2006年 01月 26日
債券投資のLBO「リスク」 |
最近とある債券投資家向けのリサーチレポートで、ボンドやローンの投資家を対象とした、LBOやDividend Recapのリスクについてのレポートを見かけました。
通常社債やローンの投資家は、金利自体の動きに加えて、デフォルトリスク、流動性リスク、クレジットスプレッド(企業の信用度を測る数値)の変動リスク、などのリスクに晒されています。それに加えて最近では、LBOやRecapによって突如巨額のデットが上積みされることで、投資家は既存のデットのクレジットクオリティが下がる(端的に言うと格下げされる)リスクを覚悟しなければなりません。
確かにLBOのターゲットとなった企業の負債は、格付けが投資適格水準から非投資適格(ジャンク、ハイイールド)水準まで下がってしまうのが通常です。またこのリスクを嫌気して、LBOやRecapの噂が流れるだけでもクレジットスプレッドのボラティリティが上昇し、投資家は大きな負担を強いられることになります。LBOはそんなに頻繁に多く起こるわけではありませんが、最近ではアクティビストファンドの活動も活発化していることもあり、Recap(負債積み上げにより配当を増やすこと)は結構頻繁に起こるので、投資家としても無視できない状況になっています。
そのリサーチを発行している某投資銀行の推計によると、2005年度のアメリカにおける投資適格債券のアンダーパフォーマンスの最大の理由は、一番目は自動車業界(GM、Fordなど)の業績低迷と債券のジャンク化で、二番目が過熱するLBOマーケットだったそうです。そのことからも、最近のLBO・Recapブームの影響力の大きさが見て取れます。
このレポートでは、一体どんな会社がLBOのターゲットになりやすいのか、どんな経済環境でLBOが起こりやすいのかと言うことを、デットの投資家向けに解説していました。なかなかよくまとまっていたので、簡単に内容をご紹介します。
まずマクロ環境ですが、好景気であればあるほどLBOがしやすい(よってボンドの投資家にとっては要注意な)環境になります。好景気の時には企業はより多くのキャッシュフローを生み出すため、より多くのデットを抱えることが可能だからです。2004年~2005年はLBOが非常に増えた時期でしたが、その背景には好景気があったことは間違いありません。
また最近では、長く続く低金利の環境もLBOマーケットを後押ししています。低金利だとお金が借りやすい=LBOがファイナンスしやすい、と言うことがまずあります。それに加えて、投資家はより高いリターンを求めてプライベートエクイティなどのオルタナティブ投資を嗜好する傾向があります。その結果、最近多額の資金がプライベートエクイティ市場に流入しており、このことが少なからずLBOの案件や案件規模に関係しているとそのリサーチでは分析しています。
株式市場の動向を見てみると、基本的には株安(バリュエーション低)の時期の方がファイナンシャルバイヤー(LBOファンド)にとっては有利になります。株高の時にはストラテジックバイヤー(事業法人)が自社の高い株価を買収通貨として利用できるため、ファンドは厳しい競争環境に晒されることになります。
しかしこの点については、株安=景気低迷=LBOに不向きな環境、と言う相関関係が働くこと、買収価格はレバレッジ次第なので、株価が好調でもLBOファンドが有利に戦える環境でありえることなどから、あまり重要ではない気がします。
配当利回りのトレンドについては、当然低いほど負債返済に資金が回せることになるので、LBOに向いていると言えます。
次にミクロ面で、ターゲットとなりうる企業の特性についてですが、これはLBOの教科書にある通りで、EV/EBITDAのようなバリュエーションは低い方がターゲットになりやすいですし、Book to Marketレシオは高いほどパブリックエクイティ(上場株)マーケットが企業価値をミスプライスしている可能性が高くなりますので、プライベートエクイティ(LBO)のターゲットになりやすくなります。
業務面では、フリーキャッシュフロー利率が高いほど多くの負債を返済出来る能力があることになり、逆に設備投資の伸び率が高い会社は、業界にもよりますがLBOをするのは難しくなります。この事が今までテクノロジーセクターのLBOを妨げていた最大の原因でしたが、事業サイクルが徐々にマチュアになってきたこともあり、最近ではテクノロジーLBOが増えてきているのは、以前にも書いた通りです。
最後にエクセキューション、つまり実際にLBOを遂行できるかどうかについては、企業の規模が小さいほど成功率は高くなります。最近では何千億、何兆と言った規模の案件も増えていますが、広くマーケットを見ると小さい案件の方がやはりエクセキューションはしやすいと言えると思います。また、キャッシュフローのボラティリティが低いほど、何かあった時に負債の負担で潰されるリスクが低くなるため、案件の成功率が高くなります。
・・・とまあこんな感じです。現場では引続きLBOは非常に活発で、投資銀行もその恩恵を被っている状況が続いています。80年代後半の前回のLBOブームのように、クレジットマーケットが崩壊して全てがパーになる、と言う日が来ないと良いのですが。
通常社債やローンの投資家は、金利自体の動きに加えて、デフォルトリスク、流動性リスク、クレジットスプレッド(企業の信用度を測る数値)の変動リスク、などのリスクに晒されています。それに加えて最近では、LBOやRecapによって突如巨額のデットが上積みされることで、投資家は既存のデットのクレジットクオリティが下がる(端的に言うと格下げされる)リスクを覚悟しなければなりません。確かにLBOのターゲットとなった企業の負債は、格付けが投資適格水準から非投資適格(ジャンク、ハイイールド)水準まで下がってしまうのが通常です。またこのリスクを嫌気して、LBOやRecapの噂が流れるだけでもクレジットスプレッドのボラティリティが上昇し、投資家は大きな負担を強いられることになります。LBOはそんなに頻繁に多く起こるわけではありませんが、最近ではアクティビストファンドの活動も活発化していることもあり、Recap(負債積み上げにより配当を増やすこと)は結構頻繁に起こるので、投資家としても無視できない状況になっています。
そのリサーチを発行している某投資銀行の推計によると、2005年度のアメリカにおける投資適格債券のアンダーパフォーマンスの最大の理由は、一番目は自動車業界(GM、Fordなど)の業績低迷と債券のジャンク化で、二番目が過熱するLBOマーケットだったそうです。そのことからも、最近のLBO・Recapブームの影響力の大きさが見て取れます。
このレポートでは、一体どんな会社がLBOのターゲットになりやすいのか、どんな経済環境でLBOが起こりやすいのかと言うことを、デットの投資家向けに解説していました。なかなかよくまとまっていたので、簡単に内容をご紹介します。
まずマクロ環境ですが、好景気であればあるほどLBOがしやすい(よってボンドの投資家にとっては要注意な)環境になります。好景気の時には企業はより多くのキャッシュフローを生み出すため、より多くのデットを抱えることが可能だからです。2004年~2005年はLBOが非常に増えた時期でしたが、その背景には好景気があったことは間違いありません。
また最近では、長く続く低金利の環境もLBOマーケットを後押ししています。低金利だとお金が借りやすい=LBOがファイナンスしやすい、と言うことがまずあります。それに加えて、投資家はより高いリターンを求めてプライベートエクイティなどのオルタナティブ投資を嗜好する傾向があります。その結果、最近多額の資金がプライベートエクイティ市場に流入しており、このことが少なからずLBOの案件や案件規模に関係しているとそのリサーチでは分析しています。
株式市場の動向を見てみると、基本的には株安(バリュエーション低)の時期の方がファイナンシャルバイヤー(LBOファンド)にとっては有利になります。株高の時にはストラテジックバイヤー(事業法人)が自社の高い株価を買収通貨として利用できるため、ファンドは厳しい競争環境に晒されることになります。
しかしこの点については、株安=景気低迷=LBOに不向きな環境、と言う相関関係が働くこと、買収価格はレバレッジ次第なので、株価が好調でもLBOファンドが有利に戦える環境でありえることなどから、あまり重要ではない気がします。
配当利回りのトレンドについては、当然低いほど負債返済に資金が回せることになるので、LBOに向いていると言えます。
次にミクロ面で、ターゲットとなりうる企業の特性についてですが、これはLBOの教科書にある通りで、EV/EBITDAのようなバリュエーションは低い方がターゲットになりやすいですし、Book to Marketレシオは高いほどパブリックエクイティ(上場株)マーケットが企業価値をミスプライスしている可能性が高くなりますので、プライベートエクイティ(LBO)のターゲットになりやすくなります。
業務面では、フリーキャッシュフロー利率が高いほど多くの負債を返済出来る能力があることになり、逆に設備投資の伸び率が高い会社は、業界にもよりますがLBOをするのは難しくなります。この事が今までテクノロジーセクターのLBOを妨げていた最大の原因でしたが、事業サイクルが徐々にマチュアになってきたこともあり、最近ではテクノロジーLBOが増えてきているのは、以前にも書いた通りです。
最後にエクセキューション、つまり実際にLBOを遂行できるかどうかについては、企業の規模が小さいほど成功率は高くなります。最近では何千億、何兆と言った規模の案件も増えていますが、広くマーケットを見ると小さい案件の方がやはりエクセキューションはしやすいと言えると思います。また、キャッシュフローのボラティリティが低いほど、何かあった時に負債の負担で潰されるリスクが低くなるため、案件の成功率が高くなります。
・・・とまあこんな感じです。現場では引続きLBOは非常に活発で、投資銀行もその恩恵を被っている状況が続いています。80年代後半の前回のLBOブームのように、クレジットマーケットが崩壊して全てがパーになる、と言う日が来ないと良いのですが。
by harry_g
| 2006-01-26 14:01
| LBO・プライベートエクイティ


