米不動産投資の基本? |
実際自分がどのようなことに気をつけて投資しているのか、「戦略」というほどではありませんが、少々書いてみたいと思います。
物件のキャッシュフローを分析する
不動産投資をする際には、物件がセルフ・ファイナンスする(家賃収入でローンも含めた全経費がまかなえる)ことが極めて重要です。これはインカムゲインを得る、という意味もありますが、むしろアメリカの不動産投資はキャピタルゲイン(物件価値の値上がり)がリターンの中心なので、その「リスクヘッジ」の意味が大きいです。キャッシュフローさえプラスであれば、不動産価格が下落しても売らずに保有し続けて、市場の回復を待つことが出来るからです。
キャッシュフロー分析は、投資銀行でやっている財務モデリングの簡易版といった感じです。まず家賃収入の予想をしますが、これは類似物件(Comps)の情報を参考にします。この際に、地域の「空室率」(Vacancy Rate)も勘案することが重要です。例えば同じような家の平均家賃は1,000ドルだが、平均空室率は10%なので、実質的な家賃は900ドルだ、といった感じです。
次に経費を予想しますが、主な“現金”経費には、固定資産税(市税)、火災保険、コミュニティチャージ、住宅ローン支払いがあります。税金や保険についてはブローカーからある程度正確な見積もりが得られますし、住宅ローンに関してはモーゲージバンカーと相談するなり市場レートを参考に数学的に計算するなりします。
収入と現金支出の差が現金収入(キャッシュフロー)になるわけですが、これがプラスになることを、投資判断の基準にしています。(実際は減価償却など税金上のメリットも相当大きいのですが、その話はまた今度。)
割安物件を探す
不動産投資の王道は、やはり「割安」物件を探すことです。割安物件を買えば、ローン負担も軽く大きなインカムゲインも期待できますし、極端な話すぐに売って利益を出すこともできます。
物件価格が「割安」かどうかの判断は、比較物件(Comps)や不動産鑑定価格(Appraisal)と比較して行うことになります。難しそうに聞こえますが、これは単位面積辺り幾らか、と言った感じで簡単に分かります。株式投資の時もEV/EBITDAやP/Eレシオを利用して割高・割安の判断をしますが、それと同じことです。
割安物件を見つけるためには、簡単に言うと、「手早く売りたいと思っている家主」(Motivated Seller)を探すことになります。銀行が差し押さえた抵当流れの物件を買う方法もありますし、純粋に「必死な売り手」を根気よく探すという手もあります。
これが簡単に出来れば誰でもお金持ちになってしまいますので、実際にやるとなると、相当のノウハウやコネクションが必要です。詳しい話は専門的になってしまいますので避けますが、以前にも紹介した「アメリカ不動産投資」のブログを書いている先輩が大変詳しいので、ぜひご参照ください。
また、前回のブログへのコメントで「出口戦略について教えて欲しい」、と言う話がありましたが、そのこともこのブログに詳しく書いてあります。
物件の「期待価値」を予測する
以上は不動産投資のマニュアル本にもある程度書いてあることですが、実際アメリカの不動産投資で一番利益が出るのは、「キャピタルゲイン」(物件の値上がり益)です。よって、単にキャッシュフローがプラスの物件を買っていれば自然に値上がりして儲かる、と言う話ではありません。
個人的には、株式のファンダメンタルズ投資のように、物件の「期待価値」を予測することが大切だと考えています。長くなって来たので、詳しくはまた今度にします。