2005年 10月 11日
レバレッジのかけやすさ |
前回(10月10日)のブログで、LBOをする際の鍵となるのは買収ターゲットとなる企業がいかに「Leverageable」か(どこまでレバレッジをかけられるか)で、そのレバレッジをマーケットは「Total Debt / LTM EBITDA」という指標で見る、と言う話をしました。
そのレバレッジのかけやすさ(Leverageability)ですが、業界によって違ってきます。成長性が高く、不定期の比較的大きなCapex(設備投資)やR&D(調査開発費)が必要な業界は、期限性で金利支出を伴うデットよりも、エクイティによる資金調達が適しています。テクノロジー業界などがその典型ですが、そういった業界の会社にはレバレッジは掛けにくく、結果的にLBOはしにくくなります。逆に、製造業や通信などある程度成熟した業界で、キャッシュフローの予想が立てやすい業界は、エクイティよりコストの低いデットによるファイナンシングが向いており、大きなレバレッジも掛けやすくなります。
具体的に、アメリカでの業界ごとの「Leverageability」を見てみると、もちろん時々の金利環境によって大きく異なりますが、
ケーブルテレビ、放送 →7~9倍
その他メディア、通信 →5~7倍
航空宇宙、食品、化学 →4~6倍
消費財、重工業、医薬 →3~5倍
レストラン業、小売業 →3~4倍
テクノロジー産業 →0~3倍
と言った感じでしょうか。よってLBOは、メディア、通信、インダストリル、リテールなどのセクターに比較的多く、LBOファンドの多くは特定のセクターに特化しています。私も担当している衛星通信(FSS)も、10年近く先まで売上契約がされていて、一度衛星を打ち上げてしまえば当分Capexが必要ないため、格好のLBOターゲットとなっています。
ところで、現場でLBOのレバレッジを判断する際にポイントとなるのが、先ほどの業界別一覧の「~」の部分です。
同じ会社をLBOする場合でも、6倍までしかレバレッジをかけられないと思う人もいれば、8倍でも大丈夫だろう、と言う人もいます。その判断をするのは、最終的にはリスク許容量とクーポン(金利)リターンを見比べるデットの投資家と言うことになりますが、実務的には、ファイナンシングを担当する投資銀行が、そういった投資家(マーケット)の様子をうかがった上で判断することになります。よってLBOファンドは、投資銀行と買収ターゲットにどこまでレバレッジを掛けられるか、その結果リターンはどれくらいになるかを、徹底的に検証します。
例えば、EBITDAが100億円、EBITDAマルチプルが8倍の会社があるとします。(この場合のマルチプルは会社の買収価格、EV / EBITDAを指します。混乱した場合は前回のブログを見て下さい。)
その会社に対して、仮に7倍のレバレッジが掛けられれば、LBOファンドにとってエクイティは100億円ですむわけです。それに対して別の投資銀行が、「いやーせいぜい6倍でしょ、それ以上の負債水準になったらボンドは売れませんよ」と言ったとします。言い換えれば、その会社を買収したいのであれば、LBOファンドは200億円のエクイティを用意することになります。
言うまでもありませんが、こういったケースでは、前者の投資銀行に仕事が行くわけです。
もちろん投資銀行は、本当に7倍でもボンド売れるのか、様々な角度から検証します。ハイイールド・キャピタル・マーケッツやレバレッジド・ファイナンス・グループは、最近の案件や同業他社のレバレッジ、更には実際に投資家に対してヒアリングをかけ、マーケットの許容量を探ります。IBD(投資銀行部)ではいわゆるLBOモデルを作成し、案件クローズ時のレバレッジ(Pro Forma Leverageと言います)はどれくらいか、想定投資期間中にどこまで「De-lever」できるか(キャッシュフローで負債を減らせるか)などを細かく検証します。このようにして、レバレッジの水準とエクイティの比率、その結果としての期待IRRに関してある程度合意を形成した上で、実際のファイナンシング作業に入ります。
ファイナンシングの際に投資銀行が果たす役割は、かつては「直接金融」の担い手として、ボンドやローンのアレンジに特化していました。それが最近では、様相が変わってきています。これがここ数年「銀行系投資銀行に勝機あり」と言われていた所以なのですが、また長くなりそうなので、その話は次回にします。
そのレバレッジのかけやすさ(Leverageability)ですが、業界によって違ってきます。成長性が高く、不定期の比較的大きなCapex(設備投資)やR&D(調査開発費)が必要な業界は、期限性で金利支出を伴うデットよりも、エクイティによる資金調達が適しています。テクノロジー業界などがその典型ですが、そういった業界の会社にはレバレッジは掛けにくく、結果的にLBOはしにくくなります。逆に、製造業や通信などある程度成熟した業界で、キャッシュフローの予想が立てやすい業界は、エクイティよりコストの低いデットによるファイナンシングが向いており、大きなレバレッジも掛けやすくなります。
具体的に、アメリカでの業界ごとの「Leverageability」を見てみると、もちろん時々の金利環境によって大きく異なりますが、

ケーブルテレビ、放送 →7~9倍
その他メディア、通信 →5~7倍
航空宇宙、食品、化学 →4~6倍
消費財、重工業、医薬 →3~5倍
レストラン業、小売業 →3~4倍
テクノロジー産業 →0~3倍
と言った感じでしょうか。よってLBOは、メディア、通信、インダストリル、リテールなどのセクターに比較的多く、LBOファンドの多くは特定のセクターに特化しています。私も担当している衛星通信(FSS)も、10年近く先まで売上契約がされていて、一度衛星を打ち上げてしまえば当分Capexが必要ないため、格好のLBOターゲットとなっています。
ところで、現場でLBOのレバレッジを判断する際にポイントとなるのが、先ほどの業界別一覧の「~」の部分です。
同じ会社をLBOする場合でも、6倍までしかレバレッジをかけられないと思う人もいれば、8倍でも大丈夫だろう、と言う人もいます。その判断をするのは、最終的にはリスク許容量とクーポン(金利)リターンを見比べるデットの投資家と言うことになりますが、実務的には、ファイナンシングを担当する投資銀行が、そういった投資家(マーケット)の様子をうかがった上で判断することになります。よってLBOファンドは、投資銀行と買収ターゲットにどこまでレバレッジを掛けられるか、その結果リターンはどれくらいになるかを、徹底的に検証します。
例えば、EBITDAが100億円、EBITDAマルチプルが8倍の会社があるとします。(この場合のマルチプルは会社の買収価格、EV / EBITDAを指します。混乱した場合は前回のブログを見て下さい。)
その会社に対して、仮に7倍のレバレッジが掛けられれば、LBOファンドにとってエクイティは100億円ですむわけです。それに対して別の投資銀行が、「いやーせいぜい6倍でしょ、それ以上の負債水準になったらボンドは売れませんよ」と言ったとします。言い換えれば、その会社を買収したいのであれば、LBOファンドは200億円のエクイティを用意することになります。
言うまでもありませんが、こういったケースでは、前者の投資銀行に仕事が行くわけです。
もちろん投資銀行は、本当に7倍でもボンド売れるのか、様々な角度から検証します。ハイイールド・キャピタル・マーケッツやレバレッジド・ファイナンス・グループは、最近の案件や同業他社のレバレッジ、更には実際に投資家に対してヒアリングをかけ、マーケットの許容量を探ります。IBD(投資銀行部)ではいわゆるLBOモデルを作成し、案件クローズ時のレバレッジ(Pro Forma Leverageと言います)はどれくらいか、想定投資期間中にどこまで「De-lever」できるか(キャッシュフローで負債を減らせるか)などを細かく検証します。このようにして、レバレッジの水準とエクイティの比率、その結果としての期待IRRに関してある程度合意を形成した上で、実際のファイナンシング作業に入ります。
ファイナンシングの際に投資銀行が果たす役割は、かつては「直接金融」の担い手として、ボンドやローンのアレンジに特化していました。それが最近では、様相が変わってきています。これがここ数年「銀行系投資銀行に勝機あり」と言われていた所以なのですが、また長くなりそうなので、その話は次回にします。
by harry_g
| 2005-10-11 09:17
| LBO・プライベートエクイティ


