2005年 11月 19日
フォーチュンテラー? |
市場では「エコノミスト」と呼ばれる人達が、マクロ経済の数字を予想したり、政府の金融政策にコメントをしたり、企業業績の予想をしたりします。通常エコノミストは、経済学の博士号などを有する人がやっていて、弊社のエコノミストも、「GDPの予想レートは何%、長期金利がいついつまでに何%」と言った感じで、色々な予想を発表しています。
経済の動きに関するエコノミストの見解は、債券や為替などマクロ経済の動きに影響を受けやすい商品を扱っていなくても、色々勉強になります。例えばハイイールド債の市場動向などを見てLBOマーケットの受容性などについて考える時も、金利の先高感などは大変参考になります。
またもっと単純に、特定の見解に至った分析内容や、過去からの経済のトレンド等についてのコメントを呼んでいると、読み物としても十分楽しめます。過去30年のアメリカ経済を見ていると、こういう時に金利が上がり、その結果景気はどうなった、以前にFEDのChairmanが交代した後はどうなった、と言った感じです。
私は仕事以外でも、不動産投資に関心があるため、アメリカの10年債のレートは特に注視しています。と言うのも、アメリカでは住宅ローンレートが、長期金利の代表である10年債レートに連動する傾向が強いからです。
言うまでもありませんが、あまり金利が上がってしまうと持ち家を買う人にとっても投資家にとっても月々のローン支払い負担が増加してしまうため、不動産市況を急速に冷やしかねません。もちろんインフレに対して金利上昇があるので仕方がないと言えば仕方がないですが、やはり気になる所です。
そんなこんなでエコノミストの予想には日頃からかなり注目しているのですが、悩ましいことに、エコノミストの予想はマーケットの状況が変わってくるとすぐに変更されてしまいます。例えば最近FEDの新Chairmanが任命されて10年金利が大幅に上昇しましたが、その結果弊社の長期金利の予想も、以前の「来年4.6%」と言った水準から、「4.8%」に大きく改定されてしまいました。金利の先高感が限定的なことは不動産投資をする際の安心材料の一つにもなるので、困った話です。
こうやって、「イベント」がある毎にそんな風に予想内容を変更するのなら、そもそも何の為にエコノミストがいるのか、と思ったりもしますが、そこを大御所トレーダーの方に聞いた所、以下のような趣旨のことを仰っていました。
「エコノミストの予想は、あくまでマクロ経済のトレンドを分析する諸手段のひとつに過ぎない。また、エコノミストの本質はあくまで『シナリオテラー』であって、決して『フォーチュンテラー』ではない。預言者は見通しが外れると職を失うが、エコノミストは見通しが外れても、単にシナリオに「ズレ」が生じたと言うだけ。より重要なのは、そんなエコノミストのシナリオでも、欲しがる人が多い点。言い換えれば、予想があまり当らなくとも、ニーズがあるからこそ存在するわけである。」
プロの市場参加者は、セルサイド(証券会社)のエコノミストや株式アナリストのリサーチは参考程度にしか見ていない事が多く、実際の投資判断や予想は、独自に立てるのが基本です。それでもやはりアナリストの意見を参考にする人が相当多いのであろうことは、彼ら・彼女らの意見がマーケットを動かしてしまうことからも見てとれます。そんな事実に対しての同氏のコメントは、
「彼らが経済“指標”の予測をするのは止めて欲しい。数値の予想平均がコンセンサスとなって一人歩きし、結果的に実体経済の趨勢云々ではなく、コンセンサス対比でマーケットが動いてしまうからだ。事前の合理的な予測活動を通じて市場の過剰反応を抑制するならまだしも、実際は彼らの予測によって、かえってマーケットの振幅が広がる場合が非常に多い。」
とのこと。その通りと言った感じです。ただ、これはエコノミストに限らず、株式リサーチのアナリストについても言えることかもしれません。例えば企業の業績発表の際にも、必ず
「事前のアナリストの予想コンセンサスの○○ドルに対して、今季の業績は××ドルと、△%下回りました。その結果、同社の株価は○%下げています」
なんて事になることが多いです。これも言うなれば、事前のアナリスト予想が「業績達成目標」として一人歩きしている例と言えるのでしょう。それでもアナリスト予想が重要視されている事実には変わりはなく、アメリカの経営者は、日々「ウォールストリート=セルサイドアナリスト」の目を気にしながら経営をすることになります。何とも大変な話ですが。
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今日は、ここにもリンクを張らさせて頂いているNY LawyerさんとWall St Timesさんとミッドタウンでお会いしました。こうやって知り合いが増えていくのは、ブログを書いている最大の魅力の一つですね。特に海外在住だと、こういった機会は大変貴重です。また是非やりましょう。
経済の動きに関するエコノミストの見解は、債券や為替などマクロ経済の動きに影響を受けやすい商品を扱っていなくても、色々勉強になります。例えばハイイールド債の市場動向などを見てLBOマーケットの受容性などについて考える時も、金利の先高感などは大変参考になります。
またもっと単純に、特定の見解に至った分析内容や、過去からの経済のトレンド等についてのコメントを呼んでいると、読み物としても十分楽しめます。過去30年のアメリカ経済を見ていると、こういう時に金利が上がり、その結果景気はどうなった、以前にFEDのChairmanが交代した後はどうなった、と言った感じです。

言うまでもありませんが、あまり金利が上がってしまうと持ち家を買う人にとっても投資家にとっても月々のローン支払い負担が増加してしまうため、不動産市況を急速に冷やしかねません。もちろんインフレに対して金利上昇があるので仕方がないと言えば仕方がないですが、やはり気になる所です。
そんなこんなでエコノミストの予想には日頃からかなり注目しているのですが、悩ましいことに、エコノミストの予想はマーケットの状況が変わってくるとすぐに変更されてしまいます。例えば最近FEDの新Chairmanが任命されて10年金利が大幅に上昇しましたが、その結果弊社の長期金利の予想も、以前の「来年4.6%」と言った水準から、「4.8%」に大きく改定されてしまいました。金利の先高感が限定的なことは不動産投資をする際の安心材料の一つにもなるので、困った話です。
こうやって、「イベント」がある毎にそんな風に予想内容を変更するのなら、そもそも何の為にエコノミストがいるのか、と思ったりもしますが、そこを大御所トレーダーの方に聞いた所、以下のような趣旨のことを仰っていました。
「エコノミストの予想は、あくまでマクロ経済のトレンドを分析する諸手段のひとつに過ぎない。また、エコノミストの本質はあくまで『シナリオテラー』であって、決して『フォーチュンテラー』ではない。預言者は見通しが外れると職を失うが、エコノミストは見通しが外れても、単にシナリオに「ズレ」が生じたと言うだけ。より重要なのは、そんなエコノミストのシナリオでも、欲しがる人が多い点。言い換えれば、予想があまり当らなくとも、ニーズがあるからこそ存在するわけである。」
プロの市場参加者は、セルサイド(証券会社)のエコノミストや株式アナリストのリサーチは参考程度にしか見ていない事が多く、実際の投資判断や予想は、独自に立てるのが基本です。それでもやはりアナリストの意見を参考にする人が相当多いのであろうことは、彼ら・彼女らの意見がマーケットを動かしてしまうことからも見てとれます。そんな事実に対しての同氏のコメントは、
「彼らが経済“指標”の予測をするのは止めて欲しい。数値の予想平均がコンセンサスとなって一人歩きし、結果的に実体経済の趨勢云々ではなく、コンセンサス対比でマーケットが動いてしまうからだ。事前の合理的な予測活動を通じて市場の過剰反応を抑制するならまだしも、実際は彼らの予測によって、かえってマーケットの振幅が広がる場合が非常に多い。」とのこと。その通りと言った感じです。ただ、これはエコノミストに限らず、株式リサーチのアナリストについても言えることかもしれません。例えば企業の業績発表の際にも、必ず
「事前のアナリストの予想コンセンサスの○○ドルに対して、今季の業績は××ドルと、△%下回りました。その結果、同社の株価は○%下げています」
なんて事になることが多いです。これも言うなれば、事前のアナリスト予想が「業績達成目標」として一人歩きしている例と言えるのでしょう。それでもアナリスト予想が重要視されている事実には変わりはなく、アメリカの経営者は、日々「ウォールストリート=セルサイドアナリスト」の目を気にしながら経営をすることになります。何とも大変な話ですが。
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今日は、ここにもリンクを張らさせて頂いているNY LawyerさんとWall St Timesさんとミッドタウンでお会いしました。こうやって知り合いが増えていくのは、ブログを書いている最大の魅力の一つですね。特に海外在住だと、こういった機会は大変貴重です。また是非やりましょう。
by harry_g
| 2005-11-19 15:47
| ヘッジファンド・株式投資


