米国住宅バブル崩壊の予兆? |
内容を拝見したところ、アメリカのメディアが住宅・不動産市場の過熱感について頻繁に取り上げらている内容がうまくまとまっている感じだったので、不動産にご関心がおありの方は是非ご覧下さい。
あと、いかにも日経っぽく、マクロ経済に与える影響についても色々書いてありますので、不動産事態にそこまで興味がなくても興味をひく内容になっています。アメリカの住宅市場がアメリカ経済(個人消費や雇用)に与えているインパクトがものすごく大きいので、そこが崩壊すると、米住宅→米経済→世界経済へと津波が襲うだろう、と言った感じの内容です。もちろんこれは「バブル崩壊」のような事態になればの話で、こちらの専門家の多くは、「不動産=非流動資産」と言う市場の特性やFRBの努力などもあり、「バブル崩壊」ではなく「冷え込み」程度になるだろう、と言っていますが。
過去に不動産証券化をやっていたことがあるのですが、アメリカの住宅市場および住宅ローン市場がこれだけ厚みがあるのは、やはり金融セクターのバックアップが大きいと思います。(この点は日経ビジネスにも書いてあります。)
アメリカでは、数千万円といった単位の住宅ローンの多くが何百億と言う単位までまとめられ、債券の形に証券化されて債券の投資家に販売されています。そうすることで、ローンの出し手である銀行は貸し倒れリスクを減らす(債券市場にリスクを転化する)ことが出来、債券の投資家も、統計上分散されている住宅ローンプールを裏づけにした債券に投資することで、リスクを抑えながらリターンを追及できるメリットがあります。
そうして発行されるアメリカの住宅ローン担保債券(MBO、CMOなど)の多くが、アメリカの政府保証が事実上ついている形になっています。それにも関わらず、ストラクチャーの複雑さから、米国債よりも高い金利が受け取れます。そのため、規制上クレジットリスクは取れない(AAAの安全債券にしか投資できない)がプラスアルファのリターンが欲しい、と言う投資家には、大変魅力的な商品となります。
日本でも最近は住宅金融公庫の債権の証券化が進められていると聞きます。最近のデータではどうだか分かりませんが、私が証券化を担当してた時は、アメリカ国債の発行高よりも住宅ローン証券化債券の方が多いくらいでした。そんなデータからも、アメリカの住宅ローン市場の大きさが伺えます。
金融セクターは「経済の血液」ともいうべき存在なので、そこがいかに発達しているかが経済全体にとっていかに重要かは言うまでもありません。反面、そこがおかしくなることの経済に与えるリスクも甚大で、そういった認識が、最近のFreddie Mac(FHLMC=Federal Home Loan Mortgage Corporation、連邦住宅金融公庫)やFNMA(Federal National Mortgage Association、連邦住宅抵当金庫)などの住宅ローン専門機関や、それこそヘッジファンドへの規制強化の動きなどにつながっているのでしょう。