2005年 12月 12日
ディールメイカーの苦しみ? |
証券業界ではよく、「セルサイド」と「バイサイド」と言う言葉を使います。
「セルサイド」とは、株なり債券なりを投資家に対して「売る」側と言う意味で、いわゆる投資銀行(証券会社)のことです。それに対して「バイサイド」とは、証券の「買う」側の投資家のことで、広義ではLBOファンドや戦略投資家も含み、狭義では投資信託会社、生命保険会社、ヘッジファンドなどのことです。
最近バイサイドの人と話す機会が多いのでよく感じるのですが、セルサイドとバイサイドの大きな違いは、セルサイドがディールや投資アイデアを積極的に「創り出す」(または売り込む)側であるのに対して、バイサイドは基本的にはそういったアイデアを「利用する」側である、と言う点だと思います。
例えばIBは、企業に対するM&Aなどの戦略の提案と、結果としてのアドバイザリーや資金調達の実行を仕事としています。これはまさに「ディールメイキング」、つまり案件を生み出す仕事だと言えると思います。
インベストメントバンカーの中には、自らのアイデアが企業を動かしたり、自分の働いたディールが新聞の一面を飾ることを、仕事の一番の遣り甲斐だと言う人も多くいます。確かに何かを「創り出す」と言うのは、何となくカッコいい響きがあります。
しかしこの「ディールメイキング」、決して華やかなものでも、また楽な作業でもありません。
「クライアントに戦略を提案し、それを実行する」と口で言うのは簡単ですが、実際にはクライアントがディールを決断するまでに、IBは無数のプレゼンテーションを繰り返します。また、ディールが実行段階に入った後にも、デューディリジェンス(企業精査)の結果集まったデータを元に企業価値を算出する財務分析をしたり、投資家のために目論見書を作成したり、更には経営陣と実際に投資家を回ったりと、それはもう膨大な量の作業と時間が必要になります。
それではセルサイドから情報をもらえるはずのバイサイドはもっと仕事が楽なのかと言うと、どうやらそうでもないようです。
大手の運用会社やヘッジファンドなどは、確かにセールス的要素が少ない点については仕事は楽だそうですが、分析作業については、セルサイドに匹敵するかそれを上回る努力をしているようです。確かにセルサイドのリサーチアナリストがイコールマーケットなので、マーケットに勝とうと思ったら、そんな努力は当然のことなのかもしれません。
また、バイサイドの中でもプライベートエクイティファンドは、IBと一緒にディールのアイデアを考え、買収先企業の発行するデットの売り出しを行うと言う、ある意味「セルサイド」的な面と、そもそもディールの旨みを検討してエクイティ投資をするという「バイサイド」的な面の、実に両方の面を持った存在な気がします。
更にPEファンドの場合、普通の機関投資家と違って買収先の企業の経営に手を入れ、マネジメントを入れ替えたり事業リストラを行ったりもするため、ある意味ではIB以上に何かを「創り出す」存在と言えるかもしれません。
もちろん以上の話は全てケースバイケースで、一言でセルサイドと言っても色々な仕事があり、また大手運用会社といっても色々なスタイルの会社があります。しかし単純に、セルサイド=苦しみが多い、とは言えない気がします。むしろそれぞれビジネスモデルの違いはあるにせよ、結局は単純に、「ハイリスク・ハイリターン」と言うことなのかもしれません。
「セルサイド」とは、株なり債券なりを投資家に対して「売る」側と言う意味で、いわゆる投資銀行(証券会社)のことです。それに対して「バイサイド」とは、証券の「買う」側の投資家のことで、広義ではLBOファンドや戦略投資家も含み、狭義では投資信託会社、生命保険会社、ヘッジファンドなどのことです。
最近バイサイドの人と話す機会が多いのでよく感じるのですが、セルサイドとバイサイドの大きな違いは、セルサイドがディールや投資アイデアを積極的に「創り出す」(または売り込む)側であるのに対して、バイサイドは基本的にはそういったアイデアを「利用する」側である、と言う点だと思います。
例えばIBは、企業に対するM&Aなどの戦略の提案と、結果としてのアドバイザリーや資金調達の実行を仕事としています。これはまさに「ディールメイキング」、つまり案件を生み出す仕事だと言えると思います。

しかしこの「ディールメイキング」、決して華やかなものでも、また楽な作業でもありません。
「クライアントに戦略を提案し、それを実行する」と口で言うのは簡単ですが、実際にはクライアントがディールを決断するまでに、IBは無数のプレゼンテーションを繰り返します。また、ディールが実行段階に入った後にも、デューディリジェンス(企業精査)の結果集まったデータを元に企業価値を算出する財務分析をしたり、投資家のために目論見書を作成したり、更には経営陣と実際に投資家を回ったりと、それはもう膨大な量の作業と時間が必要になります。
それではセルサイドから情報をもらえるはずのバイサイドはもっと仕事が楽なのかと言うと、どうやらそうでもないようです。
大手の運用会社やヘッジファンドなどは、確かにセールス的要素が少ない点については仕事は楽だそうですが、分析作業については、セルサイドに匹敵するかそれを上回る努力をしているようです。確かにセルサイドのリサーチアナリストがイコールマーケットなので、マーケットに勝とうと思ったら、そんな努力は当然のことなのかもしれません。
また、バイサイドの中でもプライベートエクイティファンドは、IBと一緒にディールのアイデアを考え、買収先企業の発行するデットの売り出しを行うと言う、ある意味「セルサイド」的な面と、そもそもディールの旨みを検討してエクイティ投資をするという「バイサイド」的な面の、実に両方の面を持った存在な気がします。
更にPEファンドの場合、普通の機関投資家と違って買収先の企業の経営に手を入れ、マネジメントを入れ替えたり事業リストラを行ったりもするため、ある意味ではIB以上に何かを「創り出す」存在と言えるかもしれません。
もちろん以上の話は全てケースバイケースで、一言でセルサイドと言っても色々な仕事があり、また大手運用会社といっても色々なスタイルの会社があります。しかし単純に、セルサイド=苦しみが多い、とは言えない気がします。むしろそれぞれビジネスモデルの違いはあるにせよ、結局は単純に、「ハイリスク・ハイリターン」と言うことなのかもしれません。
by harry_g
| 2005-12-12 16:29
| ヘッジファンド・株式投資