バンカー適性検査の配点 |
ついでに、勝手な「業界人」オブザベーションも付け加えてみました。
ところでこれ、適性検査と言うよりも、単に「バンカー度」検査って感じですね。投資銀行業界に就職をご希望の方には参考になるかもしれません。(ならないか)
( )内が点数で、(3)点、(2)点、(1)点、(0)点のどれかになっています。そして合計点数が高いほど、「バンカー度」が高い、と言うことになります。勝手な業界人についてのコメントは、異論反論お願いします。
◆仕事とプライベートのバランスは?
1. あって当然。(0)
2. できれば欲しい。(3)
3. 夢。(2)
インベストメント・バンカーは、弁護士などと同様の専門(プロフェッショナル)職であり、仕事とプライベートをバランスさせるのは「夢」に近い至難の業。
まず、チームスポーツのような「プロジェクトチーム」ベース職場環境なので、自分の持ち場だけキッチリやっていれば良いと言うわけではなく、プロジェクトメンバーのスケジュールに振り回されがち。(よってバケーションを直前でキャンセル、または金曜の夜7時まで週末の予定が分からない、なんてことも。)
更に、クライアントにとって「極めて重要」なプロジェクトに常に従事しているため、週末だろうと関係なく会議や資料作成をしなければならないし、海外の同僚とミーティングするために、夜中のカンファレンスコールなども日常茶飯事。(「グローバルビジネス」とか聞こえは良いが、実態はキツイ。)
そういった厳しい職場環境の反面、事業法人のM&A部やファンド等と違い、常にディールフローがあるため、短期間に多くの経験を蓄積する事ができるメリットもある。よって投資銀行でのキャリアを積んだ後に、もう少し仕事時間が楽なバイサイドに行く人も多い。
◆キャリアにとって最も大切なのは?
1. ボーナス。(2)
2. 経験。(3)
3. 9時5時の生活。(0)
バンカーは「ディール経験」を挙げる人が多い。ディール経験が多いと色々な状況に対応できるため、ディール経験イコール自分の金銭的価値、と直結する場合が多いためと思われる。
もちろん、激務なため、経験の先にある「ボーナス」無しにはやってられない、と言うことになるが、個人のPLが明確なセールスやトレーダーと異なり、チームプレーの投資銀行業務では、自分ひとりで気張っても、ボーナスがある程度増えても「稼ぎまくる」というほどではない。
そして9時5時の生活をしたい、と言う人は業界にはまずいない。
◆朝ごはんは?
1. 自宅で食べる。(1)
2. コーヒー。(2)
3. 昼ごはん。(3)
バンカー生活は、夜が遅い分、朝も遅い事が多く、バタバタと家を出るため家で食べるのはほぼ不可能で、むしろ朝ごはん=昼ごはんのケースが最も多い。コーヒーだけ飲む、と言う人もいるが、それもセールス・トレーダーの方が多いと思いかと。アナリスト(キャリア3年目まで)などの若手になると、朝ごはんは「午前4時に注文する(朝ごはん=夜ごはん)」なんてケースも。。。
◆満員電車は?
1. 嫌い。(1)
2. 別に気にならない。(0)
3. 知らない。(3)
ほとんどの人がオフィスのある港区・渋谷区周辺に住み、徒歩、タクシーまたは車で通勤しているため、満員電車を「知らない」ケースが多い。(そして大抵が、「それ位のラクをしてもいいだろ、こんなに働いているのだから」、と思っていたりする。)
地下鉄で通っている人も、大抵は普通の人の通勤時間より遅い時間に出勤するか、または乗る区間が限定的なため、やはり本当の満員電車を知らない場合が多い。
どうしても満員電車に乗らなきゃいけない人は、そういう「不快な環境」が大嫌いな様子。
◆日経新聞/ウォールストリートジャーナルは?
1. 毎日欠かさず読む。(2)
2. 読みたいけど時間がない(ネットで読む。)(3)
3. スポーツ新聞の方が好き。(0)
セルサイドである投資銀行は、情報が勝負なので、新聞は毎日欠かさず読まないと仕事にならないケースが多い。カバレッジバンカーであれば、日経産業や日経金融、アメリカでは業界人が読んでいる雑誌なども、必ずチェックしている。
とは言え、実態は、忙しすぎて読む時間がないケースが大半。更に電車通勤でないため、ますます読む時間がなくなる。よって大半はネットで読んでいるか、会社がまとめてくれるクリップを読んでいるか、新聞はトイレで読んでいる様子。
セールスの人にとっては、スポーツ新聞の方が重要だったりする。(それで話をつなぐことで注文が取れることも多いので)
◆数学は?
1. 大得意。(1)
2. 別に仕事には困らない。(3)
3. 一生関わりたくない。(0)
金融の仕事なので、「数字が苦手」と言う人はあまりいない(向いていない)が、大半の人が「大得意」とは思ってはいなくて、「別に仕事には困らない程度に出来る」と思っている。実際バンキングの仕事で高等数学を使うケースは滅多にないし、仮にそれを使った分析などをしても、お客さんに感謝されるケースも稀。(複雑なモデリング同様、完全な「自己満足」になりがち。)
それに比べてマーケットサイド、特に債券トレーダーやデリバティブの担当者の大半が、数学は「大得意」、または「得意で当然」と思っている。
◆今日は仕事が早く終わった。一杯行くとしたら?
1. 気楽な居酒屋。(1)
2. 六本木の騒がしいバー。(2)
3. 静かなワインバー。(3)
これは年齢、社風、個人にもよるが、ザックリとしたイメージでは、バンカーはワインバーでシャルドネを飲み、トレーダーは外国人の多いバーなり居酒屋でビールを飲んでいるケースが多い。バンカーはより「スタイル」にこだわり、トレーダーはより「乗り」にこだわる、と言った感じでしょうか。。。
◆「仕事が早く終わった」と言えば・・・
1. 夕方5時半。(0)
2. 夕方5時前。(0)
3. 夜10時前。(3)
バンカーにとっては、夕方5時半は何も意味しない。(せいぜい客アポの最終時間、と言う程度。)夜7時前後の夕食は「一休み」時間に過ぎず、夜10時前に会社を出られれば「今日は早く終わった」と言うことになる。もちろん、ランクが上がるに従って、また時期や景気によって、多少その時間帯は前に移動するが、7時前になることはまずない。
セールスやトレーダーは、大きいトレードでドカンと儲けた日など、たまに日中でも帰ってしまう人もいるが、5時半に終われば早いほう、と言う感じ。(通常でも6時~6時半くらいなので、大して変わらないのですが。。。)
◆人生で幾ら稼ぎたい?
1. 別に関心なし。(0)
2. 1億、2億、あれば御の字。(3)
3. 清原を超える。(1)
バンカーの大半は、何十億と言うお金を稼ぐと言うよりは、平均より高い(でも1億円にはなかなか届かない)年収を長くもらい続けて、高い税金とぜいたく品への浪費を差し引いた後に、最終的に数億円のネットアセットが手に入ればよい、と考えているケースが多い様子。家も港区にマンションか世田谷に一戸建、と言う感じで、葉山や軽井沢に豪邸や別荘、とまで考えているケースは少ない。(そもそも別荘とかあっても行く暇がないので。)
それに比べてセールス・トレーダーは、毎年自分のPLがはっきりと出る仕事だけに、生涯賃金より年収にこだわる傾向が強く、「年収で清原を超える」とか思ってる人が結構いる。(と言うか実際にそう言ってた人がいた。)
非常にコンペティティブな環境のウォールストリートに、お金に関心のない人は向かないのは確か。
◆もらったボーナスで何を買う?
1. 将来の為に貯金。(2)
2. 気の向くままに高級外車。(1)
3. ストレス発散の為にとりあえず散財。(3)
バンカーは、「使った分また来年稼げばいい」というセールス・トレーダーとは異なり、マーケット環境によっては来年がどうなるかも分からないので、勢いでフェラーリ、と言う人はまずいない。(そもそも車を買ったところで乗る時間もない、というケースが多い。)
よって大半のバンカーが、まずストレス発散(「自分へのご褒美」、と呼ぶ)のために、高級時計を買ったり高級温泉旅館に行ったりして散財する。そしてその後に、将来の為と言うわけでもないが、ともかく貯金する。株を買ったりすることが規制上難しいのと、そもそも資産運用を考える時間がないため、貯金、となる。
もちろん、中には車好きのバンカーもいるが、そういう人はセールス・トレーダーに“圧倒的”に多い。(何であの人達はあんなに車好きなんだろう、と思うほど。実際入社一年目の時、車を持っていないと言ったら罵倒され、1千万くらいする外車を買え、金がないなら貸してやる、それがモチベーションになるんだ、とか言われた経験あり。実際チームの皆は、自分以外の全員が、メルセデス“以上”の高級車に乗っていた。しかも人によっては「すぐ飽きるから」、と頻繁に買い換える人も。(しかも「今回のトレードでは何%の鞘を抜いた、どうのこうの」、と、仕事感覚で。。。)
◆MBAはキャリアパスに必須?
1. 必須。(0)
2. 人生の休暇にとっておきたい。(3)
3. 時間と金の無駄。(1)
日本では、新卒でアナリストとして入社すると、MBAを経ることなく3年でアソシエイトに出世するのが通常のケース。よって、たたき上げのバンカーは、「MBAは人生の休暇に取っておきたい」、と思っている人が大半。また、オンザジョブで学ぶ事の方がMBAで学ぶ事より多い、と思いがちな事から、時間と金の無駄、と思っている人もいる。必須と思っている人はほとんどいない様子。
MBAから入ってくる人の大半が、日本企業やコンサルから、といったようなキャリアチェンジを経ているため、そういう人にとってはMBAは必須。(この業界に入る為の他のエントリーポイントが少ないので)
セールス・トレーディングでは、ほぼ全員がMBAは「無駄」と思っている様子。当時のトレーディングデスクのヘッド(アメリカ人)は、スタンフォードでコンピューターサイエンスの修士を取ってたが、その人に「スタンフォードのMBAはどうですか」、と聞くと、「MBAなんて人生最大の無駄なトレードだ」と豪語していた。
アングラ(「学士」と言う意味です、「アンダーグラウンド」ではなく)でビジネススクールに留学した僕の感想では、かなり役に立つと思うのですが。。。(まあ絶対必要、とまでは言いませんが)
◆社会に貢献するような仕事をしたい?
1. 是非したい。(0)
2. 結果的に貢献しているはず。(3)
3. 税金を十分に納めている。(2)
「社会にぜひ貢献したい」と思っている人はほぼ皆無で、大半の人が「結果的に貢献しているはず」と思っている。やはりセルサイドとして「稼いでナンボ」の所があるので、社会貢献云々よりも、収益に目が向きがち。また、普通より若干多くの税金を納めているため、それが社会貢献とも言えなくもないが、基本的には「税金=無駄に使われる=悪」と言うことになり、「貢献」とは思わない人も多い。
トレーダーの人達のメンタリティもほぼ同様だが、より社会貢献には関心がなく、より税金に対するセンシティビティが高い。「高額納税者専用道路を作れ!」とかむちゃくちゃな事を言う人も。。。
◆あなたにとってのヒーロー・ヒロインは?
1. ほりえもん。(1)
2. 30歳で引退した元同僚。(0)
3. 先週業界を去った元同僚。(3)
バンカーにとってのヒーロー・ヒロインは、先輩の言葉を借りると、「目の前に肉をつる下げられてそれに向かって突っ走る」ようなバンカー生活から、勇気を持って抜け出した「元同僚」である事が多い。(でも辞める時には「二度とこんな地獄に戻ってくるか」、と言っていた人も、MBAや事業法人を経て、やっぱり投資銀行、と言って戻ってくるケースも多い。)
中には、いつか「ほりえもん」になりたい、と思っている野心家のバンカーも当然いるが、そういう人は25歳前には辞めて何かやっているか、大抵はベンチャー企業の独特の雰囲気(港区の高層ビルにある外資系オフィスとは正反対)になじめないケースが多く、一歩を踏み出せないケースが多い。遠くのご馳走より目の前の肉なのかも。。。
「30歳で引退した同僚」は、トレーダーにとってのヒーロー。まあそんな人は滅多にいないですが。(40歳で引退する人は結構います。)
以上、35点以上だった方、あなたは完全な「バンカー」です。。。