2005年 10月 21日
PEファンドの失敗 |
プライベートエクイティ(未上場株)投資は非常にリスクが高いですが、その分うまくやると大きなリターンが期待できます。アメリカでもPEファンドが「大勝ちした」と言う話はよく聞きますが、「大負けした」という話はあまり聞きません。でも実際には、投資をした後に何年もエグジット出来ず塩漬けになったり、時には買収時点での読みを誤って損失を出すこともあります。
そして今朝、「大手LBOファンドが投資で大きな損失を出した」と言うニュースがウォールストリートを走りました。
Thomas H. Leeと言う名前を聞いたことがあるでしょうか?9月23日のブログでも少々触れましたが、彼は業界を代表するプライベートエクイティの創業者です。
THLeeを一躍有名にしたのは、1992年に同社が清涼飲料メーカーのスナップルを$135mm(約155億円)で買収し、二年後に$1.7bn(約1,960億円)で売却した案件です。今では彼の名前を冠した$7.5bn(約8,600億円)の「TH Leeファンド」は、Blackstone($12.5bn)、Apollo($10bn)、Goldman Sachs($8.5bn)、Warburg Pincus($8bn)、Carlyle($7.9bn)と並んで、6大ファンドの一つに数えられるそうです。
THLeeは、金融サービス会社「Refco」を2004年の8月に$453mm(約520億円)で買収し、1年後にはIPOをして早くも$177mm(約204億円)を回収しました。その際に金融メディアは、「またTHLeeが大成功した」と報じました。
ところがそのRefcoが、元CEOによる会計疑惑を引き金に、一週間で株価が暴落、破綻してしまったのです。会社の株価はその時点でゼロになり、THLeeはIPOで回収し切れていなかった$275mm(約316億円)の損失を出してしまいました。これを受けて、同社は今年に予定していた数千億円規模の次のファンドレイズを凍結するかもしれない、と言う事態に発展しています。
もちろん、CEOのそんな犯罪行為まで予期しろとLBOファンドに要求するのは難しいのかもしれません。ただ、買収時点やIPO時点で、弁護士や会計士を交えて度重なるデューディリジェンスを行っているはずであり、更に経営権を掌握して取締役も送り込んでいたことを考えると、やはり責任問題になる可能性も否定できない気がします。
それでもTHLeeファンドの投資家は、メディアの取材に対し、THLeeの信用を担保する発言を繰り返しています。1974年設立のTHLeeファンドは、1984年以来5つのLBOファンドを設定しており、うち4つの平均IRRは50%を超えているそうです。最近でも昨年にWarner Music Groupを買収し、翌年にIPOして投資家に高いリターンを提供するなど多くの実績を残しており、そういった長期の実績が、投資家の信頼につながっているのでしょう。
資金運用会社にしろ投資銀行にしろ、金融サービス会社は「信用」こそが価値の根源にあります。日本では外資系金融機関は色々誤解されている向きがありますが、実態は日系証券よりもよほどクライアントの事を考えていると実感する経験を何度かしたことがあります。その話しはまたそのうち書きたいと思います。
そして今朝、「大手LBOファンドが投資で大きな損失を出した」と言うニュースがウォールストリートを走りました。
Thomas H. Leeと言う名前を聞いたことがあるでしょうか?9月23日のブログでも少々触れましたが、彼は業界を代表するプライベートエクイティの創業者です。

THLeeは、金融サービス会社「Refco」を2004年の8月に$453mm(約520億円)で買収し、1年後にはIPOをして早くも$177mm(約204億円)を回収しました。その際に金融メディアは、「またTHLeeが大成功した」と報じました。
ところがそのRefcoが、元CEOによる会計疑惑を引き金に、一週間で株価が暴落、破綻してしまったのです。会社の株価はその時点でゼロになり、THLeeはIPOで回収し切れていなかった$275mm(約316億円)の損失を出してしまいました。これを受けて、同社は今年に予定していた数千億円規模の次のファンドレイズを凍結するかもしれない、と言う事態に発展しています。
もちろん、CEOのそんな犯罪行為まで予期しろとLBOファンドに要求するのは難しいのかもしれません。ただ、買収時点やIPO時点で、弁護士や会計士を交えて度重なるデューディリジェンスを行っているはずであり、更に経営権を掌握して取締役も送り込んでいたことを考えると、やはり責任問題になる可能性も否定できない気がします。
それでもTHLeeファンドの投資家は、メディアの取材に対し、THLeeの信用を担保する発言を繰り返しています。1974年設立のTHLeeファンドは、1984年以来5つのLBOファンドを設定しており、うち4つの平均IRRは50%を超えているそうです。最近でも昨年にWarner Music Groupを買収し、翌年にIPOして投資家に高いリターンを提供するなど多くの実績を残しており、そういった長期の実績が、投資家の信頼につながっているのでしょう。
資金運用会社にしろ投資銀行にしろ、金融サービス会社は「信用」こそが価値の根源にあります。日本では外資系金融機関は色々誤解されている向きがありますが、実態は日系証券よりもよほどクライアントの事を考えていると実感する経験を何度かしたことがあります。その話しはまたそのうち書きたいと思います。
by harry_g
| 2005-10-21 13:59
| LBO・プライベートエクイティ