2005年 12月 24日
アメリカのテレビ業界 |
今日はクリスマス前の金曜日と言うこともあり、さすがの投資銀行のオフィスもシーンとしていました。アメリカではクリスマスは日本のお正月のような趣があり、クリスマスショッピングの波も今日くらいまでで落ち着いて、クリスマス当日は家族と家で過ごす人が多いようです。逆に大晦日~正月は日本のクリスマス程度の位置づけで、1月2日から全てが通常通り動き出します。
この時期には多くのアメリカ人がバケーションに行っていなければ家で過ごすため、テレビの視聴率も上がるわけですが、アメリカのテレビ業界は最近大きく変革しています。私は仕事でメディア業界をカバーしているので、ちらっとそのネタについて書いてみたいと思います。
テレビの番組は、「番組制作会社」、「番組ネットワーク(チャンネル)」、「放送事業者(テレビ局)」の順番で放送配信されます。ところが日本とアメリカのテレビ業界は、業界の様相が大きくことなります。
日本では、制作もネットワークも放送も、「事実上」在京キー局が握っています。例えばフジテレビは、自社で番組制作も出来るし、「JOCX(8チャンネル)」と言うネットワークも持っているし、実際に電波を飛ばす放送設備も持っています。もちろん実際には番組制作を制作会社に外注したり、全国のテレビ局とネットワーク協定を結んで「系列化」していたりするわけなのですが、それでも事実上全ての機能がフジテレビに集約していると言えます。
それに対してアメリカでは、制作、ネットワーク、放送の3つの機能が完全に分離しています。ハリウッドスタジオの傘下にあるSony Pictures Televisionが製作したドラマ番組を、4大地上波ネットワークの一つであるABCが購入し、それを全米の都市にあるABC“系列”の独立系テレビ局が放送する、と言った具合です。もちろん大手メディア企業の中には、制作会社、ネットワーク、直営局、と全ての機能を保有している所もありますが、News Corporation傘下の20th Century Fox系のスタジオが作った番組が全てFOXネットワークで放送される、などと言うことは一切ありません。
要するにアメリカでは、映画のみならずテレビ番組の制作も、ハリウッドが握っていると言うことです。そしてハリウッド(正確にはロサンゼルス郡)にとっては、映画・テレビ産業は一大産業です。よく仕事でLA郊外のBurbankと言う街に行くのですが、現地にはWarner Brosのスタジオ、Walt Disneyの本社、NBCのスタジオ、History Channelのスタジオなど、様々な会社が製作スタジオを構えています。その隣街にはUniversal Studioがあったり、色々なレコード会社があったりと、まさに一大メディア・娯楽産業の集積地と言った趣です。
そのハリウッド、映画の都らしく、地位や名声など全ての物事が「Easy Come, Easy Go」であると言われます。そしてそれは最近の労働市場についても同様のようです。例えば今年はテレビ番組需要の拡大を繁栄して、6月までにメディア業界全体で雇用数が24,000も増加したそうです。しかし7月以降は減少に転じ、実に17,000の雇用が消失したと言われています。フジテレビの連結社員数が3000人強であることを考えると、もの凄い数です。
このような異様なアップ&ダウンの背景には、番組制作会社が年の前半に新番組を沢山作成し、その中で当たったものだけが後半まで生き残る(よって雇用も維持される)と言う厳しい現実があります。そしてそのようなテレビ番組需要の裏にあるのは、ケーブルテレビ業界の活況です。
アメリカでは、大半の世帯がテレビをケーブルテレビか衛星放送を通じて視聴しています。よって普通にテレビをつけると、日本のようにデコーダとの入力切替、のようなことをしなくても、地上波ネットワーク(CBS、NBC、ABC、FOX等)の他に、CNN、MTV、Discovery Channel、HBOと言った通称「ケーブルネットワーク」も視聴することが出来ます。
人々のニーズが多様化し、インターネットが普及して欲しい時に欲しい情報が手に入るようになるにつれ、視聴者はバラエティに富んだ番組構成の地上波ネットワークよりも、専門性の高いネーブルチャンネルを視聴する時間が長くなっています。そのような業界変化を受けて、ケーブルネットワークの広告収入は年利7%以上の勢いで伸び、人気のネットワークはものすごいキャッシュフローを生み出しています。それと同時に視聴者のケーブルネットワークへの要求も高まり、昔地上波で放送された番組の再放送などでなく、オリジナルの番組を見たい、と言う需要が強まって、それがハリウッドで巨大な労働市場を生み出していると言うわけです。
このようにケーブルネットワークやインターネットといったニューメディアが急速に伸びているアメリカでは、大手の伝統的メディア企業もうかうかしていられません。何もしなければ視聴者も広告収入もどんどんニューメディアに取られてしまうため、逆にインターネット企業やケーブルネットワークを買収したり、非成長分野である放送部門をLBOファンドなどに売却したりと、色々積極的に動いています。日本では例えば楽天によるTBSの買収提案などはネガティブに捉えられている向きが多いようですが、アメリカでは逆に、積極的に新旧メディアの融合が進んでいる感じがします。
そんなこんなで、この業界は引続きM&Aのニュースでウォールストリートジャーナルの紙面を賑わせてくれることと思います。
この時期には多くのアメリカ人がバケーションに行っていなければ家で過ごすため、テレビの視聴率も上がるわけですが、アメリカのテレビ業界は最近大きく変革しています。私は仕事でメディア業界をカバーしているので、ちらっとそのネタについて書いてみたいと思います。テレビの番組は、「番組制作会社」、「番組ネットワーク(チャンネル)」、「放送事業者(テレビ局)」の順番で放送配信されます。ところが日本とアメリカのテレビ業界は、業界の様相が大きくことなります。
日本では、制作もネットワークも放送も、「事実上」在京キー局が握っています。例えばフジテレビは、自社で番組制作も出来るし、「JOCX(8チャンネル)」と言うネットワークも持っているし、実際に電波を飛ばす放送設備も持っています。もちろん実際には番組制作を制作会社に外注したり、全国のテレビ局とネットワーク協定を結んで「系列化」していたりするわけなのですが、それでも事実上全ての機能がフジテレビに集約していると言えます。
それに対してアメリカでは、制作、ネットワーク、放送の3つの機能が完全に分離しています。ハリウッドスタジオの傘下にあるSony Pictures Televisionが製作したドラマ番組を、4大地上波ネットワークの一つであるABCが購入し、それを全米の都市にあるABC“系列”の独立系テレビ局が放送する、と言った具合です。もちろん大手メディア企業の中には、制作会社、ネットワーク、直営局、と全ての機能を保有している所もありますが、News Corporation傘下の20th Century Fox系のスタジオが作った番組が全てFOXネットワークで放送される、などと言うことは一切ありません。
要するにアメリカでは、映画のみならずテレビ番組の制作も、ハリウッドが握っていると言うことです。そしてハリウッド(正確にはロサンゼルス郡)にとっては、映画・テレビ産業は一大産業です。よく仕事でLA郊外のBurbankと言う街に行くのですが、現地にはWarner Brosのスタジオ、Walt Disneyの本社、NBCのスタジオ、History Channelのスタジオなど、様々な会社が製作スタジオを構えています。その隣街にはUniversal Studioがあったり、色々なレコード会社があったりと、まさに一大メディア・娯楽産業の集積地と言った趣です。
そのハリウッド、映画の都らしく、地位や名声など全ての物事が「Easy Come, Easy Go」であると言われます。そしてそれは最近の労働市場についても同様のようです。例えば今年はテレビ番組需要の拡大を繁栄して、6月までにメディア業界全体で雇用数が24,000も増加したそうです。しかし7月以降は減少に転じ、実に17,000の雇用が消失したと言われています。フジテレビの連結社員数が3000人強であることを考えると、もの凄い数です。このような異様なアップ&ダウンの背景には、番組制作会社が年の前半に新番組を沢山作成し、その中で当たったものだけが後半まで生き残る(よって雇用も維持される)と言う厳しい現実があります。そしてそのようなテレビ番組需要の裏にあるのは、ケーブルテレビ業界の活況です。
アメリカでは、大半の世帯がテレビをケーブルテレビか衛星放送を通じて視聴しています。よって普通にテレビをつけると、日本のようにデコーダとの入力切替、のようなことをしなくても、地上波ネットワーク(CBS、NBC、ABC、FOX等)の他に、CNN、MTV、Discovery Channel、HBOと言った通称「ケーブルネットワーク」も視聴することが出来ます。
人々のニーズが多様化し、インターネットが普及して欲しい時に欲しい情報が手に入るようになるにつれ、視聴者はバラエティに富んだ番組構成の地上波ネットワークよりも、専門性の高いネーブルチャンネルを視聴する時間が長くなっています。そのような業界変化を受けて、ケーブルネットワークの広告収入は年利7%以上の勢いで伸び、人気のネットワークはものすごいキャッシュフローを生み出しています。それと同時に視聴者のケーブルネットワークへの要求も高まり、昔地上波で放送された番組の再放送などでなく、オリジナルの番組を見たい、と言う需要が強まって、それがハリウッドで巨大な労働市場を生み出していると言うわけです。
このようにケーブルネットワークやインターネットといったニューメディアが急速に伸びているアメリカでは、大手の伝統的メディア企業もうかうかしていられません。何もしなければ視聴者も広告収入もどんどんニューメディアに取られてしまうため、逆にインターネット企業やケーブルネットワークを買収したり、非成長分野である放送部門をLBOファンドなどに売却したりと、色々積極的に動いています。日本では例えば楽天によるTBSの買収提案などはネガティブに捉えられている向きが多いようですが、アメリカでは逆に、積極的に新旧メディアの融合が進んでいる感じがします。
そんなこんなで、この業界は引続きM&Aのニュースでウォールストリートジャーナルの紙面を賑わせてくれることと思います。
by harry_g
| 2005-12-24 14:53
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