2006年 03月 20日
ウォールストリートの最近 |
アメリカの証券業界は、2005年からの勢いをそのまま引き継いで好調が続いています。先週はアメリカの「5大証券」が次々と好業績を発表しました。
一番最初に業績を発表したのは業界大手のGoldman Sachsで、その結果はアナリスト予想をはるかに上回るものでした。Goldmanは歴史的に強いアドバイザリー業務からの収益に加えて、株式業務、プリンシパルインベストメント(自己投資)部門などほぼ全ての部門で大きな収益を上げたようで、金融メディアやセルサイドアナリスト達から「何と言って称えてよいか分からない」と大絶賛されていました。
Goldmanは伝統的な投資銀行(証券会社)と言う姿以外に、巨大なアセットマネジメント会社という姿と、運用資産規模でトップ10に入るほどのオルタナティブ投資(PE、HF)の運用会社と言う顔を持っています。そのように事業が分散していることも、Goldmanの好業績を支える大きな要因となっているものと思われます。投資銀行がプライベートエクイティ投資やヘッジファンドに参入する流れは最近顕著になっていますが、Goldmanは、アメリカではJP Morganと並んで一歩抜きん出ている存在です。(JP Morganはヘッジファンド大手のHighbridgeを2004年に買収し、同社はその名前を残したままJP MorganのHF部門として機能しています。)
いつも書いている通り、投資銀行はプライベートエクイティファンドに案件を紹介したりファイナンシングを仲介したりと言う業務を積極的に行っています。それでも最終的に投資から大きなリターンを上げるのは実際にキャピタルをリスクに晒しているファンド側であり、投資銀行の収益はあくまで伝統的なフィー収入と言うことになります。Goldmanは、「それなら自分でも自己資本投資をやればいい」と判断して全面的にプリンシパルインベストメントを始めたのではと勝手に想像しているのですが、それで最大手の一角まで上り詰めるというのはさすがと言う感じです。
大手LBOファンドの中には、「業者」であるはずのGoldmanが自らの競合になっていることに不快感を示すところもありますが、アメリカは不思議なところで、だからと言って「じゃあGoldmanをファイナンシング仲介ビジネスからは締め出そう」と言うことには決してなりません。それは「フェアプレー」精神のためなのか、ファイナンシングの提案をしてくれる証券会社が一つでも多い方が結局は自分に有利であるという判断が働いているのかは分かりませんが。
話は戻りますが、先週はGoldmanに続いて5大証券の一角であるLehman Brothersも、全部門・地域で過去最高の収益を達成したと発表しました。以前にも書きましたが、Lehmanはアメリカでは「ボンドハウス」として知られており、収益に関して債券業務への依存度が高いと言われていました。それを現在のCEOが、株式業務、投資銀行(アドバイザリー)業務、資産運用業務と事業を分散させる戦略を採り、それぞれの分野で飛躍的にポジションを改善しています。そんなこともあり、同社の株価のパフォーマンスは業界他社を圧倒しています。
ただLehmanは、自己投資部門に関しては「慎重」な部類に入ると思います。アメリカの不動産やホテル投資では最大手の一角と言えるほど大きいようで、ニューヨークの有名なメットライフビル(写真)などを保有しているそうですが、マーチャントバンキング部門は、GoldmanのようにKKRやBlackstoneと肩を並べるほどの規模ではありません。その理由としては、プライベートエクイティ投資は景気の波を受けやすい事業であるため、そういったリスクは取らないとの経営判断があるようです。
アメリカ「5大証券」は、上記の二社に加えてMorgan Stanley、Merrill Lynch、Bear Stearnsが含まれます。もちろんこれは別にこの5社が最大手であると言う意味ではなく、上記の5社に加えて銀行系のJP MorganとCitigroup(元Salomon Brothers)、欧州系のUBS、Credit Suisse(元First Boston)、Deutsche Bankを含めた計10社が、「業界最大手」として常にリーグテーブルのトップを競っています。
以前にもLBO関連のネタで書いたと思いますが、最近では銀行系の強さも目立ちます。巨大なバランスシートを持ち、資金調達コストも低い大手銀行は、ハイイールド・ファイナンシングの際に非常な強さを発揮するからです。もちろんアグレッシブなローンを出すことによるローンのデフォルト等からの損失も大きいでしょうが、レバレッジドファイナンスはアメリカの投資銀行の収益の柱となっているため、「力技」でディールを取れると言うのはやはり相当有利になります。
ともかくアメリカの証券業界は活況が続いているわけですが、残念ながら「春」は永遠には続きません。いつかも書いたように、この業界はマーケットや景気に収益が大きく左右されるからです。次の冬がいつ来るのか分かりませんが、最近の好景気は99年-00年を思い出させます。
しかしこんな感じで同じことが100年以上続いているかと思うと、何とも不思議な感じです。
(Goldmanは1869年、Lehmanは1850年創業だそうです。)
一番最初に業績を発表したのは業界大手のGoldman Sachsで、その結果はアナリスト予想をはるかに上回るものでした。Goldmanは歴史的に強いアドバイザリー業務からの収益に加えて、株式業務、プリンシパルインベストメント(自己投資)部門などほぼ全ての部門で大きな収益を上げたようで、金融メディアやセルサイドアナリスト達から「何と言って称えてよいか分からない」と大絶賛されていました。
Goldmanは伝統的な投資銀行(証券会社)と言う姿以外に、巨大なアセットマネジメント会社という姿と、運用資産規模でトップ10に入るほどのオルタナティブ投資(PE、HF)の運用会社と言う顔を持っています。そのように事業が分散していることも、Goldmanの好業績を支える大きな要因となっているものと思われます。投資銀行がプライベートエクイティ投資やヘッジファンドに参入する流れは最近顕著になっていますが、Goldmanは、アメリカではJP Morganと並んで一歩抜きん出ている存在です。(JP Morganはヘッジファンド大手のHighbridgeを2004年に買収し、同社はその名前を残したままJP MorganのHF部門として機能しています。)いつも書いている通り、投資銀行はプライベートエクイティファンドに案件を紹介したりファイナンシングを仲介したりと言う業務を積極的に行っています。それでも最終的に投資から大きなリターンを上げるのは実際にキャピタルをリスクに晒しているファンド側であり、投資銀行の収益はあくまで伝統的なフィー収入と言うことになります。Goldmanは、「それなら自分でも自己資本投資をやればいい」と判断して全面的にプリンシパルインベストメントを始めたのではと勝手に想像しているのですが、それで最大手の一角まで上り詰めるというのはさすがと言う感じです。
大手LBOファンドの中には、「業者」であるはずのGoldmanが自らの競合になっていることに不快感を示すところもありますが、アメリカは不思議なところで、だからと言って「じゃあGoldmanをファイナンシング仲介ビジネスからは締め出そう」と言うことには決してなりません。それは「フェアプレー」精神のためなのか、ファイナンシングの提案をしてくれる証券会社が一つでも多い方が結局は自分に有利であるという判断が働いているのかは分かりませんが。
話は戻りますが、先週はGoldmanに続いて5大証券の一角であるLehman Brothersも、全部門・地域で過去最高の収益を達成したと発表しました。以前にも書きましたが、Lehmanはアメリカでは「ボンドハウス」として知られており、収益に関して債券業務への依存度が高いと言われていました。それを現在のCEOが、株式業務、投資銀行(アドバイザリー)業務、資産運用業務と事業を分散させる戦略を採り、それぞれの分野で飛躍的にポジションを改善しています。そんなこともあり、同社の株価のパフォーマンスは業界他社を圧倒しています。
ただLehmanは、自己投資部門に関しては「慎重」な部類に入ると思います。アメリカの不動産やホテル投資では最大手の一角と言えるほど大きいようで、ニューヨークの有名なメットライフビル(写真)などを保有しているそうですが、マーチャントバンキング部門は、GoldmanのようにKKRやBlackstoneと肩を並べるほどの規模ではありません。その理由としては、プライベートエクイティ投資は景気の波を受けやすい事業であるため、そういったリスクは取らないとの経営判断があるようです。アメリカ「5大証券」は、上記の二社に加えてMorgan Stanley、Merrill Lynch、Bear Stearnsが含まれます。もちろんこれは別にこの5社が最大手であると言う意味ではなく、上記の5社に加えて銀行系のJP MorganとCitigroup(元Salomon Brothers)、欧州系のUBS、Credit Suisse(元First Boston)、Deutsche Bankを含めた計10社が、「業界最大手」として常にリーグテーブルのトップを競っています。
以前にもLBO関連のネタで書いたと思いますが、最近では銀行系の強さも目立ちます。巨大なバランスシートを持ち、資金調達コストも低い大手銀行は、ハイイールド・ファイナンシングの際に非常な強さを発揮するからです。もちろんアグレッシブなローンを出すことによるローンのデフォルト等からの損失も大きいでしょうが、レバレッジドファイナンスはアメリカの投資銀行の収益の柱となっているため、「力技」でディールを取れると言うのはやはり相当有利になります。
ともかくアメリカの証券業界は活況が続いているわけですが、残念ながら「春」は永遠には続きません。いつかも書いたように、この業界はマーケットや景気に収益が大きく左右されるからです。次の冬がいつ来るのか分かりませんが、最近の好景気は99年-00年を思い出させます。
しかしこんな感じで同じことが100年以上続いているかと思うと、何とも不思議な感じです。
(Goldmanは1869年、Lehmanは1850年創業だそうです。)
by harry_g
| 2006-03-20 13:45
| 投資銀行


