2011年 03月 27日
東日本大震災のインパクト |
3月11日(金)に発生した東日本大震災は、津波被害の広がりや福島の原子力発電所事故の首都圏への影響拡大など、未曾有の危機に発展しています。被災者や関係者の皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。
ニューヨークでも、在米邦人や著名人がリーダーシップを取って、数多くの被災者救済のチャリティイベントが連日のように開催されています。911を経験したニューヨークでは、事件直後に市長(当時)のジュリアーニ氏が、「一刻も早く立ち直るために、みんなで映画やミュージカルを見に行こう」と明るく振舞ったというエピソードがありますが、こちらからの援助が一刻も早く被災者関係者のもとに届き、当地が日常生活を取り戻されることを、願って止みません。
(在外邦人の方は、寄付をする際、万が一にもお金が日本以外に回されるリスクを避ける為に、国際機関や現地のNPOではなく、直接日本にある団体か、または現地の日本関連団体を選ぶことを、お勧めします。)

このような大変な困難と混乱の折でも、日本を含む世界中の金融市場は、人々の日々の経済活動と同様に、通常通りに動いています。そして欧米では、経済大国である日本の未曾有の震災や、原発事故、計画停電などによる、世界経済の影響を懸念する声が、多く聞かれます。事の重大さは、G8が震災後の週明けに、急速な円高リスクに対処するために、異例の円売り協調介入を行ったことなどからも、見てとれる気がします。
当ブログでは、欧米の金融業界の動向や関心事について取り上げていますので、今回は「震災の世界経済に与えるインパクト」と、より長期的かつ前向きな議論に繋がる可能性のある「日本のリーダーシップ」という二点について、書いてみたいと思います。
災害の経済インパクト
震災が世界経済に与える潜在的影響については、震災直後より日本の証券会社や東京に拠点を持つ欧米の投資銀行などが、様々なリサーチレポートによって詳細に分析をしています。そんな中、3月25日にWSJが「Japan: The Business Aftershocks(日本:企業活動への影響)」と言う記事によって、かなり細かい業界別の影響の分析を載せていたので、この記事の内容を参照して少々書いてみたいと思います。
この記事は冒頭で、「今回の震災を受けて世界中の企業が、この島国に如何に大きく依存しているかを思い知る結果となった」と書いており、日本は世界GDPの9%を占めること、アジアに進出する欧米企業にとって貴重な最初の進出先であること、そして世界中の製造業のサプライチェーンに占める重要性について、ハイライトしていました。

例として挙げられていたのは、コンピュータやデジタル家電の心臓とも言える半導体の材料となる、シリコンウエハーの製造における日本の世界シェアが、6割に達すること、それが震災による工場停止によって、世界供給量の25%が停止してしまったこと、そして半導体を載せるプリント基板の原材料である化学物質については日本が世界シェアの9割を持っていること、などがあります。
また自動車産業においても、震源に近い茨城県に本拠を置く産業電機大手の日立製作所が、自動車エンジンへの空気流入量を計測するセンサーにおいて世界シェアの6割を持っていることが挙げられていました。自動車はそもそも、サプライチェーンが最も長い産業の一つと言われ、日本国内のサプライチェーン停滞・断絶の影響は、既に米国のGMや欧州のPeugeot-Citroenにも及んでいます。
多くの産業が部品や材料についてある程度の在庫を持っており、それで何とか対処をしているようですが、WSJの記事では、最終的には、日本経済がどの程度すばやく復興できるかどうかが、世界中の製造業者に与えるインパクトの大きさを決定するだろう、と指摘していました。
製造業以外にも、日本国内でサービス業を展開している外資系企業は、金融業から小売業や服飾品まで、多くの企業がその対応に追われているようです。
1995年の阪神大震災の際には、消費者心理が完全に回復するのに、半年を要したと言われています。しかし当地への電力供給は一週間で回復したとも言われており、原発事故の影響による首都圏停電など、インパクトが広範かつ長期に残りそうな今回は、消費へのネガティブインパクトは、当時よりもさらに長く続いてしまうかもしれません。
例えばWSJのグラフでは、Tiffanyが全世界の売上の2割近くを日本に依存している、などといったデータを提示していました。他にもIT産業の大手企業がいくつも挙げられており、これには欧州企業は入っていませんが、欧州企業でも日本の消費に大きく依存しているところがいくつもあるであろうことは、想像に難くありません。
しかし、このような厳しい復興の道のりが予想される中でも、欧米の主要メディアや金融機関で、日本経済の復活を信じていないところは、一つもないように思います。
原発事故の影響については、当初欧米の主要メディアの報道が過熱気味で、結果、在京の外国人の友人の多くが、一時的に海外に避難する事態に至りました。しかしそういう人たちですら、自分の大好きな日本の早期正常化を信じ、忸怩たる思いで日本を離れた人が多かったように思います。(情報が入りにくい外国で、大きな原発事故が起こった際に、在留邦人が取るであろう行動を想像すれば、そもそもそういう人たちを責めることは出来ない気がします。)
そもそも欧米メディアが、原発事故の深刻さを誇張して報道しているように見えた原因のひとつに、彼らがその後も厳しく指摘していたところの、東京電力や一部日本政府の情報開示姿勢の問題があった気がします。特に東電については、昔から問題隠匿体質であったなどと、名指しの相当厳しい批判記事も散見されました。
と同時に、被害拡大を食い止めるべく命がけで奮闘する、現場の従業員への大いなる賞賛を始めたのも、欧米メディアであったように思います。そう考えると、彼らが指摘したいのは、日本の技術力や勤勉さ(現場)の問題ではなく、上に立つリーダーの危機管理能力の欠如であると言えるかもしれません。
リーダー不在?
混迷を続ける政治は言うに及ばず、日本企業の経営者は、海外企業と比較すると、いわゆるリーダーシップを発揮するタイプの人が少ないように思います。これは政治家や経営者の能力云々の問題ではなく(もちろんそれもあるかもしれませんが)、完全に制度疲労を起こしている日本の政治制度や、日本独特のコーポレートガバナンスの仕組みそのものの問題点であるのかもしれません。
そんな事を考えていたら、今週末の3月16日号の英Economistに、「Japan’s disaster – A crisis of leadership, too(日本の大災害-リーダーシップ欠如の危機でもある)」という記事が載っていました。その記事の導入はずばり、今回の同時多発的災害に際して、日本に深く根ざす「リーダー不在」の問題があからさまになった、というものです。

この記事でも最初の部分では、他の多くの欧米メディアと同じように、日本人の「がまん」の精神と、それによって歴史上いくつもの大災害を乗り越えてきた事実を賞賛しています。しかしそうした日本国民の多くが、こんなに秩序立ち且つ裕福である国家のリーダー達が、なぜ津波被害者の救済や原発事故の抑え込みにそんなに時間がかかるのかに疑問を持ち始めている、と指摘していました。
ただしEconomistは、一方的に民主党政権を批判することはせず、1995年の阪神大震災の際には、自民党政権の対応はより後手であり、緊急災害対策本部の立ち上げは隣国の韓国に遅れを取り、「無能な人材」が国を統治していることを悟った国民の怒りによって自民党の地位は失墜した、と書いています。
しかし、今回の震災で改めて政治と原子力発電業界の癒着が浮き彫りになり、当局者達が話をにごしたり、情報開示を遅らせたり、楽観的過ぎる見通しを示したりするに至っては、日本は政権交代よりもさらに大きな制度改革が必要であることが明らかになった、と指摘しています。
同時にEconomistでは、震災被害者の救済の遅れについても、政府は原発事故に手一杯になってしっかり対応していない、政治家が現地に乗り込んで直接手を下したり、メディアが現場取材を断行したりという動きも非常に遅く、企業や被災者が何とか持ちこたえようとする一方で、官僚は古びたルールや形式的手続きに捉われていると、厳しく批判しています。
先日も、ニューヨークのマスコミ関係の知人と話をする機会があったのですが、彼も「日本政府は震災後にすぐに非常事態を宣言すべきだったのに、何故それをしなかったのか」と、とても不思議そうでした。全く同じことがEconomistでも指摘されており、震災から二週間たった今でも、誰がどの問題に対応する責任者なのか、今だに不明確である、と指摘されていました。
この記事の結論は、「がまん」の精神は逆境を乗り越える為には大いなる資産となるが、社会に変革をもたらすには大きな妨げになる。日本国民は、自分達を長らく失望させてきた現行のシステムに対して、正当な怒りをぶつける時である、というものです。
今回の災害によって、日本の世論が、システムを大きく変えるほどの高まりを見せるかは、不透明な気がします。しかし個人的には、Economistが言うところの「顔の見えない首相を生み出し続ける」政治制度の大幅な改革や、危機管理力あるリーダー育成の原点ともいえる教育制度改革などに向かってくれることを、期待したいと思います。
株式市場の反応
最後に余談ですが、震災直後の数日間、日本の株式市場は大暴落し、その後に急回復しました。ここで誰が売って誰が買っていたのか、ということですが、売り手の中心は日本の機関投資家、買い手の中心はアメリカの長期の機関投資家と日本の個人投資家の一部、であったそうです。
日本の機関投資家については、余震や停電の続く東京で、日々問題が拡大する原発事故のニュースを目の当たりにしながら、平常心で投資を行うことの困難さは、想像に難くありません。しかも昨年くらいから、資産を国内株から海外株(特に途上国)にシフトさせる行動を取っているそうで、その流れから今回は売りが加速したのではないかと、ある証券会社の人が話していました。
アメリカにおいては、一時売り買いの倍率が1:8などと、圧倒的な買い超過になっていたそうです。それに対して欧州の投資家は、主に様子見であったそうで、特に大陸系は、ギリシャ危機後にリスクを取れなくなっていることが大きく影響しているそうです。
アメリカの投資家は、Warren Buffett氏に代表されるように、企業のファンダメンタルズに注目した長期投資戦略をとるところが大半です。今回は、日本企業の収益性の回復度合いと、株価評価の乖離に注目して、短期的な暴落をチャンスと判断して、買いを進めたのかもしれません。
しかし、今後の原発事故の状況や、長引く恐れのある計画停電によって、日本経済や企業活動にどれ程の影響が出るのかは、現時点で予想することは困難です。また、日本経済のけん引役ともいえる欧米の景気回復が、中東の政情不安によって暗雲が垂れ込めてきているリスクも踏まえた上で、考える必要があるかもしれません。
実際、欧米メディアやウォールストリートの注目の中心は、既に日本の震災から、リビヤでの内戦に移っているように思います。東北地方の被災地が、今後何年もの間、救援を必要とするであろうことを考えると、海外からの震災に対する関心が薄れることのないよう、政府やメディア、在外邦人等が努力し続けることを期待したいと思います。
ニューヨークでも、在米邦人や著名人がリーダーシップを取って、数多くの被災者救済のチャリティイベントが連日のように開催されています。911を経験したニューヨークでは、事件直後に市長(当時)のジュリアーニ氏が、「一刻も早く立ち直るために、みんなで映画やミュージカルを見に行こう」と明るく振舞ったというエピソードがありますが、こちらからの援助が一刻も早く被災者関係者のもとに届き、当地が日常生活を取り戻されることを、願って止みません。
(在外邦人の方は、寄付をする際、万が一にもお金が日本以外に回されるリスクを避ける為に、国際機関や現地のNPOではなく、直接日本にある団体か、または現地の日本関連団体を選ぶことを、お勧めします。)

このような大変な困難と混乱の折でも、日本を含む世界中の金融市場は、人々の日々の経済活動と同様に、通常通りに動いています。そして欧米では、経済大国である日本の未曾有の震災や、原発事故、計画停電などによる、世界経済の影響を懸念する声が、多く聞かれます。事の重大さは、G8が震災後の週明けに、急速な円高リスクに対処するために、異例の円売り協調介入を行ったことなどからも、見てとれる気がします。
当ブログでは、欧米の金融業界の動向や関心事について取り上げていますので、今回は「震災の世界経済に与えるインパクト」と、より長期的かつ前向きな議論に繋がる可能性のある「日本のリーダーシップ」という二点について、書いてみたいと思います。
災害の経済インパクト
震災が世界経済に与える潜在的影響については、震災直後より日本の証券会社や東京に拠点を持つ欧米の投資銀行などが、様々なリサーチレポートによって詳細に分析をしています。そんな中、3月25日にWSJが「Japan: The Business Aftershocks(日本:企業活動への影響)」と言う記事によって、かなり細かい業界別の影響の分析を載せていたので、この記事の内容を参照して少々書いてみたいと思います。
この記事は冒頭で、「今回の震災を受けて世界中の企業が、この島国に如何に大きく依存しているかを思い知る結果となった」と書いており、日本は世界GDPの9%を占めること、アジアに進出する欧米企業にとって貴重な最初の進出先であること、そして世界中の製造業のサプライチェーンに占める重要性について、ハイライトしていました。

例として挙げられていたのは、コンピュータやデジタル家電の心臓とも言える半導体の材料となる、シリコンウエハーの製造における日本の世界シェアが、6割に達すること、それが震災による工場停止によって、世界供給量の25%が停止してしまったこと、そして半導体を載せるプリント基板の原材料である化学物質については日本が世界シェアの9割を持っていること、などがあります。
また自動車産業においても、震源に近い茨城県に本拠を置く産業電機大手の日立製作所が、自動車エンジンへの空気流入量を計測するセンサーにおいて世界シェアの6割を持っていることが挙げられていました。自動車はそもそも、サプライチェーンが最も長い産業の一つと言われ、日本国内のサプライチェーン停滞・断絶の影響は、既に米国のGMや欧州のPeugeot-Citroenにも及んでいます。
多くの産業が部品や材料についてある程度の在庫を持っており、それで何とか対処をしているようですが、WSJの記事では、最終的には、日本経済がどの程度すばやく復興できるかどうかが、世界中の製造業者に与えるインパクトの大きさを決定するだろう、と指摘していました。
製造業以外にも、日本国内でサービス業を展開している外資系企業は、金融業から小売業や服飾品まで、多くの企業がその対応に追われているようです。1995年の阪神大震災の際には、消費者心理が完全に回復するのに、半年を要したと言われています。しかし当地への電力供給は一週間で回復したとも言われており、原発事故の影響による首都圏停電など、インパクトが広範かつ長期に残りそうな今回は、消費へのネガティブインパクトは、当時よりもさらに長く続いてしまうかもしれません。
例えばWSJのグラフでは、Tiffanyが全世界の売上の2割近くを日本に依存している、などといったデータを提示していました。他にもIT産業の大手企業がいくつも挙げられており、これには欧州企業は入っていませんが、欧州企業でも日本の消費に大きく依存しているところがいくつもあるであろうことは、想像に難くありません。
しかし、このような厳しい復興の道のりが予想される中でも、欧米の主要メディアや金融機関で、日本経済の復活を信じていないところは、一つもないように思います。
原発事故の影響については、当初欧米の主要メディアの報道が過熱気味で、結果、在京の外国人の友人の多くが、一時的に海外に避難する事態に至りました。しかしそういう人たちですら、自分の大好きな日本の早期正常化を信じ、忸怩たる思いで日本を離れた人が多かったように思います。(情報が入りにくい外国で、大きな原発事故が起こった際に、在留邦人が取るであろう行動を想像すれば、そもそもそういう人たちを責めることは出来ない気がします。)
そもそも欧米メディアが、原発事故の深刻さを誇張して報道しているように見えた原因のひとつに、彼らがその後も厳しく指摘していたところの、東京電力や一部日本政府の情報開示姿勢の問題があった気がします。特に東電については、昔から問題隠匿体質であったなどと、名指しの相当厳しい批判記事も散見されました。
と同時に、被害拡大を食い止めるべく命がけで奮闘する、現場の従業員への大いなる賞賛を始めたのも、欧米メディアであったように思います。そう考えると、彼らが指摘したいのは、日本の技術力や勤勉さ(現場)の問題ではなく、上に立つリーダーの危機管理能力の欠如であると言えるかもしれません。
リーダー不在?
混迷を続ける政治は言うに及ばず、日本企業の経営者は、海外企業と比較すると、いわゆるリーダーシップを発揮するタイプの人が少ないように思います。これは政治家や経営者の能力云々の問題ではなく(もちろんそれもあるかもしれませんが)、完全に制度疲労を起こしている日本の政治制度や、日本独特のコーポレートガバナンスの仕組みそのものの問題点であるのかもしれません。
そんな事を考えていたら、今週末の3月16日号の英Economistに、「Japan’s disaster – A crisis of leadership, too(日本の大災害-リーダーシップ欠如の危機でもある)」という記事が載っていました。その記事の導入はずばり、今回の同時多発的災害に際して、日本に深く根ざす「リーダー不在」の問題があからさまになった、というものです。

この記事でも最初の部分では、他の多くの欧米メディアと同じように、日本人の「がまん」の精神と、それによって歴史上いくつもの大災害を乗り越えてきた事実を賞賛しています。しかしそうした日本国民の多くが、こんなに秩序立ち且つ裕福である国家のリーダー達が、なぜ津波被害者の救済や原発事故の抑え込みにそんなに時間がかかるのかに疑問を持ち始めている、と指摘していました。
ただしEconomistは、一方的に民主党政権を批判することはせず、1995年の阪神大震災の際には、自民党政権の対応はより後手であり、緊急災害対策本部の立ち上げは隣国の韓国に遅れを取り、「無能な人材」が国を統治していることを悟った国民の怒りによって自民党の地位は失墜した、と書いています。
しかし、今回の震災で改めて政治と原子力発電業界の癒着が浮き彫りになり、当局者達が話をにごしたり、情報開示を遅らせたり、楽観的過ぎる見通しを示したりするに至っては、日本は政権交代よりもさらに大きな制度改革が必要であることが明らかになった、と指摘しています。
同時にEconomistでは、震災被害者の救済の遅れについても、政府は原発事故に手一杯になってしっかり対応していない、政治家が現地に乗り込んで直接手を下したり、メディアが現場取材を断行したりという動きも非常に遅く、企業や被災者が何とか持ちこたえようとする一方で、官僚は古びたルールや形式的手続きに捉われていると、厳しく批判しています。
先日も、ニューヨークのマスコミ関係の知人と話をする機会があったのですが、彼も「日本政府は震災後にすぐに非常事態を宣言すべきだったのに、何故それをしなかったのか」と、とても不思議そうでした。全く同じことがEconomistでも指摘されており、震災から二週間たった今でも、誰がどの問題に対応する責任者なのか、今だに不明確である、と指摘されていました。
この記事の結論は、「がまん」の精神は逆境を乗り越える為には大いなる資産となるが、社会に変革をもたらすには大きな妨げになる。日本国民は、自分達を長らく失望させてきた現行のシステムに対して、正当な怒りをぶつける時である、というものです。
今回の災害によって、日本の世論が、システムを大きく変えるほどの高まりを見せるかは、不透明な気がします。しかし個人的には、Economistが言うところの「顔の見えない首相を生み出し続ける」政治制度の大幅な改革や、危機管理力あるリーダー育成の原点ともいえる教育制度改革などに向かってくれることを、期待したいと思います。
株式市場の反応
最後に余談ですが、震災直後の数日間、日本の株式市場は大暴落し、その後に急回復しました。ここで誰が売って誰が買っていたのか、ということですが、売り手の中心は日本の機関投資家、買い手の中心はアメリカの長期の機関投資家と日本の個人投資家の一部、であったそうです。
日本の機関投資家については、余震や停電の続く東京で、日々問題が拡大する原発事故のニュースを目の当たりにしながら、平常心で投資を行うことの困難さは、想像に難くありません。しかも昨年くらいから、資産を国内株から海外株(特に途上国)にシフトさせる行動を取っているそうで、その流れから今回は売りが加速したのではないかと、ある証券会社の人が話していました。
アメリカにおいては、一時売り買いの倍率が1:8などと、圧倒的な買い超過になっていたそうです。それに対して欧州の投資家は、主に様子見であったそうで、特に大陸系は、ギリシャ危機後にリスクを取れなくなっていることが大きく影響しているそうです。
アメリカの投資家は、Warren Buffett氏に代表されるように、企業のファンダメンタルズに注目した長期投資戦略をとるところが大半です。今回は、日本企業の収益性の回復度合いと、株価評価の乖離に注目して、短期的な暴落をチャンスと判断して、買いを進めたのかもしれません。
しかし、今後の原発事故の状況や、長引く恐れのある計画停電によって、日本経済や企業活動にどれ程の影響が出るのかは、現時点で予想することは困難です。また、日本経済のけん引役ともいえる欧米の景気回復が、中東の政情不安によって暗雲が垂れ込めてきているリスクも踏まえた上で、考える必要があるかもしれません。
実際、欧米メディアやウォールストリートの注目の中心は、既に日本の震災から、リビヤでの内戦に移っているように思います。東北地方の被災地が、今後何年もの間、救援を必要とするであろうことを考えると、海外からの震災に対する関心が薄れることのないよう、政府やメディア、在外邦人等が努力し続けることを期待したいと思います。
by harry_g
| 2011-03-27 14:10
| 海外から見た日本


