドも、同じレピュテーションが世界中で通用するか、特に日本でもアメリカのように市場発展の主導権を握れるかどうかは別問題かもしれません。これは大手の投資銀行が日本に進出した当初も同じことが言えたと理解しており、いわゆる外資系証券がアドバイザリーや資金調達で日本の証券会社と戦えるようになって来たのは90年代末からだと理解しています。
そんなことと関連して、この場を利用して皆さんのご意見を伺いたいのですが、日本のプライベートエクイティ市場は最近どんな感じでしょうか?
最近はアメリカの大手バイアウトファンドであるKKRやBain Capitalが日本に進出するなど、話題は尽きないように思います。この背景には、もちろんこうしたファンドに巨額の資金が流入していると言うこともありますが、日本の景気回復と相まって投資案件が増える見込みがあるということなのではと思います。もしそうだとすると、実際の最近の案件などで、ストラテジックと比較したバリュエーションや、典型的なキャピタルストラクチャーはどういったものなのでしょうか?
ちなみに広義の「プライベートエクイティ投資」とは、いつも書いているLBO(バイアウト)に加えて、上場企業を買収して事業面でてこ入れをするような事業系の投資、リストラ案件、更には未上場企業に投資するベンチャーキャピタルも含まれます。今までの日本の大きなプライベートエクイティ投資は、ほとんどがリストラ案件や不動産案件だったと理解しています。これらは経済再生にもつながる非常に面白い案件だと思いますが、日本経済が回復してきている現在、アメリカのようにLBOや事業系の投資も増えて来ているのでしょうか。
一応私の理解を書いておくと、まずLBOに関しては、日本では発達するとしてもアメリカとは違う形になるのではと思っています。というのは、「アメリカでLBOが活発な理由」でも書きましたが、LBO(バイアウト)はファイナンシャルエンジニアリングの感が強い、かなり「特殊」な案件だからです。LBOファンドも英語では「Financial Sponsor」と呼ばれ、まさに買収における「資金調達のスポンサー」と言う感じであり、一般的に想像されるような、経営に手を入れてどうのこうのと言う感じと若干異なります。
またアメリカ型LBOでは、ハイイールド市場を利用した有利な資金調達が鍵になります。よってNYの投資銀行には、Leveraged Finance、HY Capital Marketsなどの部署が充実し、そこがファイナンシャルスポンサーの買収ファイナンスをバックアップしています。日本では社債市場そのもの(特にセカンダリー)が極めて小さいため、かつてはデットキャピタルマーケッツ系の部署はエクイティと比べてあまり活発ではなかったと記憶しています。
もちろん、最近のPEファンドの躍進を受けて、投資銀行内にアメリカと同様のLevFin・HY部門充実の動きが出てきていると言うことはあるのかもしれません。また、LBOのファイナンスを社債(ハイイールド債)に頼らなくても、銀行の巨大なバランスシートを利用して、全て「バンクデット」でファイナンスすることも十分にありえるのではと思います。
その辺の最近の状況についても、そういったいわゆるバイアウト案件に対する日本の銀行側の考えや、そういった案件では誰が主なアレンジャーになっているのか、典型的なキャピタルストラクチャー(レバレッジ)はどうなのかなど、ご存知の方がいらっしゃいましたら是非コメントを頂ければと思います。
LBOから離れて、事業系の投資、例えば投資してその会社の経営に手を入れて、価値(マルチプル)の増大を図るといった案件についてはどうでしょうか?
昨日某ヨーロッパの大手LBOファンドの友人と話していたのですが、ヨーロッパでは、プライベートエクイティファンドのメンバーの多くがコンサルタント出身者だそうです。その理由には、当初はアメリカのようなマニアックなLBOは少なく、事業系の投資が中心だったからだと聞いています。
日本でもPEファンドにはコンサルタント出身者が多いと聞きますので、同じような傾向が見られるのかもしれません。そういういわゆる「経営のプロ」たちが、企業を買収してその内部から会社を改革して再上場させるような動きが本格的に広がってきているとすれば、日本市場にとっては非常にポジティブなのではと思います。
以上、質問のなかに専門的なものも含んでしまいましたが、一般的な話でも結構ですので、日本のプライベートエクイティの展望等についてコメント頂ければ幸いです。
by harry_g
| 2006-05-05 00:06
| LBO・プライベートエクイティ