2005年 10月 06日
アメリカの不動産投資 |
ブログの説明にもありますが、仕事以外では週末などを利用して、不動産投資をしています。
もともと投資に興味があって金融業界に入ったのですが、投資銀行に勤めているとインサイダー情報にアクセスがあるため、個人での株式投資は困難です。その点不動産は、特段の規制もなく投資できる上、アメリカでは不動産市場が大変整備されていて、個人でも投資目的での物件取得がしやすい環境が整っています。
不動産は株と違って何かと複雑で、面倒な手続きも多いですが、レバレッジが使いやすく、個人でもうまくすればLBOファンドのような大きなリターンが狙えるのが気に入っています。他にも不動産投資をやる理由は色々あります。投資銀行業務で培ったバリュエーション(価値評価)・ファイナンシングに関するスキル、弁護士・会計士などとの話し合い能力などがフルに生かせること、賃貸用不動産の管理は一つの「事業」なので、食費や車その他の出費を経費にしたり、減価償却を給与所得と合算したりと多くのタックス・メリットがあること、単にアメリカの不動産を見ているのが好きだということ、などなどです。
現時点では家を数軒保有しているだけですが、地元のユダヤ人ネットワークに助けられたり、「アメリカ不動産投資日記」を書いているサンフランシスコ在住の先輩の教えを請いたりしながら、日々試行錯誤しています。ある程度の経験が蓄積されてきたら、もっと大きい案件(商業用不動産など)をやれたらと思っています。
アメリカの不動産投資は、日本とは大分違う性格の投資商品のようです。最近日本でもマンション投資が人気だそうですが、日本の不動産は“超”低金利ローンで購入できるため、毎月家賃との差額で厚めのキャッシュフローが期待出来ると聞きます。その反面、保有期間に渡って価格が減少していく傾向があるので、基本的にはキャピタルゲインは期待できない。言い換えれば、減価するエクイティ価値をキャッシュリターンが上回る事を期待する「年金型」の商品と言えそうです。(もちろん都心など例外はあるでしょうが。)
それに対してアメリカでは、株式市場と同様に、家の価格はインフレ率と相関する形で基本的には値上りして行きます。もちろん大きな地域差がありますし、数年間の下降局面などは当然ありますが、長期的に見ると賃金水準の上昇とあいまって、上昇トレンドが続いています。特に90年後半に始まった市場のリカバリーは目覚しく、ここ5年くらいは東西両岸を中心に、毎年10%から20%と言う勢いで価格が上昇しています。
家の価格の値上りは、NY、ボストン、カリフォルニアなどの「人気地域」では特に激しく、数年の間に住んでいた家の値段が何倍にも上昇し、何もしないうちに金持ちになったと言う話をよく聞きます。(まあよく映画で見るような、でかいキッチンとベッドルームが4つも5つもあるような家が、1千万円そこそこで買えたと言うのがそもそもおかしかったのかもしれませんが。)
値上り市場でレバレッジをうまく利用出来ると、大きなリターンが期待できます。例えば5年前に、300万円(10%)の頭金、2700万円の借入金で3000万円の家を買い、その家が毎年10%で5年間値上りしたとします。5年後の家の価格は4,832万円、つまり1.6倍になったことになります。5年間で60%、それだけでも悪くないですが、実際はデット部分は一定なため、エクイティ(自己資金)はもっと増えていることになります。
つまり、当初投資した300万円のエクイティは、2,132万円(4,832万円-2,700万円のデット)に、実に48%のIRRで成長したことになるわけです。(通常の元利一括返済型住宅ローンを使っていれば、2700万円のデットも5年間にわたって若干返済されていますので、これよりも更にIRRは高くなります。)
アメリカでは持ち家は2年以上住んでいれば、売却した際に独身者で25万ドル(約2,800万円)、夫婦だと50万ドル(約5,600万円)までキャピタルゲインが非課税なので、持ち家の価値が上がった人は相当美味しい思いが出来るわけです。そんな話があるのを目の当たりにして、最近では誰もが不動産投資(投機?)に走り、更に不動産の値段を押し上げているわけです。
・・・と、こんな状況が実際にしばらく続いているので、最近アメリカでは、「住宅市場はバブルだ」と騒がれています。その理由としては、過去数年に渡る急激な価格上昇、レバレッジ(借入れ)率の上昇、投資家による物件購入率の上昇、などなど、挙げればキリがありません。そんな時に不動産投資をして、アホかと思われる方もいるかと思いますが、みすみすバブルに乗って踊って溺れたくないので、色々考えています。
長くなってしまうので詳しいことはまたにしますが、一言で言うと、バブルの兆候が出ているマーケットは避け、割安物件や「掘り出し物」物件を探す、ある意味「バリュー投資・ファンダメンタルズ投資」的な戦略を取っています。その意味では不動産投資はロングショットで、機関投資家の株式投資のスタイルに近いものがありますが、アメリカのローカル市場の動向なども分かって非常に面白い商品だと思っています。
不動産の世界もなかなか奥が深く面白いので、今後たまに書き込みしたいと思います。アメリカの不動産投資に興味がある方は、ウォールストリートジャーナルの不動産セクションなどに、色々と面白い記事が載っています。ご参考まで。
もともと投資に興味があって金融業界に入ったのですが、投資銀行に勤めているとインサイダー情報にアクセスがあるため、個人での株式投資は困難です。その点不動産は、特段の規制もなく投資できる上、アメリカでは不動産市場が大変整備されていて、個人でも投資目的での物件取得がしやすい環境が整っています。
不動産は株と違って何かと複雑で、面倒な手続きも多いですが、レバレッジが使いやすく、個人でもうまくすればLBOファンドのような大きなリターンが狙えるのが気に入っています。他にも不動産投資をやる理由は色々あります。投資銀行業務で培ったバリュエーション(価値評価)・ファイナンシングに関するスキル、弁護士・会計士などとの話し合い能力などがフルに生かせること、賃貸用不動産の管理は一つの「事業」なので、食費や車その他の出費を経費にしたり、減価償却を給与所得と合算したりと多くのタックス・メリットがあること、単にアメリカの不動産を見ているのが好きだということ、などなどです。
現時点では家を数軒保有しているだけですが、地元のユダヤ人ネットワークに助けられたり、「アメリカ不動産投資日記」を書いているサンフランシスコ在住の先輩の教えを請いたりしながら、日々試行錯誤しています。ある程度の経験が蓄積されてきたら、もっと大きい案件(商業用不動産など)をやれたらと思っています。
アメリカの不動産投資は、日本とは大分違う性格の投資商品のようです。最近日本でもマンション投資が人気だそうですが、日本の不動産は“超”低金利ローンで購入できるため、毎月家賃との差額で厚めのキャッシュフローが期待出来ると聞きます。その反面、保有期間に渡って価格が減少していく傾向があるので、基本的にはキャピタルゲインは期待できない。言い換えれば、減価するエクイティ価値をキャッシュリターンが上回る事を期待する「年金型」の商品と言えそうです。(もちろん都心など例外はあるでしょうが。)
それに対してアメリカでは、株式市場と同様に、家の価格はインフレ率と相関する形で基本的には値上りして行きます。もちろん大きな地域差がありますし、数年間の下降局面などは当然ありますが、長期的に見ると賃金水準の上昇とあいまって、上昇トレンドが続いています。特に90年後半に始まった市場のリカバリーは目覚しく、ここ5年くらいは東西両岸を中心に、毎年10%から20%と言う勢いで価格が上昇しています。
家の価格の値上りは、NY、ボストン、カリフォルニアなどの「人気地域」では特に激しく、数年の間に住んでいた家の値段が何倍にも上昇し、何もしないうちに金持ちになったと言う話をよく聞きます。(まあよく映画で見るような、でかいキッチンとベッドルームが4つも5つもあるような家が、1千万円そこそこで買えたと言うのがそもそもおかしかったのかもしれませんが。)
値上り市場でレバレッジをうまく利用出来ると、大きなリターンが期待できます。例えば5年前に、300万円(10%)の頭金、2700万円の借入金で3000万円の家を買い、その家が毎年10%で5年間値上りしたとします。5年後の家の価格は4,832万円、つまり1.6倍になったことになります。5年間で60%、それだけでも悪くないですが、実際はデット部分は一定なため、エクイティ(自己資金)はもっと増えていることになります。
つまり、当初投資した300万円のエクイティは、2,132万円(4,832万円-2,700万円のデット)に、実に48%のIRRで成長したことになるわけです。(通常の元利一括返済型住宅ローンを使っていれば、2700万円のデットも5年間にわたって若干返済されていますので、これよりも更にIRRは高くなります。)
アメリカでは持ち家は2年以上住んでいれば、売却した際に独身者で25万ドル(約2,800万円)、夫婦だと50万ドル(約5,600万円)までキャピタルゲインが非課税なので、持ち家の価値が上がった人は相当美味しい思いが出来るわけです。そんな話があるのを目の当たりにして、最近では誰もが不動産投資(投機?)に走り、更に不動産の値段を押し上げているわけです。
・・・と、こんな状況が実際にしばらく続いているので、最近アメリカでは、「住宅市場はバブルだ」と騒がれています。その理由としては、過去数年に渡る急激な価格上昇、レバレッジ(借入れ)率の上昇、投資家による物件購入率の上昇、などなど、挙げればキリがありません。そんな時に不動産投資をして、アホかと思われる方もいるかと思いますが、みすみすバブルに乗って踊って溺れたくないので、色々考えています。
長くなってしまうので詳しいことはまたにしますが、一言で言うと、バブルの兆候が出ているマーケットは避け、割安物件や「掘り出し物」物件を探す、ある意味「バリュー投資・ファンダメンタルズ投資」的な戦略を取っています。その意味では不動産投資はロングショットで、機関投資家の株式投資のスタイルに近いものがありますが、アメリカのローカル市場の動向なども分かって非常に面白い商品だと思っています。
不動産の世界もなかなか奥が深く面白いので、今後たまに書き込みしたいと思います。アメリカの不動産投資に興味がある方は、ウォールストリートジャーナルの不動産セクションなどに、色々と面白い記事が載っています。ご参考まで。
by harry_g
| 2005-10-06 01:38
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