2006年 03月 14日
アクティビストからの手紙 |
3月9日のFTに、Carl Icahn氏と一緒にTime Warnerに対して株主価値の向上に関する要求を突きつけたJana Partnersと言うアクティビスト・ヘッジファンドのマネージング・パートナー(社長)、Barry Rosenstein氏の投稿記事が載っていました。
記事のタイトルはずばり、「Why activism is good for all shareholders」(アクティビズムが全ての株主に利する理由)で、アクティビストとしての自らの行動を正統化する内容になっています。ご参考までに、その内容の要約は以下のような感じです。
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我々はよく、「Sharks(血に群がる鮫)」、「Raiders(乗っ取り屋)」、最悪の場合には「短期的投資家」と呼ばれ、常に不当な攻撃を企業に対して仕掛けているかのように言われる。
メディアは我々を説明する際に過去30年に渡る「Greenmail(乗っ取りの脅迫状)」、「ジャンクボンド」、「Gordon Gekko」などを引き合いに出し、会社の経営陣は「長期的投資家の守護者」のように扱われる。
だが実際には、アクティビストは投資した後に企業価値を引き出すために長期投資家となることが多くある。経営者も最初は我々の提案に拒絶反応を示すが、Kerr-McGee社への投資で証明したように、提案が株主価値の向上に貢献するものであると分かると、協力してプランを実行してくれることもある。
また、「短期的」とか「長期的」と言う言葉は、経営者が株主価値を最大化する経営が出来ていない時の言い訳に使われがちである。株主価値が最大化されれば短期投資家も長期投資家も喜ぶはずだし、その意味ではアクティビストと一般の全ての株主との利害は一致している。
大企業をばらばらにすると言う指摘をされることもあるが、我々は単に株主価値の最適化にはどういう企業ストラクチャーが最適かを提案しているだけであり、New York Timesの記者が指摘するような、「Time Warnerをばらばらにして売りさばく」と言った類のことをやっているわけではない。経営者が会社の守護者と言うが、会社の真のオーナーは株主である。
こういう事を明確にさせておかないと、経営者と株主の建設的な対話が難しくなる。アクティビストの提案の全てが素晴らしいと言うわけではないが、その妥当性に関する判断は、偏見の無いところで他の一般の株主に委ねられるべきである。そうすればメディアが色々と勝負の勝敗をつけて騒いでも、最適の選択肢を得た「株主」は、必ず勝者となるはずだからである。
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これはまあ、実にもっともな議論なのですが、実際は経営陣の感情論も絡んで来るので、物事はそう簡単には行きません。Time Warnerの件で見られたように公然と経営陣を「無能」と批判する辺り、やはり「理性的な投資家行動」と主張するのは無理があるかもしれません。またメディアなども、「アクティビストがまた攻撃を仕掛けた!」と、過去にあった敵対的LBOなどを引き合いに出して記事にした方が面白いため、どうしてもそういう論調になるのだと思います。
この辺り、日本で政治家やメディアがこぞって外資系金融を「ハゲタカ」だの何だとの言って批判するのと若干似ている気がします。ちなみにこの指摘、私が見てきた限りでは実態は全く異なっていると思います。実際に案件をやっていると、日本の金融機関の方がよほど日本の国富を無駄にして自社の存続を優先させており、日本の外資系バンカーは、クライアントとの長期的信頼関係を重視し、価値あるアドバイスを提供していると思います。
話はそれましたが、アクティビストのアプローチはともかくとして、主張している内容は、大いに誤解されているところがあると言うのはその通りだと思います。ただ、株主として企業に対して要求を突きつけたければ、別にアクティビストになる必要はありません。企業との一対一のミーティングの場で意見を述べても良いですし、取締役の選任やM&Aなどの企業行動に反対の票を投じることも出来ます。
アメリカでは、世界最大の公的年金基金であるCalPERS(カリフォルニア州公務員退職者年金基金)などが、いわゆる「声の大きい」投資家として知られていますし、大手ヘッジファンドの中にも、あくまで人目につかない形で経営陣に積極的な経営改善の提案するところもあります。
ともかくアメリカでは、株主と経営陣の戦い(?)は、今後も続くものと思われます。もちろん本当は、株主がいて、その利益を代表する取締役会があり、そこが経営の執行を任せるために執行役員(CEO、CFOなど)を任命するわけなので、こういう戦いは生まれないはずです。それでも権力や拡大欲も絡んでくる以上、こういった確執が避けられないとするならば、その戦いが「株主価値の最大化」をテーマに繰り広げられることは、実に健全なことだと思います。
記事のタイトルはずばり、「Why activism is good for all shareholders」(アクティビズムが全ての株主に利する理由)で、アクティビストとしての自らの行動を正統化する内容になっています。ご参考までに、その内容の要約は以下のような感じです。
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我々はよく、「Sharks(血に群がる鮫)」、「Raiders(乗っ取り屋)」、最悪の場合には「短期的投資家」と呼ばれ、常に不当な攻撃を企業に対して仕掛けているかのように言われる。
メディアは我々を説明する際に過去30年に渡る「Greenmail(乗っ取りの脅迫状)」、「ジャンクボンド」、「Gordon Gekko」などを引き合いに出し、会社の経営陣は「長期的投資家の守護者」のように扱われる。だが実際には、アクティビストは投資した後に企業価値を引き出すために長期投資家となることが多くある。経営者も最初は我々の提案に拒絶反応を示すが、Kerr-McGee社への投資で証明したように、提案が株主価値の向上に貢献するものであると分かると、協力してプランを実行してくれることもある。
また、「短期的」とか「長期的」と言う言葉は、経営者が株主価値を最大化する経営が出来ていない時の言い訳に使われがちである。株主価値が最大化されれば短期投資家も長期投資家も喜ぶはずだし、その意味ではアクティビストと一般の全ての株主との利害は一致している。
大企業をばらばらにすると言う指摘をされることもあるが、我々は単に株主価値の最適化にはどういう企業ストラクチャーが最適かを提案しているだけであり、New York Timesの記者が指摘するような、「Time Warnerをばらばらにして売りさばく」と言った類のことをやっているわけではない。経営者が会社の守護者と言うが、会社の真のオーナーは株主である。
こういう事を明確にさせておかないと、経営者と株主の建設的な対話が難しくなる。アクティビストの提案の全てが素晴らしいと言うわけではないが、その妥当性に関する判断は、偏見の無いところで他の一般の株主に委ねられるべきである。そうすればメディアが色々と勝負の勝敗をつけて騒いでも、最適の選択肢を得た「株主」は、必ず勝者となるはずだからである。
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これはまあ、実にもっともな議論なのですが、実際は経営陣の感情論も絡んで来るので、物事はそう簡単には行きません。Time Warnerの件で見られたように公然と経営陣を「無能」と批判する辺り、やはり「理性的な投資家行動」と主張するのは無理があるかもしれません。またメディアなども、「アクティビストがまた攻撃を仕掛けた!」と、過去にあった敵対的LBOなどを引き合いに出して記事にした方が面白いため、どうしてもそういう論調になるのだと思います。
この辺り、日本で政治家やメディアがこぞって外資系金融を「ハゲタカ」だの何だとの言って批判するのと若干似ている気がします。ちなみにこの指摘、私が見てきた限りでは実態は全く異なっていると思います。実際に案件をやっていると、日本の金融機関の方がよほど日本の国富を無駄にして自社の存続を優先させており、日本の外資系バンカーは、クライアントとの長期的信頼関係を重視し、価値あるアドバイスを提供していると思います。
話はそれましたが、アクティビストのアプローチはともかくとして、主張している内容は、大いに誤解されているところがあると言うのはその通りだと思います。ただ、株主として企業に対して要求を突きつけたければ、別にアクティビストになる必要はありません。企業との一対一のミーティングの場で意見を述べても良いですし、取締役の選任やM&Aなどの企業行動に反対の票を投じることも出来ます。
アメリカでは、世界最大の公的年金基金であるCalPERS(カリフォルニア州公務員退職者年金基金)などが、いわゆる「声の大きい」投資家として知られていますし、大手ヘッジファンドの中にも、あくまで人目につかない形で経営陣に積極的な経営改善の提案するところもあります。
ともかくアメリカでは、株主と経営陣の戦い(?)は、今後も続くものと思われます。もちろん本当は、株主がいて、その利益を代表する取締役会があり、そこが経営の執行を任せるために執行役員(CEO、CFOなど)を任命するわけなので、こういう戦いは生まれないはずです。それでも権力や拡大欲も絡んでくる以上、こういった確執が避けられないとするならば、その戦いが「株主価値の最大化」をテーマに繰り広げられることは、実に健全なことだと思います。
by harry_g
| 2006-03-14 10:12
| 株主経営・アクティビスト


