2005年 11月 10日
アメリカの敵対的買収 |
いつかブログで言いましたが、最近のアメリカの「敵対的買収」のトレンドについて、簡単にまとめてみたいと思います。
敵対的買収が増えている背景には、端的に言うと「好調な株式市場」と「明るい景気の先行き感」があります。株価が高いと言うことは企業が強力な「買収対価」を得ることにつながり、株式交換による買収をしやすい環境なります。また景気がよい時には、金利が安く借入れがしやすいこと、そもそも現金資金を多く持った企業が増えることもあり、買収を仕掛けるのには最適な環境と言えるわけです。
他にも、失敗した時のリスクが大きい敵対的買収は、M&Aの中でも最も企業の「自信」を反映した手法と言えますが、景気の良さはその「自信」を企業に与える大きな要因にもなります。さらに、景気回復時にはバリュエーションが大きく急速に変化するので、アービトラージのチャンスを狙った買収をする絶好の機会となります。また最近では、アクティビストが特定企業の株価が割安であることを公にアピールする結果、ストラテジックバイヤーが入って来てその企業を買収してしまうなんてこともあります。
その「敵対的買収」、英語では通常「Unsolicited Bid」、つまり「被買収企業によって求められていない買収提案」と呼ばれます。「Hostile」と言うよりマイルドな感じですが、実際に案件内容も、かつての「乗っ取り」的イメージから変化してきており、最近では「ブルーチップ」と呼ばれる大手企業が参加することも多くなっています。具体的に最近の著名な企業による敵対的買収案件を見てみると、こんな感じです。
2004年 Comcast -> Walt Disney (メディア) $66.8bn (約7.7兆円) 失敗
2004年 Sanofi -> Aventis (製薬) $63.3bn (約7.3兆円) 成功
2004年 MGM Mirage -> Mandalay (カジノホテル) $7.8bn (約9000億円) 成功
2003年 Oracle -> PeopleSoft (テック) $7.5bn (約8600億円) 成功
2005年 Qwest -> MCI (通信) $5.9bn (約6800億円) 失敗
他にもGE、IBM、Shell、Pfizerなど、超一流の会社も敵対的買収提案を戦略として用いており、企業経営者も単に「敵対的買収=乗っ取り=断固拒否」とは行かなくなっているのが現状です。
敵対的買収のターゲットになりやすい企業はどんなところかと言うと、
-株価が割安
-コンテンツ、特許など特有の資産を有する
-業界統合が進んでいる
-規模の経済が追求しやすい
-株主基盤が不安定(←少数の株主が多くの株を握っている)
-経営の評判が悪い(←機関投資家が被買収を好む可能性大)
-買収防衛策(ポイズンピルなど)がしっかり備わっていない
と言った感じでしょうか。特にアメリカでは、業界統合が進んでいるセクターで敵対的買収がよく見られます。例えば地域通信会社Qwestが、別の地域電話であるVerizonへの売却に合意していた長距離電話のMCIに対して敵対的買収提案をしたのも、長距離大手のAT&Tが、更に別の地域電話SBCとのM&Aに合意していたことがあります。
敵対的買収の防衛策には、ポイズンピルなどの法的な防衛策を備えることや、IR(投資家とのコミュニケーション)を改善するなど色々ありますが、やはり最大の防衛策は「株価の上昇」と、それに向けたM&A、経営の効率化、配当金増加などの積極的な経営改善策です。まさに「株主利益を考えた経営」と言う話ともつながっていますが、そうやって常に株主をハッピーにしておけば、そもそもアクティビストに目をつけられたりと言うこともなくなるわけです。
最近ではアメリカのM&Aの活況ぶりがよく報道されていますが、99年~00年のピーク時と比べると、案件数、案件規模ともに、2/3程度と言う感じです。SDCのデータによると、M&A市場は99年~00年には案件数で年間約1万2千件、案件総額で1.8兆ドル(約207兆円)規模に達していました。それに対して2004年~05年は、案件数が年間に8千件、案件金額も1兆ドル(約115兆円)程度といった感じです。
ちなみにこの8千~1.2万件のうち、「敵対的」案件(発表ベース)はどれくらいあると思いますか?
敵対的買収が増えている背景には、端的に言うと「好調な株式市場」と「明るい景気の先行き感」があります。株価が高いと言うことは企業が強力な「買収対価」を得ることにつながり、株式交換による買収をしやすい環境なります。また景気がよい時には、金利が安く借入れがしやすいこと、そもそも現金資金を多く持った企業が増えることもあり、買収を仕掛けるのには最適な環境と言えるわけです。
他にも、失敗した時のリスクが大きい敵対的買収は、M&Aの中でも最も企業の「自信」を反映した手法と言えますが、景気の良さはその「自信」を企業に与える大きな要因にもなります。さらに、景気回復時にはバリュエーションが大きく急速に変化するので、アービトラージのチャンスを狙った買収をする絶好の機会となります。また最近では、アクティビストが特定企業の株価が割安であることを公にアピールする結果、ストラテジックバイヤーが入って来てその企業を買収してしまうなんてこともあります。その「敵対的買収」、英語では通常「Unsolicited Bid」、つまり「被買収企業によって求められていない買収提案」と呼ばれます。「Hostile」と言うよりマイルドな感じですが、実際に案件内容も、かつての「乗っ取り」的イメージから変化してきており、最近では「ブルーチップ」と呼ばれる大手企業が参加することも多くなっています。具体的に最近の著名な企業による敵対的買収案件を見てみると、こんな感じです。
2004年 Comcast -> Walt Disney (メディア) $66.8bn (約7.7兆円) 失敗
2004年 Sanofi -> Aventis (製薬) $63.3bn (約7.3兆円) 成功
2004年 MGM Mirage -> Mandalay (カジノホテル) $7.8bn (約9000億円) 成功
2003年 Oracle -> PeopleSoft (テック) $7.5bn (約8600億円) 成功
2005年 Qwest -> MCI (通信) $5.9bn (約6800億円) 失敗
他にもGE、IBM、Shell、Pfizerなど、超一流の会社も敵対的買収提案を戦略として用いており、企業経営者も単に「敵対的買収=乗っ取り=断固拒否」とは行かなくなっているのが現状です。敵対的買収のターゲットになりやすい企業はどんなところかと言うと、
-株価が割安
-コンテンツ、特許など特有の資産を有する
-業界統合が進んでいる
-規模の経済が追求しやすい
-株主基盤が不安定(←少数の株主が多くの株を握っている)
-経営の評判が悪い(←機関投資家が被買収を好む可能性大)
-買収防衛策(ポイズンピルなど)がしっかり備わっていない
と言った感じでしょうか。特にアメリカでは、業界統合が進んでいるセクターで敵対的買収がよく見られます。例えば地域通信会社Qwestが、別の地域電話であるVerizonへの売却に合意していた長距離電話のMCIに対して敵対的買収提案をしたのも、長距離大手のAT&Tが、更に別の地域電話SBCとのM&Aに合意していたことがあります。
敵対的買収の防衛策には、ポイズンピルなどの法的な防衛策を備えることや、IR(投資家とのコミュニケーション)を改善するなど色々ありますが、やはり最大の防衛策は「株価の上昇」と、それに向けたM&A、経営の効率化、配当金増加などの積極的な経営改善策です。まさに「株主利益を考えた経営」と言う話ともつながっていますが、そうやって常に株主をハッピーにしておけば、そもそもアクティビストに目をつけられたりと言うこともなくなるわけです。
最近ではアメリカのM&Aの活況ぶりがよく報道されていますが、99年~00年のピーク時と比べると、案件数、案件規模ともに、2/3程度と言う感じです。SDCのデータによると、M&A市場は99年~00年には案件数で年間約1万2千件、案件総額で1.8兆ドル(約207兆円)規模に達していました。それに対して2004年~05年は、案件数が年間に8千件、案件金額も1兆ドル(約115兆円)程度といった感じです。
ちなみにこの8千~1.2万件のうち、「敵対的」案件(発表ベース)はどれくらいあると思いますか?
by harry_g
| 2005-11-10 12:50
| 株主経営・アクティビスト


