2006年 02月 22日
持ち家の「Affordability」 |
久しぶりに不動産ネタを一つ。
最近のU.S. Census Bureau(国勢調査局)の調査によると、最近アメリカでは、持ち家保有率が下落傾向にあるそうです。先日のウォールストリートジャーナルでも取り上げられていましたが、アメリカの持ち家率は現在約69%の水準にあります。この数字は10年前には64%程度だったそうなのですが、高度成長期の日本と同様にアメリカでも「持ち家=夢」であるため、持ち家率の上昇は、豊かさの指標としても頻繁に取り上げられて来ました。
その持ち家率が、過去2年くらい停滞しています。四半期毎のデータを見ても、2005年の第4四半期には、一年前よりも0.2%下落したそうです。
下落率が小さく統計上のエラーと言う可能性もありますが、2年間停滞していると言う事実はそれなりの意味を持っていると思います。
なぜ持ち家率が停滞しているかと言うと、色々な議論があるようです。中でも最大の理由として考えられるのは、過去5年くらいの急速な不動産価格の値上りにより、「Affordability」、つまり所得水準と比べて購入可能であるかどうかの率、または「手が出る率」、が下がっていると言うことです。
これは以前にもブログで書きましたが、Affordabilityの考え方は、アメリカの不動産価格の最大の下落要因になるのではと思っています。10年くらい前まではアメリカの家は所得水準に対して安すぎた感があるので、それが最近の値上りを大きく後押ししたと考えています。それも周辺住民が買えない水準まで値上りしてしまえば、金利が安かろうが景気がよかろうが、家は売れなくなるのではと思います。
若干話がずれましたが、The National Association of Realtors(全米不動産業協会)の発表している「Affordability Index」は、現在115.8ポイントと、1991年以来最低の水準になっているそうです。このインデックス、100の時に、その地域の中間所得者が、20%の頭金と30年の通常の住宅ローンを用いて中間価格の家が買える、と言う前提で計算されています。よって下がれば下がるほど家の購入は難しくなり、100を下回ると、多くの住民には手の出ないレベルまで家の値段が値上りしていることを意味します。
良くカリフォルニアや東海岸の家の価格が高騰していると言われますが、このAffordability Indexのワースト10を見ると、それが確認出来ると思います。
1. 47.3: LA , Long Beach, Santa Ana, CA
2. 48.8: San Diego, Carlsbad, San Marcos, CA
3. 49.0: Santa Ana, Anaheim, Irvine, CA
4. 50.8: SF, Oakland, Fremont, CA
5. 51.1: Honolulu, Hawaii
6. 52.8: NY, White Plains, Wayne, NY/NJ
7. 61.1: Miami, Fort Lauderdale, Miami Beach, FL
8. 61.8: Riverside, San Bernardino, Ontario, CA
9. 64.2: Sarasota, Bradenton, Venice, FL
10. 70.8: NY, Northern NJ, Long Island NY, NJ Penn
上記のうち、実に4つが南カリフォルニア、2つがNY近郊、2つがフロリダ、そしてSF近郊とホノルルとなっており、いわゆる人気地域の家の価格がいかに高騰しているかよく分かります。
ウォールストリートジャーナルにあったMoody'sの調べによると、アメリカの都市圏143のうち、実に25もの都市圏が既に「Unaffordable」、つまり中間所得者では中間価格の家が買えないレベル(上のインデックスで言うところの100以下)になってしまっているそうです。
持ち家率が下がっているAffordability以外の理由として考えられているのは、中西部(Midwest)の景気低迷が全米の統計に影響を与えているのではと言うこと、ベビーブーマーが持ち家を必要としている年齢としてはピークに達していると言うこと、投資家やセカンドホームを購入する人が増えていると言うことなどです。
特に最後の点は、不動産投資に興味がある人にとっては気になる点です。持ち家率の停滞を特に興味深くさせている要因の一つとして、居住用不動産のマーケットが引続き活発である、と言う事実があります。普通に考えれば、家が売れているなら持ち家率は上がるはずです。そうならないのは、低金利に後押しされた投資家やセカンドホームの購入者が多いからだというわけです。
WSJに載っていた、LoanPerformanceと言う調査機関の調べによると、2005年の10月までの住宅販売(正確には住宅ローン借入れ目的)のうち、9.5%が投資家、7.4%がセカンドホームの購入に向けられたそうです。合わせると全体の2割弱にもなり、いわゆる「持ち家」購入者以外の家の購入がいかに活発化がわかります。
もちろんこうしたデータは全て統計上のもので、実際の不動産投資は、もっとローカルベースと言うか、地に足のついた投資判断が必要となります。カリフォルニアやニューヨーク近郊でも、今でも「Affordable」な物件はあるでしょうし、色々な工夫をすることで、キャッシュフローや購入価格を改善することも可能でしょう。ただ市場全体の動きは参考にはなるため、引続き注目したいと思います。
New Yorkのマンション事情
「Affordability」といえば、マンハッタンのマンションは、引続き非常に割高感があります。値上り率は確実にスローダウンしているものの、最近では人気物件だと1 sq.ft.(約0.1㎡)あたり1,000ドル(約12万円)超、と言う物件も珍しくないと言った感じです。これは、50㎡、533 sq.ft.のマンションが、$500,000(約6,000万円)と言う計算です。こうなってくると、20%の頭金で30年ローンを借りて買おうとすると、住宅ローン控除を考慮しても賃貸していた方が安いことが多いと言うのが実情です。
もちろん物件の値段は場所や条件にもよるのですが、例えば人気のSOHOエリアの物件や、セントラルパークに面しているような「有名物件」になってくると、マーケットの常識は完全に通用しなくなります。1 sq.ft.辺りの値段も、2,000ドル超なんていう物件まであります。例えば不動産王Donald Trumpの保有する「Trump Tower」などになると、ワンベッドルーム(1LDK)で広さが1,000 sq.ft.(92.9㎡)程度のマンションが、$2mm(約2.4億円)以上したりするわけです。
以前にTime Warnerの新本社ビルの上層階を占める高級コンドミニアムのペントハウスをキャッシュで買った人の話を書きましたが、正確には、17,000 sq.ft.の全フロアを$53mm(約63億円)で買ったと言われています。このディールの1 sq.ft.辺りの金額を計算すると、実に3,118ドルにもなります。
50億とはいかなくても、3億円~15億円といった「億ション」が沢山あり、またそれをキャッシュで買えてしまう人が沢山いるNew York、明らかに尋常な街ではありません。ブローカーの話によると、外国人のお金が流入しているのも大きな要因のようです。
(写真はwww.coralhammock.comより)
最近のU.S. Census Bureau(国勢調査局)の調査によると、最近アメリカでは、持ち家保有率が下落傾向にあるそうです。先日のウォールストリートジャーナルでも取り上げられていましたが、アメリカの持ち家率は現在約69%の水準にあります。この数字は10年前には64%程度だったそうなのですが、高度成長期の日本と同様にアメリカでも「持ち家=夢」であるため、持ち家率の上昇は、豊かさの指標としても頻繁に取り上げられて来ました。
その持ち家率が、過去2年くらい停滞しています。四半期毎のデータを見ても、2005年の第4四半期には、一年前よりも0.2%下落したそうです。下落率が小さく統計上のエラーと言う可能性もありますが、2年間停滞していると言う事実はそれなりの意味を持っていると思います。
なぜ持ち家率が停滞しているかと言うと、色々な議論があるようです。中でも最大の理由として考えられるのは、過去5年くらいの急速な不動産価格の値上りにより、「Affordability」、つまり所得水準と比べて購入可能であるかどうかの率、または「手が出る率」、が下がっていると言うことです。
これは以前にもブログで書きましたが、Affordabilityの考え方は、アメリカの不動産価格の最大の下落要因になるのではと思っています。10年くらい前まではアメリカの家は所得水準に対して安すぎた感があるので、それが最近の値上りを大きく後押ししたと考えています。それも周辺住民が買えない水準まで値上りしてしまえば、金利が安かろうが景気がよかろうが、家は売れなくなるのではと思います。
若干話がずれましたが、The National Association of Realtors(全米不動産業協会)の発表している「Affordability Index」は、現在115.8ポイントと、1991年以来最低の水準になっているそうです。このインデックス、100の時に、その地域の中間所得者が、20%の頭金と30年の通常の住宅ローンを用いて中間価格の家が買える、と言う前提で計算されています。よって下がれば下がるほど家の購入は難しくなり、100を下回ると、多くの住民には手の出ないレベルまで家の値段が値上りしていることを意味します。
良くカリフォルニアや東海岸の家の価格が高騰していると言われますが、このAffordability Indexのワースト10を見ると、それが確認出来ると思います。
1. 47.3: LA , Long Beach, Santa Ana, CA
2. 48.8: San Diego, Carlsbad, San Marcos, CA
3. 49.0: Santa Ana, Anaheim, Irvine, CA
4. 50.8: SF, Oakland, Fremont, CA
5. 51.1: Honolulu, Hawaii
6. 52.8: NY, White Plains, Wayne, NY/NJ
7. 61.1: Miami, Fort Lauderdale, Miami Beach, FL
8. 61.8: Riverside, San Bernardino, Ontario, CA
9. 64.2: Sarasota, Bradenton, Venice, FL
10. 70.8: NY, Northern NJ, Long Island NY, NJ Penn
上記のうち、実に4つが南カリフォルニア、2つがNY近郊、2つがフロリダ、そしてSF近郊とホノルルとなっており、いわゆる人気地域の家の価格がいかに高騰しているかよく分かります。ウォールストリートジャーナルにあったMoody'sの調べによると、アメリカの都市圏143のうち、実に25もの都市圏が既に「Unaffordable」、つまり中間所得者では中間価格の家が買えないレベル(上のインデックスで言うところの100以下)になってしまっているそうです。
持ち家率が下がっているAffordability以外の理由として考えられているのは、中西部(Midwest)の景気低迷が全米の統計に影響を与えているのではと言うこと、ベビーブーマーが持ち家を必要としている年齢としてはピークに達していると言うこと、投資家やセカンドホームを購入する人が増えていると言うことなどです。
特に最後の点は、不動産投資に興味がある人にとっては気になる点です。持ち家率の停滞を特に興味深くさせている要因の一つとして、居住用不動産のマーケットが引続き活発である、と言う事実があります。普通に考えれば、家が売れているなら持ち家率は上がるはずです。そうならないのは、低金利に後押しされた投資家やセカンドホームの購入者が多いからだというわけです。
WSJに載っていた、LoanPerformanceと言う調査機関の調べによると、2005年の10月までの住宅販売(正確には住宅ローン借入れ目的)のうち、9.5%が投資家、7.4%がセカンドホームの購入に向けられたそうです。合わせると全体の2割弱にもなり、いわゆる「持ち家」購入者以外の家の購入がいかに活発化がわかります。
もちろんこうしたデータは全て統計上のもので、実際の不動産投資は、もっとローカルベースと言うか、地に足のついた投資判断が必要となります。カリフォルニアやニューヨーク近郊でも、今でも「Affordable」な物件はあるでしょうし、色々な工夫をすることで、キャッシュフローや購入価格を改善することも可能でしょう。ただ市場全体の動きは参考にはなるため、引続き注目したいと思います。
New Yorkのマンション事情
「Affordability」といえば、マンハッタンのマンションは、引続き非常に割高感があります。値上り率は確実にスローダウンしているものの、最近では人気物件だと1 sq.ft.(約0.1㎡)あたり1,000ドル(約12万円)超、と言う物件も珍しくないと言った感じです。これは、50㎡、533 sq.ft.のマンションが、$500,000(約6,000万円)と言う計算です。こうなってくると、20%の頭金で30年ローンを借りて買おうとすると、住宅ローン控除を考慮しても賃貸していた方が安いことが多いと言うのが実情です。
もちろん物件の値段は場所や条件にもよるのですが、例えば人気のSOHOエリアの物件や、セントラルパークに面しているような「有名物件」になってくると、マーケットの常識は完全に通用しなくなります。1 sq.ft.辺りの値段も、2,000ドル超なんていう物件まであります。例えば不動産王Donald Trumpの保有する「Trump Tower」などになると、ワンベッドルーム(1LDK)で広さが1,000 sq.ft.(92.9㎡)程度のマンションが、$2mm(約2.4億円)以上したりするわけです。
以前にTime Warnerの新本社ビルの上層階を占める高級コンドミニアムのペントハウスをキャッシュで買った人の話を書きましたが、正確には、17,000 sq.ft.の全フロアを$53mm(約63億円)で買ったと言われています。このディールの1 sq.ft.辺りの金額を計算すると、実に3,118ドルにもなります。
50億とはいかなくても、3億円~15億円といった「億ション」が沢山あり、またそれをキャッシュで買えてしまう人が沢山いるNew York、明らかに尋常な街ではありません。ブローカーの話によると、外国人のお金が流入しているのも大きな要因のようです。
(写真はwww.coralhammock.comより)
by harry_g
| 2006-02-22 12:36
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