2005年 10月 25日
「ウォールストリート」でのシゴト |
最近アメリカがリクルーティング(就職活動)シーズンであることもあり、NYと東京の投資銀行でのキャリアや生活の違いについて色々聞かれます。10月5日のブログに日米のディールフローの違いについて書きましたが、現場についてもっと知りたいと言う話が多いので、実態についてもう少しカジュアルに書いてみたいと思います。
業界関係者の皆様、勝手な意見をご容赦下さい。
◆「就職先」としての評価
日本:中
「ドライ」、「すぐクビを切られる」、「最悪の場合日本撤退」との悪いイメージと、「給料が高い」、「実力主義」、「オシャレ」なイメージとが交錯している。英語が出来ないと生き残れないイメージが強く、日系の金融関係者や学生の間でも人気はまちまち。学生の志望者には帰国子女が多い。最近では内情が知られるようになってきたため、時代が時代なら官僚になっていたであろう東大出身の志望者が激増中。ちなみに、アメリカと比べるとリストラされる可能性は低い。
米国:高
東海岸の一流大学及びMBAの一番人気の就職先。(それこそウォールストリートに入りたいがためにMBAに行く人も多い。)社会的信用も高く、給料も高い魅力的な職場と言うイメージが広く浸透しており、学士レベルでは全米の大学の成績トップクラスが入社してくる。ただ、景気が悪化した際のリストラは日本より過酷な上、「激務」のイメージから、ライフスタイル重視の一般的アメリカ人からは敬遠されることも。最近ではヘッジファンドやプライベートエクイティの方が、「短い労働時間」、「よりスマートな儲け方」を売りにMBAに人気を博しているが、投資銀行は金融業界の人材育成センターとして、時代を通じて安定した人気がある。
◆仕事の内容(IBD)
日本:中~高
アメリカに比べて、若い時(極端な話入社1年目)から多くの責任を任せられ、大企業のマネジメントに会ったり出来るため、極めてやりがいがあり魅力的。ただ、クライアントが欧米の「株主資本主義」的な経営を行っていないケースが大半で、「投資銀行」からイメージされる財務分析やバリュエーション作業よりも、「戦略コンサルティング」的な話が多い。また、マーケットはまだまだ発展途上で、案件数は景気に大きく左右される。人数が少ないため、勤務時間はアメリカより長い。
米国:高
クライアントの大半がファイナンスに精通しており、複雑な分析作業やバリュエーション作業が頻繁に要求されるが、テクニカルな作業と戦略的な話がいい感じでミックスされている。勤務時間もアソシエイト以上は日本より「若干」マシ。ただ、組織が日本よりはるかに大きいこともあり、「下働き」期間が長い。また、異様にコンペティティブなため、常に全力で泳いでいないと「顔が水につかり始める」プレッシャーがある。ただ、マーケットが大きいことと、そもそも経営者のメンタリティの違いから、案件数は景気によって増えることはあっても激減することは稀。
◆オフィス環境
日本:高
六本木ヒルズや恵比寿ガーデンプレイスなど、考えうる最高のオフィス環境で、スターバックスコーヒーを飲み、オープンテラスのオシャレなレストランでランチをしたりしながら仕事が出来る。「外資系」として、英語を多様した「何となく国際的」な社内の雰囲気も極めて良好。オフィス内はどこもホテルのようにキレイで、入社一年目からセクレタリーがついたりと、非常に魅力的な環境。ただ、オフィススペースがアメリカに比べて若干狭い。(マーケットサイドは日米同じ)
米国:低~中
マンハッタンの高層オフィスは魅力的と言えば魅力的だが、窓の外も高層ビルだし、古いビルが多いためか、「何か」イマイチ。更に、アメリカではただの「一・現地企業」なので、オフィス環境も特別感はあまり無い。ただ、特にNYでは文字通り世界中から社員が集まっており、国際的な感じとアメリカ的な感じが良い感じでミックスされている。オフィススペースは日本より広くゆったりしている。
◆業界引退後のキャリア
日本:中
業界が新しいこともあり、まだあまり道が開けていない。30代後半にもなってくると、それなりの稼ぎが無いと会社を追い出される事になるが、その後はより小さい同業退社を転々としたり、細々と独立したりするケースが多い。破格の給料を稼いているはずなのだから、一般人からみたら十分「引退」出来る位のお金は貯まっているだろうが、一度上がってしまった生活水準を下げるのは至難の業。
米国:低~高
「スーパーコンペティティブ」なウォールストリートで生き残れた人には、素晴らしい「次」が約束されている。Donald Trump、Walt Disney、Sony Americaと言った大企業のCFOになったり、プライベート・エクイティやヘッジファンドで活躍したり、政治家になって更に稼いだりする。株式ベースのボーナスが蓄積し、引退時に多額のキャッシュが手に入る場合もあり、広大な国土のどこか(コロラド、ハワイなど)で悠々自適の生活を送ることも可能。ただ、「生存率」は低い。。。(10%以下か)
・・・例によって長くなって来たので、続きはまた今度にします。他にも、もっとこういう事が知りたい、と言うリクエストがあったら言って下さい。
また、BCF(ボストンキャリアフォーラム)に参加した方、一般的な感想や、どの会社が勢いがあったかなど、是非お聞かせ下さい。
業界関係者の皆様、勝手な意見をご容赦下さい。
◆「就職先」としての評価
日本:中
「ドライ」、「すぐクビを切られる」、「最悪の場合日本撤退」との悪いイメージと、「給料が高い」、「実力主義」、「オシャレ」なイメージとが交錯している。英語が出来ないと生き残れないイメージが強く、日系の金融関係者や学生の間でも人気はまちまち。学生の志望者には帰国子女が多い。最近では内情が知られるようになってきたため、時代が時代なら官僚になっていたであろう東大出身の志望者が激増中。ちなみに、アメリカと比べるとリストラされる可能性は低い。
米国:高
東海岸の一流大学及びMBAの一番人気の就職先。(それこそウォールストリートに入りたいがためにMBAに行く人も多い。)社会的信用も高く、給料も高い魅力的な職場と言うイメージが広く浸透しており、学士レベルでは全米の大学の成績トップクラスが入社してくる。ただ、景気が悪化した際のリストラは日本より過酷な上、「激務」のイメージから、ライフスタイル重視の一般的アメリカ人からは敬遠されることも。最近ではヘッジファンドやプライベートエクイティの方が、「短い労働時間」、「よりスマートな儲け方」を売りにMBAに人気を博しているが、投資銀行は金融業界の人材育成センターとして、時代を通じて安定した人気がある。
◆仕事の内容(IBD)
日本:中~高
アメリカに比べて、若い時(極端な話入社1年目)から多くの責任を任せられ、大企業のマネジメントに会ったり出来るため、極めてやりがいがあり魅力的。ただ、クライアントが欧米の「株主資本主義」的な経営を行っていないケースが大半で、「投資銀行」からイメージされる財務分析やバリュエーション作業よりも、「戦略コンサルティング」的な話が多い。また、マーケットはまだまだ発展途上で、案件数は景気に大きく左右される。人数が少ないため、勤務時間はアメリカより長い。
米国:高
クライアントの大半がファイナンスに精通しており、複雑な分析作業やバリュエーション作業が頻繁に要求されるが、テクニカルな作業と戦略的な話がいい感じでミックスされている。勤務時間もアソシエイト以上は日本より「若干」マシ。ただ、組織が日本よりはるかに大きいこともあり、「下働き」期間が長い。また、異様にコンペティティブなため、常に全力で泳いでいないと「顔が水につかり始める」プレッシャーがある。ただ、マーケットが大きいことと、そもそも経営者のメンタリティの違いから、案件数は景気によって増えることはあっても激減することは稀。
◆オフィス環境
日本:高
六本木ヒルズや恵比寿ガーデンプレイスなど、考えうる最高のオフィス環境で、スターバックスコーヒーを飲み、オープンテラスのオシャレなレストランでランチをしたりしながら仕事が出来る。「外資系」として、英語を多様した「何となく国際的」な社内の雰囲気も極めて良好。オフィス内はどこもホテルのようにキレイで、入社一年目からセクレタリーがついたりと、非常に魅力的な環境。ただ、オフィススペースがアメリカに比べて若干狭い。(マーケットサイドは日米同じ)
米国:低~中
マンハッタンの高層オフィスは魅力的と言えば魅力的だが、窓の外も高層ビルだし、古いビルが多いためか、「何か」イマイチ。更に、アメリカではただの「一・現地企業」なので、オフィス環境も特別感はあまり無い。ただ、特にNYでは文字通り世界中から社員が集まっており、国際的な感じとアメリカ的な感じが良い感じでミックスされている。オフィススペースは日本より広くゆったりしている。
◆業界引退後のキャリア
日本:中
業界が新しいこともあり、まだあまり道が開けていない。30代後半にもなってくると、それなりの稼ぎが無いと会社を追い出される事になるが、その後はより小さい同業退社を転々としたり、細々と独立したりするケースが多い。破格の給料を稼いているはずなのだから、一般人からみたら十分「引退」出来る位のお金は貯まっているだろうが、一度上がってしまった生活水準を下げるのは至難の業。
米国:低~高
「スーパーコンペティティブ」なウォールストリートで生き残れた人には、素晴らしい「次」が約束されている。Donald Trump、Walt Disney、Sony Americaと言った大企業のCFOになったり、プライベート・エクイティやヘッジファンドで活躍したり、政治家になって更に稼いだりする。株式ベースのボーナスが蓄積し、引退時に多額のキャッシュが手に入る場合もあり、広大な国土のどこか(コロラド、ハワイなど)で悠々自適の生活を送ることも可能。ただ、「生存率」は低い。。。(10%以下か)
・・・例によって長くなって来たので、続きはまた今度にします。他にも、もっとこういう事が知りたい、と言うリクエストがあったら言って下さい。
また、BCF(ボストンキャリアフォーラム)に参加した方、一般的な感想や、どの会社が勢いがあったかなど、是非お聞かせ下さい。
by harry_g
| 2005-10-25 13:43
| キャリア・仕事