2005年 11月 11日
「Busy」の定義 |
ウォールストリート、特に投資銀行部サイドのカルチャーは、よく言うと「チームスポーツ的」、悪く言うと「軍隊的」です。そもそも競争の激しい業界でアグレッシブな人材が集まっている上、業務内容がスタンドプレーでは出来ないため、どうしても「いかにリソース(=人材)を効率的に使うか」と言う話になります。
その結果、特に若手の過酷な労働時間(平均して毎日9時~12時+週末も最低1日は出勤)といった状況を招くわけですが、その文化を変えようとしても、どうにもならないと言うのが正直な所です。
そんな投資銀行業界でも、よりアグレッシブな文化の会社とそうでもない会社があり、かつてはDLJやSalomon Brothersが、最も激しいカルチャーの会社として知られていました。そこで働くのがどんな感じか、以下に「投資銀行残酷日記」の舞台となったDLJで、ジュニアバンカーの仕事の割り振りを担当するStafferが送ったメールをご紹介します。(抄訳)
Subject: 「Too Busy」と「Busy」の定義
最近非常に目に付く傾向として、(特に俺が仕事を振るのに苦労していると言うことがあるが、)仕事を頼もうとすると「Too Busy」と主張する奴が多い。しかし本当に「Too Busy」かどうかの定義には個人差があるので、結果的に仕事量の不公平さを生んでしまう。
真の「Too Busy」の定義は、「物理的にこれ以上“一切”仕事が出来ない」という状況を言う。(これ以上別のプロジェクトに関われない、と言うのとは違う。)と言うことで、ここに明確に「Busy」の意味を定義することにする。
「Busy」な状態とは、週7日、週末も含めて一日最低16時間働いている状態を言う。これには移動時間、おしゃべりをしている時間、食事をしている時間は含まず、純粋に「働いている」時間のみを含む。もし働いている時間がこれより短いとしたら、まだ追加の仕事を引き受けるキャパシティがあることになる。バケーション、週末の計画、ロードショー(投資家訪問)、人数過剰なデューディリジェンスなどでは、「後部座席」に座って仕事を終わらせるように。そもそもそう言った計画をする前に、必ず知らせるようにして欲しい。
みんな分かっていると思うが、会社がより多くのプロジェクトを引き受けられるかどうかは、純粋にみんなの判断にかかっている。Bed checks(要員点検)、ポケベル、入社時間チェック票などは、うちの会社のカルチャーではない。「フェア」で「公平」であることこそが、DLJの骨組みである。他の人間に比べて頑張りが足りない人がいるとすれば、言葉は悪いようだが、そいつは「ただ乗り」していることになる。みんなのレベルでは収益責任がないため、「いかに公平に仕事をするか」が極めて重要となる。DLJをウォールストリート最高の会社にしようという今こそ、全員が力を最大まで出し切って欲しい。それこそが同僚の仲間に対する「フェアネス」と言うものだろう。
・・・一日に、食事、トイレ、休憩などの時間は最低でも2時間はあると思われます。と言うことは、16時間の労働時間と言うのは、一日も休みなしに、毎日朝の9時から夜の3時まで働け、と言うことです。(実際には朝9時に出社するのは至難の業なので、そうなると9時半~3時半、10時~4時と、ますます過酷になります。)ジュニアバンカーの大半が会社の近くに住んでいるとは言え、これでは睡眠時間は最大でも5時間弱になります。それが休み無く続くわけで、かつシニアバンカーからの厳しい注文がひっきりなしに飛んでくるとなると、本当に軍隊のようです。
それでもそういった厳しい環境を生き抜くと、財務分析能力やビジネスコミュニケーション能力に限らず、それこそ「規律」や仕事のクオリティへのこだわりなど、様々な能力が身につきます。その結果アメリカの投資銀行は、プライベートエクイティやヘッジファンドなどの金融界に限らず、大手事業法人の戦略部門やファイナンス部門、ベンチャーやベンチャーキャピタルなど、多方面への「人材輩出センター」となっています。(もちろん途中で力尽きて辞めてしまう人もいますが。。。)
その結果、特に若手の過酷な労働時間(平均して毎日9時~12時+週末も最低1日は出勤)といった状況を招くわけですが、その文化を変えようとしても、どうにもならないと言うのが正直な所です。
そんな投資銀行業界でも、よりアグレッシブな文化の会社とそうでもない会社があり、かつてはDLJやSalomon Brothersが、最も激しいカルチャーの会社として知られていました。そこで働くのがどんな感じか、以下に「投資銀行残酷日記」の舞台となったDLJで、ジュニアバンカーの仕事の割り振りを担当するStafferが送ったメールをご紹介します。(抄訳)
Subject: 「Too Busy」と「Busy」の定義
最近非常に目に付く傾向として、(特に俺が仕事を振るのに苦労していると言うことがあるが、)仕事を頼もうとすると「Too Busy」と主張する奴が多い。しかし本当に「Too Busy」かどうかの定義には個人差があるので、結果的に仕事量の不公平さを生んでしまう。
真の「Too Busy」の定義は、「物理的にこれ以上“一切”仕事が出来ない」という状況を言う。(これ以上別のプロジェクトに関われない、と言うのとは違う。)と言うことで、ここに明確に「Busy」の意味を定義することにする。
「Busy」な状態とは、週7日、週末も含めて一日最低16時間働いている状態を言う。これには移動時間、おしゃべりをしている時間、食事をしている時間は含まず、純粋に「働いている」時間のみを含む。もし働いている時間がこれより短いとしたら、まだ追加の仕事を引き受けるキャパシティがあることになる。バケーション、週末の計画、ロードショー(投資家訪問)、人数過剰なデューディリジェンスなどでは、「後部座席」に座って仕事を終わらせるように。そもそもそう言った計画をする前に、必ず知らせるようにして欲しい。
みんな分かっていると思うが、会社がより多くのプロジェクトを引き受けられるかどうかは、純粋にみんなの判断にかかっている。Bed checks(要員点検)、ポケベル、入社時間チェック票などは、うちの会社のカルチャーではない。「フェア」で「公平」であることこそが、DLJの骨組みである。他の人間に比べて頑張りが足りない人がいるとすれば、言葉は悪いようだが、そいつは「ただ乗り」していることになる。みんなのレベルでは収益責任がないため、「いかに公平に仕事をするか」が極めて重要となる。DLJをウォールストリート最高の会社にしようという今こそ、全員が力を最大まで出し切って欲しい。それこそが同僚の仲間に対する「フェアネス」と言うものだろう。
・・・一日に、食事、トイレ、休憩などの時間は最低でも2時間はあると思われます。と言うことは、16時間の労働時間と言うのは、一日も休みなしに、毎日朝の9時から夜の3時まで働け、と言うことです。(実際には朝9時に出社するのは至難の業なので、そうなると9時半~3時半、10時~4時と、ますます過酷になります。)ジュニアバンカーの大半が会社の近くに住んでいるとは言え、これでは睡眠時間は最大でも5時間弱になります。それが休み無く続くわけで、かつシニアバンカーからの厳しい注文がひっきりなしに飛んでくるとなると、本当に軍隊のようです。
それでもそういった厳しい環境を生き抜くと、財務分析能力やビジネスコミュニケーション能力に限らず、それこそ「規律」や仕事のクオリティへのこだわりなど、様々な能力が身につきます。その結果アメリカの投資銀行は、プライベートエクイティやヘッジファンドなどの金融界に限らず、大手事業法人の戦略部門やファイナンス部門、ベンチャーやベンチャーキャピタルなど、多方面への「人材輩出センター」となっています。(もちろん途中で力尽きて辞めてしまう人もいますが。。。)
by harry_g
| 2005-11-11 13:40
| キャリア・仕事