2005年 12月 18日
アメリカでLBOが活発な理由 |
先日出張でニューヨークに来ていた元同僚と、マンハッタンの南、SOHOの東側にあるNolita(North of Little Italy)地区のレストランで食事をしながら、日本でのPEファンドの現状について、色々話を聞く機会がありました。
その話を聞いていて、改めてアメリカとのマーケットの違いを色々と感じました。
アメリカで生まれたLBO(レバレッジド・バイアウト)は、最近では欧州でもすっかりメジャーとなり、大手のファンドが何千億円と言うディールをどんどん発表しているのは、このブログや友人のブログ「ハーバード留学記」にいつも書いている通りです。
ニューヨークで働いているとLBO案件に関わる機会も多くありますが、これだけ欧米でLBOが発達し、バイアウトファンドが活躍している背景にはどのような要因があるのか、考え付くものを書き出してみました。
M&A市場の深み
アメリカでは百万円単位の小さい商店から何千億円といった大企業まで、様々なレベルでM&Aが活発に行われています。M&Aの背景にある考えは、簡単に言うと、企業は成長するために稼いだキャッシュを再投資しなければならないが、その投資先としては「自力での成長(設備投資等)」と「他人から成長を買う(M&A)」がある、と言うものです。企業経営者は手っ取り早い成長手段としてM&Aを頻繁に利用し、多くの投資銀行や弁護士事務所が毎年ものすごい案件数をこなしています。よってLBOファンドのようなM&Aを生業としているプレーヤーにとっては、非常に充実した市場インフラが整っていることになります。
企業経営者のメンタリティ
上の点と関連して、アメリカでは、株主価値の最大化が経営目標として明確に認識されています。CEOの報酬も株主価値の最大化を使命とする取締役会が決定するなど、経営陣には株価を上げる行動を取ることについて強いインセンティブが働いています。よって株主価値最大化の手段の一つとして事業売却は当然含まれており、その際に買い手が買収ファンドであろうとどこであろうと、買収提案が株主価値に資するかどうかがディール実現の大きな決定要因となります。
リスクマネーの存在
金融市場が発達しているアメリカでは、高いリスクをおかしてでも高いリターンを狙う、いわゆるリスクマネーが多く存在します。常に最も魅力的・効率的な投資先を求めるリスクマネーのマネージャーは、LBOのような高いリスクを伴う投資の内容を理解した上で、LBOファンドに出資します。そのような豊富な資金源が、活発なLBOマーケットを支える大きな要因となっています。
レバレッジド・ファイナンス市場の存在
LBOを行う際にはPEファンドが出資するエクイティ以外の買収資金を、市場からデットの形で調達します。そのため柔軟な資金調達を可能にする深みのあるレバレッジド・ファイナンスの市場、つまりハイイールド債(非投資適格社債)や高利回りのローンのマーケットは、極めて重要な役割を果たします。アメリカではこれらのマーケットがプライマリー(発行市場)、セカンダリー(流通市場)共に発達しており、LBOマーケットを支えています。(LBOの典型的なキャピタルストラクチャーなど詳しい話に興味がある方は、今年の9月か10月辺りに書いたブログをご覧下さい。)
活発な投資銀行の存在
アメリカの投資銀行はLBOの組成に関して大きな役割を果たします。その役割は、ディールのソーシング(投資先の紹介)とデットの資金調達(レバレッジド・ファイナンス)が中心で、場合によってはM&Aのアドバイザリーも行います。投資銀行がLBOファンドを儲けさせるために必死にディールのソーシングを行うのは、端的に言うと、資金調達で大きなフィーが稼げるためです。よってこのポイントは、レバレッジド・ファイナンスの市場の発達度合いと直接関係しています。
潤沢な人材プールの存在
投資銀行は、LBOファンドへの人材供給プールとしても大きな役割を果たしています。投資銀行の若手がLBOファンドに引き抜かれていく話や、最大手LBOファンドであるBlackstoneの創業者の二人がLehman Brothersの出身であることは先日までに書いたとおりです。LBOを発明したと言われるKKRの創業者の三人も、米大手投資銀行Bear Stearnsの出身です。特に以前のように案件が少なかった時代には、投資銀行でM&Aやレバレッジド・ファイナンス案件を多くこなすのが、もっとも手っ取り早い能力開発手段だったのでしょう。最近では案件数が増えているため、特に大手では、ファンド内でも人材が育っているようです。
・・・こうやって見てみると、改めて日本の現状との違いを感じます。日本でも今後プライベートエクイティ投資は拡大していくことと思いますが、欧米のようなLBO主導型とは違った方法になるのかもしれません。
その話を聞いていて、改めてアメリカとのマーケットの違いを色々と感じました。アメリカで生まれたLBO(レバレッジド・バイアウト)は、最近では欧州でもすっかりメジャーとなり、大手のファンドが何千億円と言うディールをどんどん発表しているのは、このブログや友人のブログ「ハーバード留学記」にいつも書いている通りです。
ニューヨークで働いているとLBO案件に関わる機会も多くありますが、これだけ欧米でLBOが発達し、バイアウトファンドが活躍している背景にはどのような要因があるのか、考え付くものを書き出してみました。
M&A市場の深み
アメリカでは百万円単位の小さい商店から何千億円といった大企業まで、様々なレベルでM&Aが活発に行われています。M&Aの背景にある考えは、簡単に言うと、企業は成長するために稼いだキャッシュを再投資しなければならないが、その投資先としては「自力での成長(設備投資等)」と「他人から成長を買う(M&A)」がある、と言うものです。企業経営者は手っ取り早い成長手段としてM&Aを頻繁に利用し、多くの投資銀行や弁護士事務所が毎年ものすごい案件数をこなしています。よってLBOファンドのようなM&Aを生業としているプレーヤーにとっては、非常に充実した市場インフラが整っていることになります。
企業経営者のメンタリティ
上の点と関連して、アメリカでは、株主価値の最大化が経営目標として明確に認識されています。CEOの報酬も株主価値の最大化を使命とする取締役会が決定するなど、経営陣には株価を上げる行動を取ることについて強いインセンティブが働いています。よって株主価値最大化の手段の一つとして事業売却は当然含まれており、その際に買い手が買収ファンドであろうとどこであろうと、買収提案が株主価値に資するかどうかがディール実現の大きな決定要因となります。
リスクマネーの存在
金融市場が発達しているアメリカでは、高いリスクをおかしてでも高いリターンを狙う、いわゆるリスクマネーが多く存在します。常に最も魅力的・効率的な投資先を求めるリスクマネーのマネージャーは、LBOのような高いリスクを伴う投資の内容を理解した上で、LBOファンドに出資します。そのような豊富な資金源が、活発なLBOマーケットを支える大きな要因となっています。
レバレッジド・ファイナンス市場の存在
LBOを行う際にはPEファンドが出資するエクイティ以外の買収資金を、市場からデットの形で調達します。そのため柔軟な資金調達を可能にする深みのあるレバレッジド・ファイナンスの市場、つまりハイイールド債(非投資適格社債)や高利回りのローンのマーケットは、極めて重要な役割を果たします。アメリカではこれらのマーケットがプライマリー(発行市場)、セカンダリー(流通市場)共に発達しており、LBOマーケットを支えています。(LBOの典型的なキャピタルストラクチャーなど詳しい話に興味がある方は、今年の9月か10月辺りに書いたブログをご覧下さい。)
活発な投資銀行の存在
アメリカの投資銀行はLBOの組成に関して大きな役割を果たします。その役割は、ディールのソーシング(投資先の紹介)とデットの資金調達(レバレッジド・ファイナンス)が中心で、場合によってはM&Aのアドバイザリーも行います。投資銀行がLBOファンドを儲けさせるために必死にディールのソーシングを行うのは、端的に言うと、資金調達で大きなフィーが稼げるためです。よってこのポイントは、レバレッジド・ファイナンスの市場の発達度合いと直接関係しています。
潤沢な人材プールの存在
投資銀行は、LBOファンドへの人材供給プールとしても大きな役割を果たしています。投資銀行の若手がLBOファンドに引き抜かれていく話や、最大手LBOファンドであるBlackstoneの創業者の二人がLehman Brothersの出身であることは先日までに書いたとおりです。LBOを発明したと言われるKKRの創業者の三人も、米大手投資銀行Bear Stearnsの出身です。特に以前のように案件が少なかった時代には、投資銀行でM&Aやレバレッジド・ファイナンス案件を多くこなすのが、もっとも手っ取り早い能力開発手段だったのでしょう。最近では案件数が増えているため、特に大手では、ファンド内でも人材が育っているようです。
・・・こうやって見てみると、改めて日本の現状との違いを感じます。日本でも今後プライベートエクイティ投資は拡大していくことと思いますが、欧米のようなLBO主導型とは違った方法になるのかもしれません。
by harry_g
| 2005-12-18 16:58
| LBO・プライベートエクイティ


